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大学・研究所にある論文を検索できる 「インスリン受容体異常症B型 日本人症例の調査及び臨床的検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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インスリン受容体異常症B型 日本人症例の調査及び臨床的検討

廣田, 雄輔 東京大学 DOI:10.15083/0002006226

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 廣田 雄輔
本研究はインスリン受容体異常症 B 型の日本人症例の調査及び臨床的検討を試みたもの
である。本疾患は極めて希少な疾患である上に、症例ごとの多様性に富むことから、診断
や治療は容易ではない。近年の日本人患者に関する情報が不十分であったため収集、考察
を行った。さらに日本人や日本人以外の既報との比較、検討を行い、下記の結果を得てい
る。
1.

日本人のインスリン受容体異常症 B 型症例の、比較的近年の詳細な臨床データを 21
例、文献調査を含めて計 44 例の資料を収集することに成功した。日本人症例を集積
した報告としては最も多くの症例数である。

2.

日本人における既報との比較を行い、その明確な差異を示した。1994 年の報告では中
年以降、女性が多かったが、本研究では高齢、男性が多いことが判明した。さらに本
研究では低血糖を起こした例が 85.7%と、主要な症状とも言えるほど多いことも前述
の既報とは異なっている。男性にその割合が高いことが示された。

3.

海外の報告と比較して日本人にはシェーグレン症候群の合併が多いことを明らかにし
た。さらにはシェーグレン症候群の発症は一般には圧倒的に女性に多いにもかかわら
ず、本研究では男性に多いという偏りも示唆された。

4.

本疾患発症の季節性について検討を行った初めての研究である。春に比較的多く、秋
に少ない可能性が示唆された。

5.

本疾患発症の国内における地域性について、人数の資料を基に検討を行った初めての
研究である。報告が 10 年で 0-1 例の地域を除外した、関東、中部、近畿、中国、九州
では大きな差がない可能性が示唆された。

6.

治療にはプレドニゾロンが最もよく使われていることが示された。加えてその他のス
テロイドや免疫抑制剤、IGF-1、血液浄化、ピロリ菌除菌なども幅広く用いられている
ことが明らかとなった。

7.

IGF-1 による具体的な血糖への効果が示されたことで、その効果は限定的である可能
性が考えられた。

8.

本疾患発症前の 2 型糖尿病罹患状況や、インスリン使用状況を明らかにした。

9.

探索的解析として、患者の主要な血糖によって、高血糖パターン、低血糖パターン、
高血糖と低血糖パターンに 3 分類し、グループ間比較と検討を行った。低血糖パター
ンの 10 例のうち、9 例(90.0%)が男性であるという特徴を明らかにした。

以上、本論文は日本人症例を集積した報告としては最も多くの症例数であり、既報より
もより精度が高い検討が行われたと考えられる。さらには、高齢、男性に多いこと、低血
糖が大多数で観察されたこと、日本人症例ではシェーグレン症候群の合併が比較的多いこ
と、同疾患合併例の男女比の逆転の可能性など、海外・国内の既報とは異なる特徴が存在
することも示された。本研究で得られた知見は、本疾患の診断や治療、将来の病態解析な
どへの重要な貢献をなすと考えられる。
よって本論文は博士(医学)の学位請求論文として合格と認められる。

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