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書き出し

Taming Highly Unstable Radical Anions Using Flow Microreactors

Jiang, Yiyuan 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24435

2023.03.23

概要

学位論文の要約
題目

Taming Highly Unstable Radical Anions Using Flow Microreactors
(フローマイクロリアクターによる不安定ラジカルアニオンの反応制御)

氏名

江 迤源

序論
アルカリ金属による不飽和結合の還元により簡便にラジカルアニオンが生じる。しかし、
多くのラジカルアニオンは不安定であり、アルケンやアルキンの場合には二量化や多量化
を引き起こす。こうした理由からラジカルアニオンの反応制御は極めて困難である。近年、
こうした不安定活性種の発生と利用に際しフローマイクロリアクターが大きな注目を集め
ている。フローマイクロリアクターでは、二つの溶液を微小空間で衝突させることによる高
速混合、マイクロサイズの反応器に由来するミリ秒単位の滞留時間制御、単位体積当たりの
表面積が大きいことによる精密温度制御が可能である。これらの特長により、バッチ型反応
器では発生困難な不安定活性種の発生と利用や、反応の選択性制御が数多く報告されてき
た。
しかしながら、フローマイクロリアクターを用いた不安定ラジカルアニオンの反応制御
は未だに報告例がない。そこで申請者はフローマイクロリアクターを用いた不安定ラジカ
ルアニオンの反応制御を目指した。電子を速やかに供給するために均一系還元剤を用いて
スチレンと高速混合すると、スチレンのラジカルアニオンを瞬時かつ同時に生成し、高効率
で二量化体のジアニオンが得られることを見いだした。また、アルコキシボラン共存下でア
ルキンと一電子還元剤を高速混合すると、逐次反応を制御した続く自在な求電子剤導入が
可能になることを明らかにした。
これらの研究により、フローマイクロリアクターを用いることで非常に不安定な不飽和
化合物のラジカルアニオンの逐次反応制御が可能になることを見いだした。

第一章

スチレンの還元的二量化におけるフローマイクロリアクターを用いた

不安定ラジカルアニオンと 1,4-有機ジリチウム種の制御
ジリチウム種は環骨格の前駆体として非常に有用だが、その生成は相当するジハロア
ルカンの還元やハロゲン-リチウム交換などの古典的な方法が中心である。そのため、厳し
い条件が必要かつ前駆体の入手が困難であり、環化による副反応が併発する可能性もある

ため多様性に乏しい。また、他のジアニオン生成手法としてはアルカリ金属によるスチレン
の還元的二量化が知られているが、生成する 1,4-ジアニオンはスチレンとアニオン重合する
ためこれまで選択的なジアニオン生成は困難だった。そこで申請者は、フローマイクロリア
クターを用いてスチレンとリチウムアレーニドを高速混合させたところ、瞬時に一電子還
元と続く二量化が進行し、1,4-ジリチウム種が高効率で生成することを見いだした。このと
き、マイクロミキサーの内径を小さくすることや流速を速くすることで大幅に選択性が向
上した。そのため本反応では基質と還元剤の高速混合が重要だと考えられ、実際バッチ型反
応器で反応を行うと選択性が低かった。
本方法にはメトキシ基、メチルスルファニル基、ジメチルアミノ基、フルオロ基、トリメ
チルシリル基などの官能基を有するスチレンでも官能基を損なわずに適用可能であった。
さらに、片方のスチレン誘導体を過剰に加えることで非対称二量化反応も進行した。生成し
たジアニオン種は種々の求電子剤との反応が可能であり、ケイ素、ゲルマニウム、リン、硫
黄を含むヘテロ環化合物が簡便に得られた。また、ジアニオンとジクロロシランとの反応で
得られるシラシクロペンタンはシロールの良い前駆体になると考えた。シロールはその高
い電子受容性や蛍光特性のため新規機能性材料として大きな注目を集めているものの合成
例は限られている。そこで、DDQ でシラシクロペンタンの酸化を行うと多種多様な置換基
を有するシロールが高収率で得られた。

第2章

フローマイクロリアクターが可能にするアルキンの還元的ボリルメタ

ル化
アルケニルホウ素化合物は鈴木・宮浦クロスカップリングにより容易に有用な多置換ア
ルケンを与えるため、非常に重要な合成中間体である。その合成法としては、遷移金属触媒
を用いたボリルメタル化が広く知られているが、位置選択性の制御、求電子剤の適用範囲、
反応剤の入手容易性が低い点などに課題がある。一方、アルキンをトリアルコキシボラン共
存下でナトリウム分散体と反応させると還元的にアルケニルボランを与えることが所属研
究室により報告されたが、これまで二重ホウ素化に限られていた。
申請者は、アルキンを一当量のアルコキシボラン共存下でアルカリ金属アレーニドと高
速混合することにより、モノホウ素化と続く自在な求電子剤の導入による非対称な還元的
二官能基化に成功した。収率と選択性は流速の上昇と共に向上し、バッチ型反応器では二重
ホウ素化体が得られ選択性は低かった。各種求電子剤の導入によりシリル化、スタニル化、
ハロゲン化、カルボニル化などが速やかに進行した。さらに、アルデヒドやケトンを求電子
剤として用いると分子内環化が進行し、医薬品化学やマテリアルサイエンスの分野で注目
を集めるオキサボロールが得られた。非対称ジアリールアセチレンの還元的ボリルメタル

化とその位置選択性の制御を検討すると、ナトリウムを還元剤として用いることで選択性
が大幅に向上し、メチル基のような弱い電子供与基がジアリールアセチレン上に置換する
だけでも高い位置選択性で生成物が得られた。詳細な反応機構の調査のために反応中間体
の単離を試みたが、想定中間体が二量化したような生成物が得られたので反応中間体は不
安定だと考えられる。得られた生成物は鈴木・宮浦クロスカップリングにより、生物活性物
質や異なるアリール基を持つテトラアリールエチレンに簡便に変換できた。

結論
申請者は博士後期課程において、フローマイクロリアクターを用いたスチレンの還元的
二量化によるジアニオン種の高効率生成手法を開発し、シロールのような機能性分子の前
駆体となる様々な環骨格化合物の合成を実現した。さらに、アルコキシボラン共存下でアル
キンと一電子還元剤を高速混合することで、逐次反応を制御した自在な求電子剤導入を達
成した。得られたアルケニルボランは、簡便に生物活性物質やテトラアリールエチレンへの
変換が可能だった。いずれの反応もバッチ型反応器では選択性が低く、フローマイクロリア
クターの高速混合により、収率と選択性が著しく向上した。これにより、フローマイクロリ
アクターを用いることで非常に不安定なラジカルアニオンの逐次反応制御が可能であるこ
とを見いだした。 ...

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