書き出し
超伝導とFloer理論
概要
2階の非線形偏微分方程式であるGinzburg-Landau方程式は,超伝導現象を記述する基本方程式である.特殊な状況では,vortex方程式とよばれる2次元多様体上の1階の非線形偏微分方程式がGinzburg-Landau方程式の解を与える.vortex方程式は,Seiberg-Witten方程式とよばれる4次元多様体上の非線形偏微分方程式と,数学的構造が類似している.Seiberg-Witten方程式の次元簡約により得られる3次元多様体上の方程式や,シリンダー上の端を持つ4次元多様体上のSeiberg-Witten方程式の情報を系統的に取り出す手法として,Floer理論(モノポールFloer理論)というものがある.ここでは,vortex方程式およびその次元簡約によって得られる1次元多様体上の方程式を,Floer理論のアイディアを用いて調べる.Floer理論の意味での臨界点を分類し,シリンダー状の端を持つ2次元多様体上のvortex方程式の解の漸近挙動に関する結果を導く.