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大学・研究所にある論文を検索できる 「The Extreme Universe and Multi-Wavelength Sky Probed by TeV Gamma-Ray Observations : Pulsar TeV Halos, Radio Emission from Quiescent Galaxies, and Black-Hole Jets」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

The Extreme Universe and Multi-Wavelength Sky Probed by TeV Gamma-Ray Observations : Pulsar TeV Halos, Radio Emission from Quiescent Galaxies, and Black-Hole Jets

須藤, 貴弘 東京大学 DOI:10.15083/0002006677

2023.03.24

概要

論文審査の結果の要旨
氏名









本論文はエネルギーが TeV 領域のガンマ線の観測によって得られた新たな情報をもと
に高エネルギー現象を担う高速回転する中性子星(パルサー)に関する未解決の問題に切
り込み、楕円銀河の電波源としてのパルサーの新たな側面を見出した。さらにブラックホ
ールからのジェットにおける加速機構に制限を与える議論を具体的な天体2例に関して
行なった。
本論文は6章と2つの補遺からなる。第1章は、イントロダクションであり、ガンマ線
観測が高エネルギー宇宙線の起源を探る重要な手段となっていることが述べられている。
特に、エネルギーが TeV を超えるガンマ線は銀河系内で加速される最高エネルギーの宇
宙線の起源の情報を持っていることが論じられている。そのようなガンマ線の検出がチ
ェレンコフ光を用いた観測で可能になった最近の状況を概観し、そのような新しい観測
結果がもたらす知見を理論的に調べるという本論文の目的が述べられている。
第2章は近傍のパルサーから見つかった TeV ハローとその理論的モデルについて述
べ、TeV ハローを持つパルサーの種族合成モデルが説明されている。さらに、既存の観測
がもたらすこれらのモデルへの制限について論じている。まず、高高度水チェレンコフ天
文台 HAWC によって見つかった 39 の TeV ハローによって、パルサーの初期自転周期に
制限がつく可能性を論じている。次に水チェレンコフ検出器 Milagro によって検出され
た TeV ガンマ線の銀河内に広がった成分の強度はそれまでの GeV ガンマ線強度から従
来予想されていたものよりかなり大きく、TeV ハローの寄与が大きいことが期待される
ことが示された。本研究で構築したパルサーの TeV ハロー種族合成モデルからの予想強
度が測定された強度を超えないための条件についても議論している。TeV ハローの銀河
系でのガンマ線源としての重要性にいち早く気づき、TeV ガンマ線観測がパルサー形成
に関する情報をもたらすことを示した点は高く評価できる。
第3章では星形成率は小さいが明るい銀河から観測される電波の放射源としてミリ秒
パルサーの可能性が検討されている。ミリ秒パルサーが短い自転周期を獲得するのは、中
小質量星を伴星にもつ近接連星系にある中性子星に、進化した伴星の膨張した外層を降
着するのが原因である。伴星が進化し膨張するまでには時間がかかることを考慮すると、
その数は銀河の星形成率には依存せず、その質量に比例することが指摘されている。銀河
系にあるミリ秒パルサーのガンマ線観測結果を説明できるようなエネルギー分布を持つ
電子がシンクロトロン放射で電波を放射すると仮定して、銀河からの電波強度と星形成
率の関係を計算し既存の観測結果と比較したところ、良い一致を示したことが述べられ
ている。明るい銀河の電波源としてミリ秒パルサーを新たに提案し、観測と比較しうるモ
デルを提示したことは、今後のこの分野の発展に大きく寄与するものと高く評価できる。
第4章では連星系中のブラックホールから放出されるジェットにおいて、加速された
電子の輸送方程式を解いて電子のエネルギー分布を計算することで、非熱的に放射され

る電磁波のスペクトルを 10 μeV から 1 PeV に渡る広いエネルギー領域にわたって計
算し、銀河系内にある SS 433 という天体と比較している。観測されたスペクトルを説明
するには非常に高い加速効率が要求されることが見出され、磁気乱流統計加速では実現
が難しく、衝撃波統計加速の方が働いていると結論されている。
第5章では電波銀河 Centaurus A の活動銀河核から放出されるジェットに第 4 章で述
べられたモデルを適用している。その結果、ジェット中にある X 線でより明るく光るノ
ットと呼ばれる領域で加速され拡散した電子が放射したとして計算された X 線および
TeV ガンマ線の強度が観測値を説明することを示した。
第 4 章、第 5 章では、加速された粒子の伝播を考慮して導出した粒子のエネルギー分
布をもとに電磁波スペクトルを計算し、多波長観測と定量的に比較してジェットの物理
的状況に関する情報を引き出した点は独創的で高く評価できる。
第 6 章はまとめと結論である。
なお、本論文第2章および第 3 章は、Tim Linden、 John F. Beacom との共同研究、
第 4 章および第 5 章は Dmitry Khangulyan、井上芳幸との共同研究であるが、論文提出
者が主体となって仮説の提案及び計算を行ったもので、論文提出者の寄与が十分である
と判断する。
したがって、博士(理学)の学位を授与できると認める。

この論文で使われている画像

参考文献

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