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大学・研究所にある論文を検索できる 「Exercise-induced hypercalcemia and vasopressin-mediated bone resorption」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Exercise-induced hypercalcemia and vasopressin-mediated bone resorption

千田, 将光 大阪大学

2021.12.31

概要

〔目的(Purpose)〕
運動時、運動強度を徐々に上げると血中カルシウム(Ca)濃度も上昇し(運動誘発性高Ca血症)、運動負荷をなくすと速やかに低下することが報告されている。この運動誘発性高Ca血症について、脱水に伴う血液濃縮のみで説明できるとする報告がある一方、軟骨魚類と比較して硬骨魚類以降の脊椎動物で血中Ca上昇が顕著であることから、骨吸収亢進が関与する可能性も報告されている。

交感神経刺激が骨吸収を亢進させることが報告されているが、最近の基礎研究において、バゾブレッシン(AVP)が骨吸収亢進と骨形成抑制を促して、骨量を減少させることが報告された,重度の運動負荷によって実際にヒトにおいて運動誘発性高Ca血症が如何ほどの頻度で起こるかを検証し、さらにその病因を考察するのが目的である。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
訓練された健常な成人男性自衛隊員65名を対象に、前向き観察研究を実施した。31名は春に(Wave1),34名は秋に(Wave2)行った。約5時間の過酷な運動負荷前後で体重、血清Total Ca(tCa)、血漿AVPや副甲状腺ホルモン(whole PTH)に加えて、骨吸収マーカーである血清骨型酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(TRACP-5b)、骨形成マーカーである血清Ⅰ型プロコラーゲン-N-ブロペプチド(P1NP)、交感神経活性の評価としてカテコラミン3分画の測定を行った。また、運動中〜直後に認めた臨床症状の問診も運動後に行った。Wave 2では血中イオン化Ca(iCa)も測定し、これらの関連を検討した。運動終了時点から採血までの時間が血中Ca濃度へ及ぼす影響を考慮するため、別のコホートのデータを用いて、両者の関係を明らかにした。この関係に基づき、運動直後の血中Ca濃度を推定した。

平均年齡は27歳、体重は運動前後で平均6.9%減少し、運動後60名(約92%)の被験者に高Na血症を、全例で高CK血症を認めた。tCa は 9,5(0.4)から10.1(0.4) mg/dL へ、iCa は1.14(0.04)から1.22(0,05) mmol/L へ有意に上昇し、12 名(約18%)の被験者が運動誘発性高Ca血症(tCa>10.4 mg/dLまたはiCa>1.30 mmol/L)を呈した。血清TRACP-5bは有意に上昇した一方、血清ΡΙΝΡおよび血漿whole-PTHは有意に低下した。血漿AVPおよびカテコラミン3分画はすべて有意に上昇した。

運動後血漿AVPは、運動後血清Na濃度とは関連せず、体重減少率と有意な正の相関を示した。iCa変化量は、運動前iCaで補正すると、TRACP-5b変化率と正の相関を示し,tCa変化量も運動前tCaや運動後アルブミン・ヘマトクリット、Waveで補正しても同様であった。一方、tCaおよびにiCa変化量とP1NP変化率との明らかな負の相関は認められなかった。運動後血漿whole-PTHは運動後tCaやiCaと有意な負の相閧を、また運動後血清P1NPと有意な正の相関を認めた。運動後血清TRACP-5bはその前値、Waveで補正すると、カテコラミン3分画とは関連しない一方で、運動後血漿AVPと有意な正の相関を認めた。また運動後血清P1NPは運動後血漿AVPと有意な負の相関を認めた。 TRACP-5bおよびP1NPの変化率についても運動後血漿AVPとの関連は同様であった。

13名(20%)の被験者に嘔気・嘔吐の症状を認めた。運動後静脈血pHで補正すると、運動後iCaが高いほど嘔気・嘔吐の発生確率も高いという結果が得られた。

以上より運動誘発性高Ca血症は、運動による体液量減少等によりAVPの上昇が起こり、それによる骨吸収亢進で引き起こされる可能性が示唆された。また、運動誘発性高Ca血症が運動時の嘔気・嘔吐を引き起こしている可能性も考えられた。運動時の骨形成抑制は、「上昇したAVP」と「運動誘発性高Ca血症によるPTHの抑制」により惹起される可能性も示唆された。

〔総括(Conclusion)〕
激しい運動により上昇したAVPが、骨吸収亢進を惹起し、運動誘発性高Ca血症を引き起こす可能性が示唆された。骨吸収の抑制が、運動誘発性高Ca血症と嘔気・嘔吐の治療戦略となり得るかもしれない。

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