リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Visualization of lower extremity lymphedema in the same cohort using 99mTc-human serum albumin and 99mTc-phytate lymphoscintigraphy with SPECT-CT」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Visualization of lower extremity lymphedema in the same cohort using 99mTc-human serum albumin and 99mTc-phytate lymphoscintigraphy with SPECT-CT

小池 智之 横浜市立大学

2022.04.30

概要

背景
リンパ浮腫は,リンパ液の流れが制限されリンパ液がうっ滞することにより生じる難治性の浮腫である(Executive Committee of the International Society of Lymphology, 2020).リンパ浮腫の診断や評価には,患肢の周径,皮膚所見に加え,画像評価としてCT,超音波検査など体積を評価するものから,リンパシンチグラフィ,インドシアニングリーンを用いた近赤外線リンパ管蛍光観察法(以下,ICG蛍光リンパ管造影),MRリンパ管造影, single- photon emission computed tomography-computed tomography (SPECT-CT)リンパシンチグラフィ(以下,SPECT/CTリンパシンチグラフィ)などのようにリンパ機能を評価する検査がある.近年のSPECT/CTリンパシンチグラフィは,機器の進歩及びエビデンスの蓄積によりリンパ浮腫の診断と評価が改善した.リンパシンチグラフィは,国際リンパ学会からも診断に推奨される検査であるが,世界的には,リンパシンチグラフィに関するプロトコールやガイドラインはなく,撮影条件,使用する放射性トレーサー,画像条件など統一された条件がないのが現状である.
これまで,リンパ浮腫において異なる患者に異なる放射性トレーサーで評価した報告はあるが,同一患者に異なる放射性トレーサーで評価した報告はない.リンパシンチグラフィにおいて,どの放射性トレーサーが優れているかという見解もない.
我々は今回,同一患者で異なる放射性トレーサー(人血清アルブミン,フィチン酸)を使用する経験を得た.世界中で標準検査となっているリンパシンチグラフィにおいて,その画像描出に大きく影響する放射性トレーサーの違いが及ぼす画像の変化を調査し,人血清アルブミンとフィチン酸のどちらが下肢リンパ浮腫に対するSPECT/CTリンパシンチグラフィの検査に適しているか,検討を行った.

対象
2013年1月から2018年11月までの期間で,下肢リンパ浮腫の患者でSPECT/CTリンパシンチグラフィを施行した767例の連続した患者のうち,同一患者で別期間に人血清アルブミンとフィチン酸の2種の放射性トレーサーを用いてSPECT/CTリンパシンチグラフィを行った39症例を対象とした.そのうち,人血清アルブミンとフィチン酸の検査の期間で,国際リンパ浮腫分類,Maegawa分類の重症度(Maegawa, et al.,2010)が進行した3例と2肢を除外し,36症例46肢で後ろ向き研究として評価を行った.また深部静脈血栓症,慢性心不全など内科疾患による浮腫は除外した.

方法
SPECT-CTリンパシンチグラフィから得られた画像をMaximum Intensity Projection(MIP)像に合成し比較をおこなった.それぞれの画像から,リンパ節の集積,線状陰影,および皮膚逆流現象(DBF)を定性的に分析した.DBFをコントラスト対ノイズ比(Contrast Noise Ratio ;CNR)で,線状陰影を背景(BG)のカウント数の平均値と SUVmaxとの比をSUVR(Standardized Uptake Values Ratio)と定義し,定量的に分析し比較を行った.本研究は,院内の倫理委員会の承認(B151105012)を得て,ヘルシンキ宣言の倫理指針に従って実施された.すべての患者から書面によるインフォームド・コンセントを得た.

