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大学・研究所にある論文を検索できる 「酵素応答性プローブの創製」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

酵素応答性プローブの創製

三木, 康嗣 京都大学

2023.03

概要

令和4年度

京都大学化学研究所 スーパーコンピュータシステム 利用報告書
酵素応答性プローブの創製
Development of Enzyme-Responsive Probes
京都大学大学院 工学研究科 物質エネルギー化学専攻 三木 康嗣

研究成果概要
アルデヒド脱水素酵素 1A1(ALDH1A1)は、生体内の各種アルデヒドを酸化し対応するカ
ルボン酸へと変換する酵素であり、生理活性物質レチノイン酸の産生、外因性アルデヒドの解
毒など生体内で重要な役割を担っている。特に、がん幹細胞(cancer stem cell: CSC)におい
て高発現していることが知られており、がん幹細胞マーカーとして注目されている。我々は、
ALDH1A1 に特異的に応答する turn-on 型蛍光色素 C5S-A を開発した(Figure 1a)。しかし、
C5S-A は酵素反応前において完全には消光しておらずバックグラウンド発光が観測されること
から顕微鏡像のコントラストの悪化を招いていた。これは、C5S-A において消光基であるメルカ
プト基の求核付加による閉環反応が完全に進行していないことによる。本研究では、立体的な
効果により結合角を圧縮し、閉環反応を促進する効果があるメチル基をメルカプト基近傍に導
入することで、高コントラストにがん幹細胞を可視化する turn-on 型蛍光色素 βC5S-A を開発し
た(Figure 1b)。βC5S-A は ALDH1A1 と選択的に反応し、発光量が 10 倍上昇した(Figure 1c)。
顕微鏡像において、C5S-A では分化後のがん細胞(NCC)と比較し signal-to-noise 比が
3.7±0.4 であったのに対し、βC5S-A では 10.3±1.6 へと改善された(Figure 1d)。このメチル基導
入の効果は、分子軌道計算を用いる pKa 値の予測が活用できることも明らかにした。
(b)

N

4

S

N

2

sed-ring form

+ HY

(FL = OFF)

N

CHO

COOH

N

2

S

closed-ring form

(FL = OFF)

AiQd

– HY

ALDH1A1

COO–

CHO

4

4

N

I–

N

2

SH

open-ring form

(FL = ON)

C5S-A

N

2

(c)

N

2

S
Me

C5S-C

✔ low response to biological thiols
✔ high-contrast visualization of CSC

βC5S-A

12

(d)

βC5S-A

9

red channel

C5S-A

3
0

control
0

30

60
90
time (min)

120

merged

NCC
CS
C

6

SH

nucleophilic quencher
open-ring form (FL = ON)

✔ high signal-to-noise ratio (>10)

N

βC5S-A

N

4

COOH

CHO
4

minor

CHO

activator

FL intensity (a.u.)

or

C5S-A

(a)

NCC
CS
C

Figure 1. (a) Activator-induced nucleophilic quencher detachment (AiQd) mechanism for turn-on fluorescence probe
C5S-A. (b) ALDH1A1-responsive turn-on fluorescence probe βC5S-A bearing a methyl group for high-contrast
visualization of CSC. (c) Time-dependent fluorescence (FL) intensity change (λex = 640 nm) at 662 nm of βC5S-A
and C5S-A (1.0 μM) in a buffer solution (pH 7.4) with/without 50 nM ALDH1A1. Normalized with the FL intensity
just after treatment. (d) Confocal images of SUIT-2 cells incubated with C5S-A and βC5S-A.

発表論文(謝辞あり)
M. Oe, K. Suzuki, K. Miki, H. Mu, K. Ohe, ChemPlusChem 2022, 87, e202200319. ...

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