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大学・研究所にある論文を検索できる 「小児固形腫瘍に対する多層性解析による新規標的治療の創出」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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小児固形腫瘍に対する多層性解析による新規標的治療の創出

渡邉, 健太郎 東京大学 DOI:10.15083/0002007053

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 渡邉 健太郎
本研究は小児の代表的な悪性固形腫瘍である神経芽腫と骨肉腫の新規治療標的を開発する
ため、それぞれの臨床検体をもとにした遺伝子発現および DNA のメチル化状態のデータ
解析を行い、そこから抽出した候補遺伝子について細胞実験で治療標的としての可能性を
検討したものであり、下記の結果を得ている。
1. 神経芽腫の DNA メチル化状態のデータを解析することにより、既知の予後不良群の
中に DNA メチル化プロファイルに特徴のある超予後不良群があることを見出し、発
現解析との複合によりその群に特徴的に強く発現し予後に関与する遺伝子としてセリ
ン代謝を司る PHGDH 遺伝子を抽出した。細胞株を用いた実験により PHGDH 遺伝子
の阻害が神経芽腫細胞の増殖を抑制し、治療の標的となりうることを確認した。ま
た、メタボローム解析などの複合により、アルギニン代謝阻害剤やシスチン取り込み
阻害剤の併用が、一部の神経芽腫細胞に対して PHGDH 阻害剤の治療効果を増強する
可能性が示された。
2. 骨肉腫の発現アレイのデータを解析することにより、骨肉腫は遺伝子発現プロファイ
ルの異なる 2 群に分かれ、2 群は予後に有意な差が見られることを示した。さらにこ
のうち予後不良の群に特徴的に強く発現し予後を規定する遺伝子として抽出した遺伝
子群の中から、細胞株を用いたノックダウン実験により、蛋白の翻訳後修飾に関わる

C1GALT1 遺伝子を新たな治療標的の候補遺伝子として絞り込み、また itraconazole
がこの阻害剤として治療薬剤の候補となりうることを示した。そして、C1GALT1 の
阻害による細胞内で起こる変化をリン酸化アレイおよび RNA シークエンスにより観察
することで、さらなる併用治療の候補薬剤の提示を行った。
以上、本論文は神経芽腫と骨肉腫に対するデータ解析と細胞実験により、それぞれの新た
な治療標的となりうる候補遺伝子を抽出し、それに対する治療介入の可能性を示した。本
研究は難治性神経芽腫および骨肉腫の性質の解明および新規治療の開発に対して重要な貢
献をなすと考えられる。
よって本論文は博士( 医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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