結果
定性評価では,リンパ節,DBF の同定において,2 群間に有意差はなかった. しかし,線状陰影の定性評価では,非罹患側(人血清アルブミン:24/24,100%;フィチン酸塩: 10/24,42%; p <0.001)と罹患側(人血清アルブミン:40/46, 87%;フィチン酸塩:18/46,39%; p <0.001)ともに,フィチン酸で同定率が低く有意差を認めた.定量評価では,CNR は人血清アルブミン(12.5±8.5)の方がフィチン酸塩(3.1±3.1)よりも有意に高かった(p <0.001).線状陰影の SUVR は,非罹患側(人血清アルブミン,17.4±24.1;フィチン酸塩,3.3±1.6; p = 0.002)と罹患側(HSA,13.8±10.3;フィチン酸塩,5.1±3.6; p = 0.005)の両方で,人血清アルブミンの方がフィチン酸塩よりも有意に高かった.

考察
人血清アルブミンで取得した MIP 像は,フィチン酸塩よりも鮮明であり,線状陰影,DBF ともに良好に描出されていた.これまでの報告では,センチネルリンパ節生検や正常なリンパ管描出のためのリンパシンチグラフィに適した粒子サイズは 50-70nm と報告されている(Strand, et al.1989),粒子径の小さい人血清アルブミン(2-3nm)では体表およびリンパ管内からの早期の排出が懸念されたが,本研究では線状陰影,DBF の描出は良好であった.放射性トレーサーのリンパ管への取り込み及び輸送には,粒子径だけでなく,リンパ液や間質液の温度と pH,結合安定性などが,影響も与えている(Szuba, et al. 2013).さらにリンパ浮腫の患者では,リンパ管自体にも問題があり,狭窄もしくは閉塞によりリンパ輸送能力が低下しており(Toyserkani,at al.,2017),様々な要素が画像描出に関係している.
線状陰影の描出は,リンパ管の同定に関係し,手術でのリンパ管吻合の可否に関わる.また DBF の描出は,診断に大きく関わる.そして,SPECT/CT リンパシンチグラフィを用いることにより,さらに鮮明な画像を得ることができ,DBF だけでなく,DBF 内もしくはその深部に存在する線状陰影の詳細な局在も確認できるようになっている.従来から使われてきた重症度評価だけでなく,リンパ管を特定する方法としても SPECT/CT リンパシンチグラフィの臨床的有用性が向上している(Iimura, et al., 2015). 人血清アルブミンを用いた SPECT- CT によるリンパシンチグラフィは,重症度評価だけでなく,リンパ管の同定にも有用であり,より正確な解剖学的評価が可能であった.今後,3 次元的なリンパ管解剖を評価できる画像診断の一つと発展することに期待している.

この論文で使われている画像

参考文献

Executive Committee of the International Society of Lymphology. (2020), The diagnosis and treatment of peripheral lymphedema: 2020 Consensus Document of the International Society of Lymphology. Lymphology.53(1):3-19.

Iimura T, Fukushima Y, Kumita S, Ogawa R, Hyakusoku H. (2015), Estimating lymphodynamic conditions and lymphovenous anastomosis efficacy using 99mTc- phytate lymphoscintigraphy with SPECT-CT in patients with lower-limb lymphedema, Plastic and Reconstructive Surgery - Global Open, 3(5):1–9.

Maegawa J, Mikami T, Yamamoto Y, Satake T, Kobayashi S. (2010), Types of lymphoscintigraphy and indications for lymphaticovenous anastomosis. Microsurgery.30(6):437-42.

Strand, SE, Bergqvist, L. (1989), Radiolabeled colloids and macromolecules in the lymphatic system. Crit Rev Ther Drug Carrier Syst. 6(3):211-38.

Szuba A, Shin WS, Strauss HW, Rockson S. (2013), The third circulation: radionuclide lymphoscintigraphy in the evaluation of lymphedema. J Nucl Med. 44(1):43-57

Toyserkani NM, Hvidsten S, Tabatabaeifar S, Simonsen JA, Høilund-Carlsen PF, Sørensen JA. (2017), Tc-99m-Human Serum Albumin Transit Time as a Measure of Arm Breast Cancer-Related Lymphedema. Plast Reconstr Surg Glob Open.13;5(6):e1362. doi: 10.1097/GOX.0000000000001362.

参考文献をもっと見る

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る