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大学・研究所にある論文を検索できる 「Human NKp44+ group 3 innate lymphoid cells associate with tumor-associated tertiary lymphoid structures in colorectal cancer」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Human NKp44+ group 3 innate lymphoid cells associate with tumor-associated tertiary lymphoid structures in colorectal cancer

池田, 敦世 大阪大学

2020.05.31

概要

〔目的(Purpose)〕
 自然リンパ球(innate lymphoid cell:ILC)は、抗原受容体を持たず自然免疫を担当するリンパ球である。局所において速やかに反応し、免疫応答のメディエーターとなることで、腸管においても、恒常性維持や感染・炎症に対する免疫応答において重要な役割を果たしている。近年、ヒト腸管に存在するILCが様々な疾患に関与することが示唆されてきているが、大腸癌における役割は不明である。そこで、我々は大腸癌に浸潤するILCを解析し、大腸癌微小環境におけるILCの役割について検討を行った。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
 まず、ヒト正常大腸粘膜に存在するILCについて解析を行った。大腸癌患者の手術検体を用いて、正常粘膜部の粘膜固有層より細胞を採取しflow cytometryにてILC分画を展開した。正常大腸には、ILC1、NKp44⁺ ILC3、NKp44⁻ ILC3の3分画が存在しており、ILC2はこれらと比較し非常に少ない分画であった。この中で、NKp4⁺ ILC3が正常大腸に最も多く存在するILC分画であり、リンパ組織誘導に関与する遺伝子(LTA, LTB, TNF, NRP1)を高発現していた。
 次に、大腸癌組織より細胞を採取してILC分画を解析した結果、癌部にも正常粘膜と同様の3分画(ILC1、NKp44+ / NKp44-ILC3)が存在していた。これらの分画の分布は、腫瘍深達度の進行に伴い変化し、NKp44⁺ ILC3はΤ1/Τ2腫瘍においては豊富に存在するが、Τ3/Τ4腫瘍では減少していた。正常部およびΤ1/Τ2腫瘍、T3/T4腫瘍に存在するNKp44⁺ ILC3の機能に差がないか検討したところ、T3/T4腫瘍に浸潤するNKp4⁺ ILC3では、RORC, IL22, IL17AといったILC3の主要転写因子や一部のサイトカイン発現に差は見られないものの、LTA, LTB, TNFといったリンパ組織誘導に関与する遺伝子の発現が低下していた。LTAやLTBにコードされるlymphotoxinは、間質細胞に作用して接着分子やケモカインの発現を亢進させることで、異所性リンパ組織を誘導することが知られているため、大腸癌組織中の間質細胞を採取し解析した。T4腫瘍の間質細胞では、T2腫瘍の間質細胞と比較し、接着分子(ICAM-l, VCAM-1)およびケモカイン(CXCL13, CCL21)の発現が低下していた。正常大腸のNKp44⁺ ILC3とT4腫瘍の間質細胞を共培養すると、間質細胞におけるICAM-1, CXCL13, CCL21の発現亢進が見られ、以上より、NKp44⁺ ILC3が間質細胞への作用を介してリンパ組織誘導に関与している可能性が示された。
 大腸癌組織に存在する異所性リンパ組織として、三次リンパ様構造(tertiary lymphoid structure:TLS)が知られている。これらとNKp44⁺ ILC3の関連を評価するために、まず、免疫組織化学染色により大腸癌に存在するTLSを評価した。TLSは中心部がCD20およびCD21で染色され、辺縁部がCD3で染色されるリンパ組織と定義され、腫瘍辺縁部および中心部に存在した。腫瘍組織の単位面積あたりのTLSの量は、Tis/T1腫瘍で最も多く(0.25±0.05/mm2)、T3/T4腫瘍においては大きく減少していた(T3:0.05±0.01/mm2, P<0.0001)(T4:0.03±0.15/mm2, P<0.0001)。また、二重染色を用いた免疫組織化学染色にて、TLS内にCD3陰性Rorγt陽性であるILC3が存在することを確認した。CD3陰性Rorγt陽性細胞も、腫瘍深達度の進行に伴い減少していた。大腸癌腫瘍組織におけるTLSとNKp4⁺ ILC3の相関を検討した結果、TLS密度は腫瘍ILCにおけるNKp44⁺ ILC3の割合(R=0.62; P<0.005)、およびNKp44⁺ ILC3の腫瘍単位重量あたりの細胞数(R=0.64;Ρ<0.005)と有意な相関を示した。

[総括(Conclusion))
 ヒト大腸癌組織には正常大腸粘膜と同様のILC分画が存在していた。正常大腸において、NKp44⁺ ILC3が主要なILC分画であり、リンパ組織誘導に関与する遺伝子を高発現していたが、T3/T4腫瘍ではNKp44⁺ ILC3の細胞数およびこれらの遺伝子発現は減少していた。NKp44⁺ ILC3の減少はTLSの減少と相関しており、NKp44⁺ ILC3がTLS誘導を介してヒト大腸癌の抗腫瘍免疫に関与している可能性が示唆された。

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