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大学・研究所にある論文を検索できる 「Studies on the postharvest morphological and physiological characteristics of cut dahlias」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Studies on the postharvest morphological and physiological characteristics of cut dahlias

Yang, Yang 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24238

2022.09.26

概要

キク科(Asteraceae)は被子植物の中で最も大きな科の一つで、レタス、キク、ガーベラ、ヒマワリなど重要な園芸作物を含んでいる。これまで、キク科の花序の老化は、キクを代表として、エチレン非感受性の花弁の萎凋によると考えられてきた。しかし、本研究で取り上げたダリア(DahliaCav.)切り花の日持ち性はキクに比べて著しく劣り、花弁の老化は萎凋や変色によって特徴づけられ、これが頭状花序の外側の舌状花から内側の舌状花に向かって進むことから、キクとは異なる機構で老化が進行するのではないかと考え、研究を開始した。本論文は以下の3章からなる。

第1章ではまず、花弁の引抜抵抗を計測することで花弁の離脱のしやすさを計測したところ、外側の小花から内側の小花に向かって花弁の萎凋・変色の前に引抜抵抗値の低下が進行すること、時間経過とともに離脱部位が花托と子房の間から子房と花弁の間に変わることが明らかとなった。この引抜抵抗値の低下と並行して、小花のエチレン生成の増大が進行することが明らかとなった。また、形態的な観察から、花弁と子房の境界部において離層の形成が進行すること、この離層形成は最外層の小花では切り花の収穫時点ですでに始まっていることを示した。さらに、小花単位で老化の様相を観察する実験系を考案して花弁の老化に対する子房の影響を確認したところ、子房を取り除いた小花では離層が形成されず老化が遅れること、子房がない場合には花弁の新鮮重や糖濃度が高く維持されることから、離層の発達が花弁への水や糖の流入を阻害することで老化が促進されることを示した。外生エチレンはこの離層の発達を促進し、花弁の引抜抵抗値を低下させた。一方、収穫前のインタクトな花序に対して処理したエチレン作用阻害剤である1-MCPは、収穫後の小花花弁の老化を抑制した。以上の結果から、ダリア切り花の老化は、キク切り花とは異なり、エチレン感受性の花弁の離脱によると結論づけた。さらに、キク亜科でもキンセンカ連(Calenduleae)やダリアが属するハルシャギク連(Coreopsideae)には同様の老化様式をとる種があり、キク科の花序の老化を一律にキクで代表させることはできないと考察している。

第2章では、花序、葉、茎の切除を行うことで、各器官の老化に対する影響を検討した。その結果、茎や葉の有無は花序の老化にはほとんど影響しないが、花序を切除すると葉の老化は著しく抑制されることを示した。花弁中にはフルクトース、グルコース、スクロースおよび少量のミオイノシトールが検出され、これらの糖レベルは収穫後急激に低下した。葉や茎ではこれらの糖質に加え、1-ケストースおよびニストースが多量に検出され、フラクタンが貯蔵炭水化物であることが示唆された。各器官の糖の動態から、花序が炭水化物の強いシンク器官となっており、葉や茎がソース器官となっていると考えられるが、花弁中には貯蔵炭水化物であるフラクタンがないことや離層により糖の流入が制限されることに加え、花弁の著しく高い呼吸量が急激な糖濃度の低下を引き起こし、このことがダリア切り花の低日持ち性の原因となっていると考察した。また、収穫後数日間は切り花から生け水に糖が漏出した。花序を切除した場合に糖の漏出量が増加したが、やがて茎基部にカルスが形成されて漏出は低く抑えられるようになることを明らかにした。

第3章では、葉や花序を切除する代わりに、熱剥皮処理を行うことで、熱剥皮処理が器官切除の代替になるかどうかを検討した。予想に反し、花首の熱剥皮処理は葉の寿命を短縮した。しかし、それ以外の熱剥皮処理の影響は葉や花序を切除した場合と類似することを示した。

以上より、本研究は、キク科ダリア属切り花の花序の老化を形態的および生理的に再検討したものであり、エチレン感受性の花弁の離脱により老化することを明らかにするとともに、キク科の園芸植物の花序の老化に関して、キクに代表されるエチレン非感受性の花弁の萎凋が原因とするこれまでの考えは再検討する必要のあることを示した。

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