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大学・研究所にある論文を検索できる 「Quantitative monitoring of circulating tumor DNA in patients with advanced pancreatic cancer undergoing chemotherapy」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Quantitative monitoring of circulating tumor DNA in patients with advanced pancreatic cancer undergoing chemotherapy

杉森 慎 横浜市立大学

2020.03.25

概要

背景・目的:膵癌は解剖学的な複雑さも相まり,診断時には手術適応のない進行例であるケースが数多く見受けられる.これまでに FOLFIRINOX や GEM + nab-PTX 等の化学療法レジメンが開発されてきたが,生存期間中央値は膵癌で 7-11 か月程度と未だ極めて予後不良の難治癌である.近年,次世代型シークエンサー(Next-generation sequencer, 以後 NGS)等のゲノム解析技術の進歩によって大規模な癌ゲノム解析が可能となり,さらに今後は症例毎の癌ゲノムデータを基にしたゲノム医療の実践が喫緊の課題となりつつある.

腫瘍由来血中遊離遺伝子(circulating tumor DNA; 以後 ctDNA)は腫瘍内の変異遺伝子の簡便な入手ソースとして注目されてきたが,化学療法施行中の動態については未だ不明点が多く,バイオマーカーとしての有用性を持つのかどうかは不明である.これまでの大規模なゲノム解析の結果,膵癌の 90%超は KRAS codon12, 13 領域の変異を有し,比較的同一のドライバー変異を有する癌種であることが明らかとなっている.そこで本研究では,進行膵癌症例の診断時から化学療法施行過程における ctDNA 中の KRAS 変異遺伝子を,digital PCRを用いて経時的に定量的なモニタリングを行い,そのバイオマーカーとしての有用性を検討することを目的とした.

材料と方法: 膵癌 47 症例の超音波内視鏡下生検 (Endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration, 以後 EUS-FNA) 検体,および診断時の血清検体より DNA,および ctDNA を抽出し,KRAS codon12, 13変異の有無を digital PCR にて検討を行った.KRAS codon12, 13変異を検出しなかった EUS-FNA 組織由来 DNA 検体に対しては NGS 解析を行った.そのうち化学療法を実施された 21 症例については,6±2 週毎の血清検体より同様に ctDNA を抽出し,digital PCRを用いて変異検出割合の定量的モニタリングを実施した.

結果:まず EUS-FNA 組織検体の解析では 47 症例中 45 症例では digital PCR による解析で KRAS codon12, 13 変異を検出した.続く非検出例 2 症例に対して行った NGS 解析では各々, KRAS Q61K 変異と NRAS Q61R 変異をドライバー変異として検出した.診断時の血清検体より抽出した ctDNA の解析では,EUS-FNA 組織検体の解析で KRAS codon12, 13 変異を検出した 45 症例中 23 症例において KRAS codon12, 13 変異を検出し,その内訳は,肺及び肝転移症例:18/19 症例(変異検出割合:0.1–31.7%),腹膜播種症例:3/9 症例(変異検出割合:いずれも 0.1%),局所進行症例:2/17 症例(変異検出割合:0.1-0.2%)であり,肺及び肝転移症例は腹膜播種症例及び局所進行症例に比して有意に高い KRAS codon12, 13 変異検出割合を示した.化学療法実施中の 6±2 週毎のモニタリングは,KRAS codon12, 13 変異症例 20例と NRAS Q61R 変異症例 1 例に対して行われ,いずれの症例も概ね病勢に一致した変異検出割合の推移が観察された.診断時血清由来 ctDNA において KRAS codon12, 13 変異を検出しなかった局所進行症例 6 例は,肝転移出現による病勢増悪を認めたタイミングに一致して ctDNA 中の KRAS codon12, 13 変異を検出した.診断時血清由来 ctDNA において KRAS codon12, 13 変異が検出された肺及び肝転移症例 6 例は,部分奏功ないし安定と判定された期間内においては ctDNA 中の KRAS codon12, 13 変異は消失しており,肝転移出現による病勢増悪を認めたタイミングに一致して ctDNA 中の KRAS codon12, 13 変異を再度検出した.さらに,診断時血清由来 ctDNA において KRAS codon12, 13 変異が検出された症例症例群において,化学療法 1 コース施行後に ctDNA 中の KRAS codon12, 13 変異が消失した症例群は,消失しなかった症例群に比して有意に良好な 1 次化学療法の無増悪生存期間を認めた(各中央値:248.5 日 vs. 50 日, P < 0.001).

考察:digital PCR と NGS を用いた解析により,症例毎のドライバー変異を効率的に同定可能であった.ctDNA 中のドライバー変異の検出は,肺及び肝臓転移例で高率に検出可能であったが,腹膜播種例や局所進行例では低率であった.同定したドライバー変異の定量的モニタリングは病勢把握に有用で,肺及び肝臓転移出現時や肺及び肝臓転移巣の増大時に ctDNA中のドライバー変異を検出可能であった.また化学療法中の ctDNA 中のドライバー変異の消失は化学療法✰奏功予測因子の一つであると考えられた.

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