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大学・研究所にある論文を検索できる 「Cholangiographic Tumor Classification for Simple Patient Selection Prior to Hepatopancreatoduodenectomy for Cholangiocarcinoma」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Cholangiographic Tumor Classification for Simple Patient Selection Prior to Hepatopancreatoduodenectomy for Cholangiocarcinoma

Toyoda, Yoshitaka 豊田, 良鎬 名古屋大学

2020.04.02

概要

【緒言】
 肝切除兼膵頭十二指腸切除(Hepatopancreatoduodenectomy, HPD)は広範囲胆管癌に対して行われる術式であり、過去には10%を超える高い死亡率が報告されてきた。症例の蓄積に伴いその成績は段々と改善してきているものの依然として高い合併症・死亡率が報告されている。一方、HPDにより長期生存が可能性であることも判明してきた。長期生存の可能性が短期死亡リスクを上回るような患者選択が重要である。本研究では、術前胆管像とそれが予後にあたえる影響を評価した。その目的は長期生存の特徴を同定し、本術式の至適な患者選択法を確立することである。

【対象および方法】
 2001年1月から2017年12月までに当教室でHPDを施行した胆管癌104例から手術関連死亡4例(3.8%)を除く100例を対象とした。術前の胆管像における主狭窄・腫瘤の局在範囲により、びまん型および限局型に2分類した。腫瘍が上部胆管、中部胆管、下部胆管の3領域に浸潤するものをびまん型と定義し、2領域以内にとどまるものを限局型と定義した。これら2群間における背景因子、予後との関係を中心に後方視的に検討した。

【結果】
 びまん型を28例(28%)、限局型を72例(72%)に認めた。限局型では37例が肝門部胆管、35例が遠位胆管を中心とした。89例は術前からHPDが計画され、残る11例は術中所見からHPDに変更となった。背景因子は多くの項目で有意差を認めなかったが、びまん型では膵浸潤の頻度が高く、T因子がより進行し、リンパ節転移が多く、腫瘍長が長かった。全生存率は3年で62.3%、5年で49.2%、10年で32.3%であり、中央生存期間(MST)は4.03年であった。
 胆管像分類別でみると、びまん型では限局型に比して有意に予後が良好であった(5年生存率, 59.0%対26.3%;MST, 5.80年対2.27年, P=0.003)。単変量解析では胆管像分類に加えて高齢(70歳以上)、経皮的胆道ドレナージ、門脈切除、中・低分化型腺癌、pT3/4、リンパ節転移、断端陽性が予後不良因子であった。多変量解析では高齢(P=0.02)、経皮的胆道ドレナージ(P=0.007)、びまん型(P=0.021)、門脈切除(P=0.007)が独立予後因子であった。これら4因子の該当個数は予後と強く相関しており、該当個数が1項目以下の57例は2項目該当する27例に比べ有意に予後良好であった(5年生存率, 71.5%:36.2%;MST, 11.5年対2.38年, P<0.001)。一方、3項目以上該当する16例は全例術後4年以内に亡くなっており、中央生存期間は1.52年と不良であった。

【考察】
 HPDはその頻度が少ないため、HPD症例における特異的な予後因子に関しては不明である。今回の研究はこの挑戦的手術100例超を用いて予後因子を検討した初めての研究である。今回の検討では過去の研究において予後因子とみなされてきた脈管浸潤、膵浸潤、リンパ節転移、断端陽性の影響は認めなかった。この差は観察期間、対象症例数、分析項目の差に起因すると考えられる。経皮的アプロ―チによる胆道ドレナージが術後の播種のリスクを有意に上昇させ生存確率を低下させることが判明しているため、今回の検討では胆道ドレナージの種類も含めている。さらに、新たな胆管像分類が今回の検討で用いられており、この分類は膵浸潤やT因子、リンパ節転移と関連していた。これらのため、胆管像分類の潜在的な交絡要素がこれら病理学的因子の影響をマスクしていると考えられる。
 今回の胆管像による腫瘍分類は、標準的な胆管解剖に基づいて定義されている。腫瘍長の中央値をみると、びまん型で43mm、限局型で22mmと有意差を認めたため、腫瘍長を胆管像分類の代替指標とすることもできる。しかし、肝外胆管の長さは体格に依存しており、一般的に日本人が小柄であることを考慮すると、日本人で得られた腫瘍長分類を他人種に当てはめることはできない。このため、世界的な基準として腫瘍長を用いることは適切ではないと考えられる。
 興味深いことに限局型が全症例の3分の2を占めており、ほとんどの患者は表層拡大進展が原因でHPDを施行されていた。表層拡大進展が主腫瘍部から2cmを超えて存在することは肝外胆管癌の6-15%で認められるが、これを胆管像のみで診断するのは困難である。そのため胆管生検が必要となる。初めからHPDを計画されていた限局型患者61例中49例(80.3%)の患者で広範な胆管生検が行われていた。術中にHPDに術式変更となった患者11名において胆管生検が行われていたのは1例のみであった。この知見は胆管癌におけるマッピング生検の有用性を示している。
 HPDの手術適応として、Aokiらはリンパ節転移陰性例を挙げている。しかし、病理学的リンパ節転移を通常のMDCT検査で術前診断するのは困難なことから, 術前の患者選択法として有用性は乏しい。本研究では, 長期生存に関して、胆管像分類の他に年齢、胆道ドレナージ法、門脈切除が独立予後因子であった。門脈切除は手術因子と考えられるが、MDCTにより94%の正確さで術前にその必要性を診断可能である。そのため、これら4つの独立予後因子はすべて術前に評価可能である。これら4因子の該当項目数は有意に生存と関連していた。0もしくは1項目該当症例では最も生存率が良好なため、HPDは強く推奨される。一方、3もしくは4項目該当症例では中央生存期間1.52年と予後不良である。胆管癌非切除症例の中央生存期間が0.83-0.98年であることを考慮すると、HPDの適応はないと考えられる。2項目該当症例ではその中間の結果であり、術前後の補助療法が考慮されるべきであると考える。この3つの臨床的分類はHPDの術前適応を考慮する際に有用である。

【結論】
 HPDを施行する胆管癌において、胆管像分類は生存期間に有意に関係する。この腫瘍因子以外に、年齢、胆道ドレナージ法, 門脈切除も独立して関与する。これら術前に評価可能な4因子を用いると、効果的な患者選択が可能となるであろう。

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