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大学・研究所にある論文を検索できる 「Renal function is associated with blood neurofilament light chain level in older adults」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Renal function is associated with blood neurofilament light chain level in older adults

赤嶺, 祥真 大阪大学

2021.03.24

概要

〔目的(Purpose)〕
神経疾患診療において、病勢評価および治療効果判定は臨床症状およびバイオマーカーによってなされる。疾患の活動性と臨床症状はしばしば乖離するため、バイオマーカーによる評価が非常に重要な位置を占める。
現在一般診療で実施可能なバイオマーカー検査は脳脊髄液(CSP)検査や画像検査(CT, MRI, IMP-SPECT, FDG-PETなど)であるが、侵襲性や費用の高さ、放射線被曝の影響があるため、実施できる状況や回数に大きな制限がある。 ニューロフィラメント軽鎖(NfL)は神経細胞を構成する骨格蛋白であり、神経傷害によって間質液中に放出され、拡散してくと考えられている。血液NfL濃度は様々な神経傷害に伴って上昇する事が知られており、既にこれまで、前頭側 頭型認知症をはじめとする認知症性疾患や多発性硬化症、脳梗塞などにおいて血中NfL濃度が病勢評価や予後予測因子として利用できる可能性が多数報告されている。血中NfL濃度測定は採血のみで実施できるため、患者への身体的•金銭的負担を最小限に抑えつつ繰り返し評価できるバイオマーカーとして非常に注目されている。しかし、NfLの血中における動態や増加•減少に関連する因子はほとんど知られていない。現時点では少なくとも加齢に応じて血中NfL濃度が増加する事が分かっているが、それが加齢による神経変性を反映しているのか、他の加齢に伴う生理的変化に基づくものかも明らかでない。血中NfLを神経疾患のバイオマーカーとして活用するため、血中NfL動態に関わる機序を明らかにして、測定値の適切な解釈方法を見出す必要がある。腎臓は小分子最の蛋白排泄および代謝に関わるとされているが、過去の報告では腎機能と血中NfL濃度の関連について異なる結果が出ており、結論が出ていない。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
二つの異なる60歳以上の集団(定期健診コホート、2型糖成病コホート)を用いて、血清クレアチニン濃度または椎定した腎機能と血中NfL濃度の関連を調べた。定期健診コホートは大阪大学職員を対象とした定期健康診断を2016年4月から2017年3月までに受診した者のうち、60歳以上かつHbA1cが6.5%未満であり神経疾患の既往がない者(n=44)を対象とした。2型糖尿病コホートは、大阪大学医学部附屈病院糖尿病•内分泌・代謝内科外来を2018年7月から2019年6月までに受診した患者のうち60歳以上の者(n=188)を対象とした。血清クレアチニン濃度は定期健康診断または一般診療において得られた測定値を用いた。
血中NfL濃度測定には2020年時点で最も信頼性高く血中NfL濃度を測定できるSimoa platformを用いたSimoa HD-1 analyzerを用いた。全ての測定はduplicateで実施され、CV (Coefficient of Variation)値が0.2を超えるか測定エラ 一が生じたものは解析から除外された(n=1)。全ての統計解析は両側検定で有意水準をa=0.05に設定した。
まず、血中NfL濃度と血清クレアチニン濃度が相関するか否かを評価した。その結果、いずれのサンプルにおいても統計学的に有意な正の相関が認められ、相関の強さ(Pearson's p)は0.5-0.6と中程度であった。次に年齢•性別•BMIを共変数とした多変量の線形回帰分析を行ったところ、いずれのサンプルにおいても血中NfL濃度と血清クレアチニン濃度は統計学的に有意な相関を認め、この2者の関連は年齢•性別•BMIによる交絡によるものではないと考えられた。最後に、血清クレアチニン濃度•身長•年齢から推定される推定糸球体濾過量(eGFR)と血中NfL濃度の関連を調べた。これまでの結果と一致して、いずれのサンプルにおいてもeGFRと血中NfL濃度には統計学的に有意な負の相関を認めた。

〔総括(Conclusion)〕
血中NfL濃度は血清クレアチニン濃度または推算される糸球体濾過量で示される腎機能と相関しており、この関連は既知の「年齢と血中NfL濃度との関連」によらず存在する事が分かった。腎臓を介した血中NfL動態の解明を更に進め、血中NfLを低侵襲かつ便利な神経バイオマーカーとして臨床応用につなげたい。

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