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大学・研究所にある論文を検索できる 「Development of Silyl Groups Bearing Bulky Alkoxy Unit and Their Application to Organic Synthesis」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Development of Silyl Groups Bearing Bulky Alkoxy Unit and Their Application to Organic Synthesis

Saito, Hayate 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23027

2021.03.23

概要

シリル基やボリル基に代表される有機金属ユニットは現代の有機合成を支える重要な存在であるものの、多段階合成に利用するには今なお多くの課題がある。例えば、反応性の高い有機金属ユニットの場合、他の官能基を変換する条件や精製過程での安定性が不十分となる。他方で、有機金属ユニットの安定性を高めると、炭素–金属結合の変換に過酷な活性化条件を要するため、他の繊細な官能基が分解してしまう。これらの理由から一般的に有機金属ユニットは導入直後に変換する必要があり、有機金属ユニットを多段階合成に用いるアプローチは大きな制約を受けていた。そのような背景のもと申請者は、様々な官能基変換において共存可能な優れた安定性と適切な条件下での変換容易性を併せ持つ有機金属ユニットを設計することで、既存の有機金属ユニットでは困難であった自由度の高い有機合成の実現を目指した。特に、取り扱いや調製が簡便であるアルコキシシリル基に着目して検討した。

申請者は、ベンゾフランに対し1,1,2,2-テトラメチル-1,2-ジtert-ブトキシジシランと塩基および銅触媒を作用させることで開環シリル化が進行し、ビニルシランが得られることを発見した。tert-ブトキシ基よりも小さいエトキシ基を有するジシラン反応剤を用いた場合、シリル化反応は進行するものの反応条件下で生成物の分解が進行し、嵩高いアルコキシ基の重要性を明らかにした。DFT計算を用いて詳細な反応機構を解析した結果、β脱離の過程でアルコキシドが銅原子に配位したクプラート種を形成することで、活性化障壁が大きく低下することを見いだした。生成物のビニルシランはヨウ素化反応や檜山クロスカップリングに利用できることも併せて明らかにした。

さらに申請者は、1,1,2,2-テトラメチル-1,2-ジtert-ブトキシジシランが、パラジウム触媒を用いた塩化アリールのシリル化反応に適用できることを見いだした。最適化された反応条件では臭化アリールのシリル化は低収率にとどまったものの、塩化リチウムを添加することで中程度の収率でシリル化生成物が得られることを明らかにした。

また申請者は、種々のアルコキシフェニルシランの安定性および反応性について定量的な評価を行った結果、嵩高いアルコキシ部位を有する7員環ジアルコキシシリル基が塩基性加水分解条件において優れた安定性を示すことを見いだした。また理論計算の結果、本7員環シリル基は熱力学的・速度論的いずれにおいても強く安定化されていることを明らかにした。本7員環シリルを導入するための反応剤として、安価な第三級ジオールとクロロシラン類から調製可能なメトキシシランおよびヒドロシランを開発した。メトキシシランに対するアリールリチウムの求核置換反応や、ヒドロシランとイリジウム触媒を用いたC–Hシリル化反応によって、種々の官能基を有するアリールシランが簡便に合成可能であった。本シリル基は、強力な求核剤を用いる反応や、酸性条件での酸化反応など多様な条件において共存可能であり、アリール基上の他の様々な官能基が変換可能であった。一方、適切な活性化剤を用いることで、有機ケイ素化合物の代表的な変換反応である玉尾–Fleming酸化や檜山クロスカップリング反応などが円滑に進行した。アリールリチウムと共存可能であるという本7員環シリル基の特徴を活かして、反復的なハロゲン–リチウム交換反応を利用した生物活性物質の短工程合成に成功した。

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