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大学・研究所にある論文を検索できる 「Occult synchronous liver metastasis from perihilar cholangiocarcinoma」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Occult synchronous liver metastasis from perihilar cholangiocarcinoma

Ohiwa, Takashi 大岩, 孝 名古屋大学

2020.04.02

概要

【背景】
 肝門部領域胆管癌において術前画像診断や術中検索で見落とされ肝切除後の病理検査で初めて発見されるような肝転移(occult liver metastasis:以下、OLM)については全く報告がない。本研究の目的はOLMの頻度、特徴、予後について検討することにある。

【方法】
 対象は2001年~2016年に当科で治療した肝門部領域胆管癌945例(非切除260例、切除685例)を医療記録に基づいてretrospectiveに検討した。調査対象を以下の5群にわけて検討した。術前画像診断で肝転移を認めた非切除例をA群、術中検索および術中迅速病理検査で肝転移を認めた非切除例をB群、肝転移を認めたが肝切除を伴う胆管切除を行ったものをC群、肝切除後の病理検査でOLMが見つかった切除例をD群、病理検査で肝転移を認めなかった切除例をE群とした。結果はmedian(range)で記載し、P<0.05を有意差ありとした。

【結果】
 肝転移は非切除例260例の内、30例(11.5%)に認められ、A群15例、B群15例であった。切除685例中肝切除は672例(葉切除以上が665例)に施行された。うち21例(3.1%=21/672)にOLM(D群)が認められた。C群は6例(0.9%)であり、残り645例がE群であった。D群のOLMの個数は1(1-6)/case、大きさは5mm(1-12mm)であった。OLM(D群)と肉眼的肝転移症例(A, B, C群)の比較では年齢、性、CEAおよびCA19-9値、Bismuth typeにおいて有意差はなかったが、肝転移の大きさはD群が有意に小さかった(5mm vs 12mm, P<.001)。続いてOLM(D群)と肝転移を認めなかったE群とを比較検討した。年齢、性、CEAおよびCA19-9値に差は無かったが、Bismuth type IV、microscopic venous invasion、microscopic liver invasion、リンパ節転移などの頻度はD群が有意に高率であり、D群はE群に比べより進行した症例が多く認められた。
 続いて生存率を5群で比較した。A群、B群、C群の3群はほぼ同等で、ほとんど症例が2年以内に死亡した。2000年代前半、我々は転移巣を含む肝切除を行うことでQOLの改善を期待できると考え、肉眼的肝転移のある6例(C群)に切除を行った。しかし、2年生存を認めず、生存曲線も非切除のA群、B群とほぼ同様であった。ゆえに、現在は術前画像診断および術中検索で肝転移を認めた症例は、非切除としている。
 またD群の生存率はE群と比較すると低いが、A群、B群、C群の3群と比較すると有意に高い結果となった。MSTはA群、B群、C群の3群で7.4ヶ月、D群で17.1ヶ月、E群で45.2ヶ月であった。D群21例の内、OLMが単発であったものは15例、複数であったものは6例であったが、生存期間に差を認めなかった。(MST19.6 vs 16.7ヶ月 p=.789)。D群を術後補助化学療法を行った11例と行わなかった10例にわけ比較検討したところ、MST25.5vs10.0ヶ月で、補助化学療法を行った群で長期予後が得られる結果となった。補助化学療法の内容はgemcitabine5例、TS-1 5例、gemcitabine+cisplatin 1例であった。補助化学療法施行されなかった理由は、gemcitabineおよびTS-1が保険適応となる2007年以前の手術であったこと(6例)、患者拒否(3例)、不明(1例)であった。D群21人の内19人が再発し死亡しているが、補助化学療法を行った11例中2例は現在術後44ヶ月および33ヶ月無再発生存中である。
 D群を年齢、性別、CA19-9、CEA、肝切除率、術中出血量、肝転移個数、リンパ節転移の有無、R0切除率、補助化学療法の有無で単変量解析を行ったところ、転移リンパ節の有無(P=.019)、補助化学療法の有無(P=.008)において有意差を認めた。多変量解析でも転移リンパ節の有無(P=.045)、補助化学療法の有無(P=.023)が独立した予後因子であった。しかし補助化学療法の有益性については症例数が少なく、さらなる研究が必要と考えられる。
 続いて切除検体の取り扱いについて言及したい。当科ではホルマリン固定後、肝を5mm間隔で割を入れ、割面を肝転移を疑う小結節がないか注意深く観察する。割面に小結節が見つかれば、同部位の切片を作成し、病理学的に転移の有無を判断している。OLMのある21例は肝転移がM1病変であるため、p-StageⅣBに分類される。現在、我々の施設ではリンパ節陽性、R1切除、OLMの症例ではTS-1内服による補助化学療法を原則行っている。もし、OLMが見逃されれば、異なるstageに分類される。より低いstageに診断されることで、術後補助化学療法の機会を失う可能性が示唆された。我々の研究では、術前肝転移診断率は低値であった。OLMを含む57人の肝転移を認めた患者の内、術前のCTで診断されたのはわずか20人(35.1%)であった。当科では肝門部領域胆管癌の術前検査でMRIを原則行っていない事が、術前肝転移診断率が低い原因であるかもしれない。肝転移がみつかった患者に関しては1例もMRIは施行していなかった。たとえMRIを行ったとしても、1㎜前後のOLMをMRIで検出するのは困難かもしれないが、肝転移の診断精度を改善するのは非常に重要な課題と考えられる。

【結語】
 OLMは肝門部領域胆管癌に対する肝切除例の約3%に認められ、極めて稀と言う訳ではない。OLMの症例では術後補助化学療法を追加することで生存率を改善させる可能性が示唆された。正確なstagingおよび適切な化学療法を行うために詳細な切除標本の検索が必要である。

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参考文献

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