Neural networks associated with quality of life in patients with Parkinson’s disease
概要
〔目的(Purpose)〕
パーキンソン病患者のHealth-Related Quality of Life (HRQoL)の神経学的基盤は未だ不明瞭である。今回パーキンソン病患者のHRQoLにどのような運動症状あるいは非運動症状が特に関連しているのか、またHRQoLに関する脳内ネットワークを明らかにするためこの研究を行った。
〔方法(Methods)〕
大阪大学パーキンソン関連疾患レジストリに登録されたパーキンソン病患者247人を対象に統計学的解析を、うち一定の基準を満たした181人を対象に安静時functionalMRI (fMRI)による画像解析を行った。統計学的解析では Parkinson’s Disease Questionnaire-39総点(PDQ-39 SI)と、どのような尺度が関連しているのか解析した。さらに因子分析によって抽出されたより総合的なHRQoL因子を元に、fMRIでRegion of Interest (ROI) to ROI解析、Seed based correlation analysis.グラフ理論での次数中心性解析を行うことでパーキンソン病HRQoL関連脳内ネットワークを評価した。
〔結果(Results)〕
PDQ-39 SI とのスピアマン相関は、Activities-specific Balance Confidence Scale (rs=-0. 71)、MDS-UPDRS part2 (rs=0. 69)、Freezing of Gait Questionnaire (rs=0. 67)、Self-reported Autonomic Symptoms in Parkinson’s disease (rs=0. 61)で特に高値だった。重回帰分析やランダムフォレスト回帰による重要度解析では、上記項目に加え、MDS UPDRS parti; Depression Rating Scalesとの関連性が大きかった。安静時fMRIによる解析ではパーキンソン病HRQoL関連因子と、anterior cingulate cortex (ACC)-right temporo-parieta 1 junction (TPJ)の機能的結合が特に関遮していることが示された。
〔総 括(Conclusion)〕
転倒恐怖、ADL、すくみ足、自律神経症状が特にパーキンソン病HRQoLと関連している可能性が示された。またACC-右TPJを含んだネットワークは、パーキンソン病HRQoLにおける精神的あるいは社会的な要素と関連している可能性が考察された。