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大学・研究所にある論文を検索できる 「J-PARCにおけるミューオンg−2/EDM実験のためのミューオン線形加速器中速度領域用RF空洞の開発」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

J-PARCにおけるミューオンg−2/EDM実験のためのミューオン線形加速器中速度領域用RF空洞の開発

竹内, 佑甫 TAKEUCHI, Yusuke タケウチ, ユウスケ 九州大学

2023.09.25

概要

九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository

Development of an RF cavity for muon linac
middle-βsection for muon g−2/EDM experiment at
J-PARC
竹内, 佑甫

https://hdl.handle.net/2324/7157288
出版情報:Kyushu University, 2023, 博士(理学), 課程博士
バージョン:
権利関係:

(様式3)





論 文 名

:竹内

佑甫

:Development of an RF cavity for muon linac middle-βsection for muon g−2/EDM
experiment at J-PARC

(J-PARC におけるミューオン

g −2/EDM 実験のためのミューオン線形加速器中速度

領域用 RF 空洞の開発)





:甲















本論文は、将来のミューオン異常磁気モーメント ( g−2) /電気双極子モーメント(EDM)実験の
ための高周波(RF)加速空洞の開発に関するものである。大強度陽子加速器施設(J-PARC)のミ
ューオン施設において、ミューオン異常磁気モーメントの精密測定及び、ミューオン EDM の探索
を行うための新しいアプローチに基づく実験が提案されている。これまでの実験で主要な系統誤差
であったミューオンビーム由来の系統誤差を低減するため、本実験では、ミューオニウムのレーザ
ーイオン化によって生成された低エミッタンスのミューオンを加速して得られるビームが必要とな
る。また、崩壊損失を低減するために、ミューオンの寿命である 2.2μs よりも十分に短い時間で加
速する必要がある。この点で効率的な線形加速器を我々の実験では選択した。高効率加速を実現す
るため、ミューオンをビーム速度に応じて 4 つの RF 構造を使って熱エネルギーから相対論的エネ
ルギーまで加速する。RF 線形加速器によるミューオンの加速はこれまでに実現されておらず、新
たな粒子の加速は,それまでとは全く異なるプローブが使用可能となることを意味し,単に質量の
異なる粒子を加速したという以上の極めて重要な学術的意義を持つ。
ミューオン線形加速器の中速度領域では、1296MHz の結合空洞型リニアックの一種である disk
and washer(DAW)空洞が採用されており、ミューオンを 1296MHz の運転周波数で v/c=β=0.3
から 0.7 まで加速させる。銅製のディスク状の部品と穴の空いた円盤状の部品(ワッシャー)から構
成される DAW 空洞は高いシャントインピーダンスを持ち、高効率な加速に適しており、また,他
の結合空洞型リニアックと比較して,構造がシンプルで結合定数が大きいため,製作公差が大きく,
コストや電磁界安定性の面でも有利と考えられている。このような利点を持つ DAW 空洞であるが、
隣接モードの存在や、構造の機械加工の難しさから実用例はほとんど存在しない。加えて、実績の
無いβ<0.4 領域及び、ミューオン加速への適用となるため、十分な検討と実機の製作による実証が
必要不可欠である。
本研究では、DAW 空洞の設計・製作手順および空洞の性能評価方法の確立し、この一連の流れ
を通して、ミューオン用 DAW 空洞の実現性の確認を目的とし以下の研究をおこなった。まず初め
に、DAW 空洞の、R F 設計を 2D および 3D 電磁場シミュレーションを用いて慎重に最適化を行い、
それにより得られた空洞パラメータをもとにビームダイナミクス設計を行った。その後、製造上の
問題点を洗い出すことを目的とし、設計に基づき試作ユニットの製作を行なった。その結果,ろう
付け時にワッシャーの位置がずれる,冷却水流路に圧力がかかると変形するなどの問題が見出され
た。そこで、ろう付け治具を改良した上で、ろう材も追加して実機スケールモデル(5 ユニット)の試

作を行った。これにより、試作ユニットで見られたワッシャーの変形を大幅に抑制することに成功
した。次に、製作した実機スケールモデルを用いて、低電力による性能評価を行なった。ユニット
ごとの周波数のばらつきは 70 kHz 以下と非常に小さく、平均周波数と設計値とのずれは~100kHz
程度まで抑えることに成功した。一方で、積み上げによる軸上電場測定では 10%程度の電場の歪み
が見られた。試作セルと実機スケールモデルの製作で得られたさまざまな測定結果と等価回路計算
および 3 次元電磁場シミュレーションを組み合わせて、電場の歪みの原因が、空洞ろう付け時に治
具によって十分に抑えられているものの、わずかに生じたワッシャーの歪みによるセル間の結合度
の非対称性によるものであると突き止めた。さらに、等価回路計算により、タンクを構成するユニ
ットの積み上げ方を最適化することで、追加加工をすることなく、エンドセルを除いたセルにおい
て電場の field flatness 97%を達成した。また、ミューオン線形加速器の end-to-end シミュレーシ
ョンを構築し、最新のデザインにおける加速ミューオンビームの品質及び予想強度の見積りを行っ
た。また、磁石の設置誤差、RF の振幅・位相誤差がビームに与える影響についても評価した。加
えて今回の製作で得られた空洞の性能による実際のビームへの影響を見積もった。
これらの結果と技術的知見から、実験に必要な性能を満たす DAW 空洞の設計・製作手順が確立
されたことが示された。これにより、世界初となるミューオン線形加速器による低エミッタンスミ
ューオンビームを用いた、新しい素粒子実験の実現へ大きく近づいた。

この論文で使われている画像

参考文献

148

[110] W. D. Kilpatrick. Criterion for Vacuum Sparking Designed to Include Both rf and

dc. Review of Scientific Instruments, 28(10):824–826, 12 2004. ISSN 0034-6748. doi:

10.1063/1.1715731. URL https://doi.org/10.1063/1.1715731.

[111] T. J. Boyd. Kilpatrcik’s criterion,, 1982.

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