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大学・研究所にある論文を検索できる 「実験的歯周炎モデルマウスにおける歯肉上皮細胞および好中球に着目した歯周炎持続メカニズムの解明」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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実験的歯周炎モデルマウスにおける歯肉上皮細胞および好中球に着目した歯周炎持続メカニズムの解明

竹村 翼 広島大学

2020.03.23

概要

学 位













実験的歯周炎モデルマウスにおける歯肉上皮細胞お
よび好中球に着目した歯周炎持続メカニズムの解明

竹村



広島大学大学院医歯薬保健学研究科
博士課程 医歯薬学専攻
修了年度 2019 年

主指導教員:栗原

英見

教授

(医系科学研究科 歯周病態学)

【目的】
歯周病は細菌感染と免疫応答からなる慢性炎症性疾患である。炎症が長期的に持続する
ことで、炎症性サイトカインの継続的な全身への移行、血中 CRP が上昇することが知られ
ており、糖尿病やリューマチ等の様々な疾患に影響することが知られている。一方で、歯周
炎がどの様に長期間持続していくかについては不明な点が多い。歯周病の病態メカニズム
について明らかにすることは歯周病の治療ひいては全身の健康維持を考える上で極めて重
要である。以上のことから私は、歯周病の炎症持続メカニズムを上皮と好中球に着目して明
らかにすることとした。
【材料と方法】
1.絹糸結紮実験的歯周炎モデルにおける歯周炎の経時的評価
動物は BALB/c の雄(7~9 週齢)を使用した。上顎第二臼歯に 7-0 絹糸を結紮し、歯周炎
を惹起させ実験を行った。絹糸結紮実験的歯周炎マウスモデルにおける接合上皮および歯
肉上皮の組織学的変化, 局所定着細菌数, および歯槽骨吸収量の変化を明らかにすること
を目的とし実験を行った。組織学的分析は、マウスをサクリファイスし上顎骨を採取、通法
通りにパラフィン包埋切片を作製、HE 染色また E-cadherin(上皮細胞間接着因子)の免疫染
色を行った。局所の細菌感染評価は、絹糸を回収し、好気性細菌感染の評価は BHI 液体培
地(1ml)に回収後、BHI 寒天培地に播種、2 日間 37℃にて培養、また嫌気性細菌感染の評価
は TSBYE 液体培地(1ml)に回収後、血液寒天培地に播種、1 週間 37℃にて嫌気培養後に
CFU カウントを行った。歯槽骨吸収量の評価は、絹糸を除去し、歯槽骨吸収量の計測を行
った。
2.絹糸結紮モデルマウスにおける歯周炎の分子生物学的評価および好中球の動態分析
歯周炎進行メカニズムを分子生物学的分析および好中球の動態評価によって明らかにす
ることとした。前項と同様、動物は BALB/c の雄(7~9 週齢)を使用した。上顎第二臼歯に
7-0 絹糸を結紮し、歯周炎を惹起させ実験を行った。炎症性サイトカインである IL-1β, IL6, IL-17, マウス好中球ケモカインである CXCL1, CXCL2, 上皮細胞間接着因子である Ecadherin の mRNA 発現を real-time PCR で解析し, 歯周組織中の好中球動態をフローサイ
トメトリー法, 免疫染色法により評価した。分子生物学的分析は、口蓋側歯肉を採取し、RNA
抽出後に real-time PCR 法にて、IL-1β, IL-6, IL-17 (炎症性サイトカイン)また CXCL1,2
(好中球ケモカイン)さらに E-cadherin の mRNA 発現について解析を行った。好中球動態の
評価は、歯槽骨周囲のみをトリミングしⅣ型コラゲナーゼ処理後(37℃,1hr)に歯肉を回収、
ホモジナイズにて細胞回収し CD45(白血球マーカー)、CD11b Ly6G(好中球マーカー)抗体
の染色操作を行い、FACS による解析を行った。また、上顎骨を回収し固定、脱灰後に凍結
切片を作製し、Ly6G の免疫染色を行った。

3.炎症性サイトカインおよび好中球ケモカインが口腔粘膜上皮細胞に与える影響の検討
IL-1β, IL-6 がヒト不死化口腔粘膜上皮細胞 (RT7)の E-cadherin の mRNA 発現に与え
る影響を検討した。また、IL-17 および IL-8(ヒト好中球ケモカイン)が上皮細胞バリアへ与
える影響を検討した。炎症性サイトカインの上皮間接着因子発現に対する影響の検討は、不
死化したヒト口腔粘膜上皮細胞(RT7)を用い、ヒトリコンビナント IL-1β もしくは IL-6 刺
激を加えることで E-cadherin の mRNA 発現への影響を real-time PCR 法にて解析を行っ
た。IL-17 および IL-8(ヒト好中球ケモカイン)が上皮細胞バリアへ与える影響の検討は、
RT7 を用い、ヒトリコンビナント IL-17 を加え、IL-8, E-cadherin の mRNA 発現への影響
を real-time PCR 法にて解析を行った。また、IL-17 もしくは IL-8 刺激を加え、細胞スクラ
ッチ法により、上皮細胞の遊走、増殖能への影響を評価した。
【結果と考察】
1. 絹糸結紮実験的歯周炎モデルにおける歯周炎の経時的評価
絹糸結紮により歯周炎を誘発し経時的に評価を行うことで
a.結紮 1 日後に上皮バリアの破壊, 結紮 5 日後に上皮バリアの修復を認めた。
b.絹糸から検出された好気性および嫌気性細菌は共に結紮 5 日で有意な増加を認めた。
c.歯槽骨吸収は結紮 5 日で非結紮群と比較し有意な進行を認めた。
2. 絹糸結紮モデルマウスにおける歯周炎の分子生物学的評価および好中球の動態分析
絹糸結紮により歯周炎を誘発し経時的に評価を行うことで
a.CXCL1, CXCL2, IL-17 の mRNA 発現は, 結紮初期と後期に二峰性のピークを認めた。
b.歯周組織における好中球の割合は, 結紮初期と後期で二峰性のピークを認めた。
c.免疫染色において, 結紮初期と後期で歯肉上皮下に好中球の浸潤を認めた。
3. 炎症性サイトカイン, 好中球ケモカインが RT7 細胞に与える影響
IL-6, IL-1β 刺激, またスクラッチ法を行うことで
a.IL-6, IL-1β 刺激は, RT7 における E-cadherin の mRNA 発現を減少させた。
b.IL-8, IL-17 刺激は, RT7 における細胞増殖能, 遊走能を亢進させた。
c.-IL-17 刺激は, RT7 における IL-8 の mRNA 発現を濃度依存的に増加させた。
以上から絹糸結紮歯周炎モデルは初期に上皮破壊が生じ、深部組織への急激な細菌感染拡
大が生じることで急速な炎症の拡大と歯槽骨の吸収が生じる。一方で上皮バリアが修復傾
向に入ることで深部組織への細菌感染がある程度遮断され、炎症応答が収束し、維持されて
いくと考えられる。したがって、炎症が軽微な状態で長期的に維持されるメカニズムには上
皮バリアの修復が関与している可能性が示唆された。また、上皮バリアの修復には IL-17 や
IL-8が関与している可能性が示唆された。

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