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大学・研究所にある論文を検索できる 「A型インフルエンザウイルスのHA蛋白質に保存されたエピトープに結合するヒトモノクローナル抗体の性状解析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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A型インフルエンザウイルスのHA蛋白質に保存されたエピトープに結合するヒトモノクローナル抗体の性状解析

濱端, 大貴 東京大学 DOI:10.15083/0002006948

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 濱端 大貴
インフルエンザウイルスは、HA 蛋白質の抗原性変化により宿主の獲得免疫から逃れる
が、HA 蛋白質には抗原性が変化しにくい保存領域も存在する。この領域を標的とする感染
阻害抗体は、抗原性が変わっても機能を失わないため、長期に渡り感染防御に寄与する。
そこで本研究は、HA 蛋白質の保存されたエピトープに結合する抗体の探索および性状解析
を試み、下記の結果を得ている。
1. H1 および H3 亜型の HA 蛋白質に対する 76 種類のヒトモノクローナル抗体の反応性を
ELISA で調べた結果、11 種類の抗体が H1 および H3 亜型の両方の HA 蛋白質を認識した。
これらの 11 種類の抗体について、A 型インフルエンザウイルスの全 18 亜型の HA 蛋白質
に対する反応性を ELISA で調べた結果、クローン 034-10040 4F02 のみが全ての亜型の
HA 蛋白質に結合した。
2. H1 亜型および H3 亜型のウイルスに対する 034-10040 4F02 の中和活性を調べた結果、
034-10040 4F02 は供試した 3 種類の H1 亜型のウイルスいずれに対しても中和活性を示さ
なかったが、16 種類中 7 種類の H3 亜型のウイルスに対して中和活性を示した。
3. 034-10040 4F02 のエピトープを調べるため、エスケープ変異ウイルスを取得し、中和試
験を行ったところ、278 番目のセリンおよび 418 番目のイソロイシンにおける変異がエス
ケープに重要であることが分かった。また、競合結合試験の結果、034-10040 4F02 のエピ
トープは Head 領域と Stem 領域の中間付近に位置することが分かった。
4. 血球凝集阻止 (HI) 試験、プラーク減少試験、膜融合阻害試験およびウイルス放出阻害
試験の結果から、034-10040 4F02 はウイルスの赤血球凝集活性および膜融合活性を阻害す
ることで細胞への侵入を抑制し、子孫ウイルスの細胞からの放出を抑制することが分かっ
た。また、034-10040 4F02 はウイルス感染細胞の表面に輸送された HA 蛋白質に結合し、
その Fc 領域を介して NK 細胞やマクロファージが活性化することで、感染細胞を破壊し、
感染防御に寄与する ADCC 活性を誘導することが分かった。
5. 034-10040 4F02 がマウスに対する H1, H3, H5 および H7 亜型のウイルスの致死的感染
に対して感染防御能を示すか調べた。その結果、034-10040 4F02 は H1, H3, H7 および
H9 亜型の各ウイルスに対して個体レベルで感染防御活性を示すことが分かった。
以上、本論文は様々な亜型の A 型インフルエンザウイルスに対して感染防御活性を示す
抗体 034-10040 4F02 を見出した。この抗体のエピトープは、過去に報告がない新たな保存
領域であり、今後のワクチン開発に重要な貢献をなすと考えられる。
よって本論文は博士( 医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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