ケーターの可逆振り子を用いた重力加速度の絶対測定
概要
ケーターの可逆振り子(ケーター振子)は、Henry Kater (1818) が重力加速度の絶対測定のために考案した棒状の振り子である(図 1a)。ケーター振子の上下 2 箇所にはナイフエッジが付いており、このそれぞれを支点として振り子を振動させることができる(図 1b)。ケーター振子の質量構造は上下方向に不均等となっているため、正位置と逆位置における振り子の振動周期(それぞれ T1 および T2 とする)は通常異なる値となる。ただし、振り子中央部の錘(図 1c の m3 )の位置を調整することで、T1 = T2となるような質量分布を作り上げることができる。このとき、重力加速度 g の算出式は振り子の重心位置に依らない形で表現でき、その結果重力加速度 g を簡単にかつ高精度に決定することができる。
本稿では、質量 m3 が任意の場所に位置する時の方程式を記述し、その後質量 m3 を特定の位置に動かすことで重力加速度 g の算出式が簡単になることを示す。また、京都大学の一般教養科目「地球科学実験」におけるケーター振子振動実験の現状についても紹介する。