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大学・研究所にある論文を検索できる 「Ice-ice collisions による二次氷晶生成過程が北陸雪雲の微物理的・電気的構造に与える影響」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

Ice-ice collisions による二次氷晶生成過程が北陸雪雲の微物理的・電気的構造に与える影響

木下, 直樹 KISHITA, Naoki キシタ, ナオキ 九州大学

2023.03.20

概要

九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository

Effects of Secondary Ice Production by Ice-Ice
Collisions on the Microphysical and Electrical
Structures of Snow Clouds in Hokuriku, Japan
木下, 直樹

https://hdl.handle.net/2324/6787420
出版情報:Kyushu University, 2022, 博士(理学), 課程博士
バージョン:
権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

(様式3)





: 木下 直樹

論 文 名









Effects of Secondary Ice Production by Ice-Ice Collisions on the
Microphysical and Electrical Structures of Snow Clouds in
Hokuriku, Japan
(Ice-ice collisions による二次氷晶生成過程が北陸雪雲の微物理的・電
気的構造に与える影響)
















活発な積乱雲内では氷晶核よりも 2∼3 桁も大きな氷晶数が観測されることがある。これは通常
の氷晶核形成では説明できない。そのため、既存の氷粒子から新たな氷晶を生成する過程(二次氷
晶生成)がいくつか提案されている。これまで最も有力視されてきた二次氷晶生成過程は、雪や霰
などの氷粒子に水滴が衝突合体する際、特定の温度 (−8∼−3 ℃) で氷晶芽が放出される過程:
Hallett-Mossop process (Hallett and Mossop, 1974) であり、多くの雲解像数値モデルに導入され
ている。しかし、近年の雪雲の直接観測 (Takahashi et al., 2017) により、Hallett-Mossop process
が有効に働く温度領域以外でも多くの氷晶が確認され、氷粒子どうしの衝突で氷晶芽が生成される
過程:ice-ice collisions (Takahashi et al., 1995) が注目されている。本研究では、ice-ice collisions
を数値モデルに導入し、2012 年 12 月における北陸の雪雲において ice-ice collisions がその微物
理構造や降水に与える影響を調べた。
Ice-ice collisions による二次氷晶生成率の計算方法として、 Sullivan et al. (2018a) に基づいて
本研究で開発した方法と Phillips et al. (2017a) の方法を用いた。前者は温度依存性のみを考慮し
て Takahashi et al. (1995) の結果に従う関数で生成率を表現しているが、これは任意の粒径の氷
粒子の衝突から等しい数の二次氷晶が生成されることを意味するので、生成率を過大評価すること
が予想される。そこで、大きな粒子の衝突から多くの二次氷晶を生成させるように、粒径のべき乗
(ここでは basp 乗と表現)の依存性を加え(拡張 Sullivan スキーム)、その場合の二次氷晶生成
率を解析的に計算し、雲微物理スキームに導入した。後者による式をバルク法で解析的に計算する
のは難しいため、lookup table から ice-ice collisions による二次氷晶生成率を計算させるように
設計した。
数値モデル WRF (Skamarock et al., 2008, version 3.9.1.1)を用いて、新潟県柏崎市周辺で発生し
た雪雲の感度実験を行った。感度実験の時刻は 2012 年 12 月 23 日 23 UTC—24 日 03 UTC で、上
空には寒気が流れ込んでおり気圧配置は典型的な西高東低であった。また、日本海側から降雪雲が
流れ込んでいた。このときビデオゾンデによる雲・降水粒子及びその電荷の直接観測 Takahashi et
al. (2017; 2019) が行われた。この観測データを ice-ice collisions スキームの検証のリファレンス
として用い、先述のスキームおよびパラメータを変更した場合の感度実験を行った。雲微物理スキ
ームには、氷晶・雪・霰を扱う Morrison 2-moment バルクスキーム Morrison et al. (2005; 2009)
を用いた。Phillips スキームを適用しても氷晶数濃度はほとんど変化しなかった。一方、元の

Sullivan スキームは極端に高い氷晶数濃度を再現した。拡張 Sullivan スキームでは粒径依存性
(basp) を小さくするにつれて氷晶数濃度は増加した。観測値と比較すると、 basp = 1.1 の場合に最

も良い氷晶数濃度が再現された。basp = 1.1 の場合は元の Sullivan スキームよりも粒径の小さい氷
粒子からの二次氷晶生成が抑えられていた。これらの結果は、ice-ice collisions による二次氷晶生
成の表現に粒径に関する依存性が不可欠であることを示唆している。
Ice-ice collisions が北陸雪雲の微物理・電気的構造に及ぼす効果を調査するために、電荷分布も
計算できる数値モデル WRF-elec (Fierro et al., 2013) を用いて同様の数値実験を行った。雲微物
理スキームには、氷晶・雪・霰・雹を扱う NSSL 2-moment バルクスキーム Mansell et al. (2010)
を用いた。電荷分離過程には Takahashi (1978) に基づくスキームを用いた。観測値と比較すると、

basp = 1.3 の 場 合 に 最 も 良 い 氷 晶 数 濃 度 が 再 現 さ れ 、 雲 微 物 理 ス キ ー ム の 変 更 に 対 し て 拡 張
Sullivan スキームが robust であることが示唆された。Ice-ice collisions を導入すると、主な降水
粒子である雪の平均粒径ひいては落下速度が減少し、その結果降水量は減少した。0230 UTC に観
測地点周辺で再現された雪雲は主に上層が氷晶と雪による負電荷、下層が霰による正電荷という 2
極構造を持っており、これは観測結果と整合的であった。一方 0110 UTC に観測地点周辺で再現さ
れた雪雲は主に上層が氷晶による負電荷、下層が雪による正電荷という 2 極構造を持っていた。
Ice-ice collisions を導入した結果これらの雪雲における氷粒子や雲水の量が変化し、電荷分布も変
化した。Ice-ice collisions 無しと basp = 1.3 を比較すると、電荷のピーク値が 1 オーダー増加し、
観測とより整合的になった。これに伴い電場も 1 オーダー強くなり、強い発雷ポテンシャルが生
成された。

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