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大学・研究所にある論文を検索できる 「経鼻インフルエンザワクチンで誘導された抗ヘマグルチニンストークIgA抗体の抗ウイルス機能に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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経鼻インフルエンザワクチンで誘導された抗ヘマグルチニンストークIgA抗体の抗ウイルス機能に関する研究

佐野 芳 東北大学

2020.03.25

概要

分泌型 IgA 抗体(SIgA)として粘膜表面に分泌される IgA 抗体は、インフルエンザウイルス感染防御に重要な役割を果たす。最近の研究では、インフルエンザウイルスの主要糖タンパク質抗原であるヘマグルチニン(HA)のヘッド領域を標的とする抗 HA ヘッド抗体が、IgA の多量体化により、HA 結合活性に加えて、血球凝集阻害(HI)やウイルス中和(NT)などの抗ウイルス機能を高めることが報告されている。しかしながら、抗 HA ヘッド抗体とは異なる作用機構により抗ウイルス活性を示す IgA 抗体の機能特性については未だ明らかにされていない。本研究では、HA のストーク領域を認識し、複数のウイルス亜型や株を中和できる抗 HA ストーク広域中和抗体(bnAb)クローン、F11(経鼻接種型不活化インフルエンザワクチン接種者から分離)の抗ウイルス機能について評価を行った。クローン F11 および FI6(既報の抗 HA ストーク bnAb)の IgA 抗体は、HA 反応性、HI 活性、ノイラミニダーゼ阻害(NI)活性、および NT 活性を示した。 これらの抗 HA ストーク抗体の HA への結合性は抗 HA ヘッド抗体と同様に IgA 多量体化により増強された。一方、抗 HA ヘッド抗体とは異なり、抗 HA ストーク抗体では IgA 多量体化による HA 結合性の変化と抗ウイルス活性(HI、NI、および NT)の変化との間に明らかな相関関係は認められず、IgA 多量体化による抗ウイルス活性増強効果の制御機構が不明であった。IgA 抗体は IgG 抗体にはない Fc 領域の糖鎖により Fab 領域の可変領域(パラトープ)非依存的に HA に結合することが知られていたことから、ワクチン接種者から HA への結合性を示さないパラトープを有する抗体クローンを分離し IgA 抗体として作製し、IgA 多量体化による HA 結合性と抗ウイルス活性の変化を解析したところ、抗 HA ストーク抗体の IgA 多量体化による抗ウイルス活性増強効果には、Fab パラトープ媒介性 HA ストーク結合と Fc 糖鎖媒介性 HA ヘッド結合の 2 種類の結合様式が関与していることが明らかになった。すなわち、Fab パラトープ媒介性 HA ストーク結合が Fc 糖鎖媒介性 HA ヘッド結合よりも優位な場合には、IgA 多量体化は HA 結合と抗ウイルス活性(HI および NI 機能)を増強させた。対照的に、Fc 糖鎖媒介性 HA ヘッド結合が支配的である場合、HA 結合性や抗ウイルス活性は IgA多量体化により減弱した。以上の結果から、HA と抗体の結合における Fab パラトープと Fc 糖鎖という、2 つの独立した結合モジュール間のバランスが、抗ウイルス活性における IgA 多量体化の効果を決定すると考えられ、このバランスは抗体クローンとウイルス株の組み合わせにより変化することが本研究により明らかになった。本研究は、抗 HA ストークIgA 抗体と HA 抗原との間の様々な相互作用様式を解析することにより、 IgA 多量体化による抗ウイルス活性増強に寄与する因子を明らかにしており、経鼻不活化インフルエンザにより誘導される抗インフルエンザウイルス粘膜免疫に関する理解をさらに深めるものである。

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