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大学・研究所にある論文を検索できる 「Oral intake of silica nanoparticles exacerbates intestinal inflammation」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Oral intake of silica nanoparticles exacerbates intestinal inflammation

小川, 恭生 大阪大学

2022.03.24

概要

〔目的(Purpose)〕
ナノ粒子は材質によらず径100 nm以下の粒子をいう。今日では食品や化粧品、薬剤など様々な領域でナノ粒子が用いられてきており、食品においても保湿剤や安定剤、着色料、保存料として多彩な食品に添加されている。食品添加物としてナノ粒子の使用量は年々増加してきているが一方でその危険性についても指摘されてきている。

最も多くまた最も古くから用いられているナノ粒子の一つである、二酸化チタン(TiO2)は、以前より吸入や食品と しての摂取で発がん性が指摘されており一部制限はあるものの食品添加物として未だ使用されている。Ruizらにより TiO2がNLRP3を介して炎症性腸疾患(IBD)モデルの一つであるデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導性腸炎を増悪させることが報告され(Gut 2017)、その危険性について徐々に報告されつつあるが研究はまだ不十分である。

ナノシリカは二酸化ケイ素(SiO2)のナノ粒子であり同様に汎用されるナノ粒子の一つで、こちらも食品添加物としてよく用いられている。こちらに関してはTiO2よりさらに研究が進んでおらず、その危険性についてはなお不透明である。今回我々はナノシリカについてもその危険性がないか検討した。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
8週令のC57BL/6J miceを用いてControl群とナノシリカ投与群に分けてDSSを5日間飲水投与し、その後の体重減少、便の性状、血便の有無を評価し、投与後10日で安楽死させ、大腸組織の炎症細胞浸潤、潰瘍、粘膜の性状などを評価した。30 nmのナノシリカ投与群では明らかな体重減少や便の性状の悪化、大腸の組織学的な炎症の増悪は認められなかったが、10 nmのナノシリカ投与群ではControl群に比べ、明らかな体重減少や便の性状の悪化、大腸の組織学的な炎症の増悪を認め、DSS誘導性腸炎の増悪を認めた。この結果から、小サイズのナノシリカ経口投与により、大腸炎が增惡することが示唆された。

次にどのような機序でナノシリカ経口投与が大腸炎を悪化させるかを検討した。Ruizらは、TiO2経口投与が腸管マクロフアージのMLR family pyrin domain containing 3 (NLRP3)インフラマソーム活性化を介してDSS誘導性腸炎を悪化させることを報告しており、ナノシリカについてもインフラマソームを活性化することが報告されていることから、ナノシリカ投与の場合もTiOi;投与と同様のメカニズムが考えられた。

Apoptosis-associated speck-like protein containing a CARD (ASC)を欠损させたASC欠損マウスでは上記インフラマソームの活性化が起こらなくなる。そこでこのASC欠損マウスを用いて同プロトコールでDSS誘導性腸炎を評価したところ、10 nmナノシリカによるDSS誘導性腸炎の悪化は認められず、10nmナノシリカによるDSS誘導性腸炎の増悪はインフラマソーム依存性であることが示唆された。

インフラマソームは腸管内においては、マクロファージもしくは上皮細胞に主に発現している。今回の結果に対しどちらのインフラマソームがDSS誘導性腸炎の増悪に寄与しているか評価するために、骨髄キメラマウスを用いて評価した。ASC欠損マウスから野生型マウスに骨髄移植したマウスでは野生型マウスから野生型マウスに移植されたマウスに比べ、DSS誘導性腸炎は緩和された。既報でもマクロファージのインフラマソームは炎症を悲起させるが、上皮細胞のインフラマソームはむしろ保護的で炎症抑制の傾向があるとされており、マクロファージのインフラマソーム活性化が今回の10 nmナノシリカのDSS誘導性腸炎の増悪に寄与していることが示唆された。

〔総括(Conclusion)〕
本研究により、小サイズのナノシリカ経口投与は、腸管マクロファージのインフラマソーム活性化を介して、腸管炎症を悪化させることが、動物実験により示された。この結果から、炎症性腸疾患のような腸管炎症を来す疾患のある患者にとって、食品添加物中のナノシリカは炎症を増悪させる危険性があると考えられる。

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