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大学・研究所にある論文を検索できる 「A three-dimensional finite element analysis of resected mandibular bone to determine the most stable implant positions for a fixed prosthesis」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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A three-dimensional finite element analysis of resected mandibular bone to determine the most stable implant positions for a fixed prosthesis

小杉 泰史 横浜市立大学

2022.03.25

概要

1. 緒言
歯科インプラントは顎切除後の機能回復に有用であるが,切除部やインプラント周囲にかかる力学的負担を考慮する必要がある.切除部への負担は切除部の両側に 2 本ずつ埋入したインプラントを上部構造で連結することで軽減される(Tamai et al., 2018)が,インプラント自体への負担は増加する.有限要素解析(Finite Element Analysis;以下 FEA)は侵襲的処置を行わずに骨の機械的応力を解析するために広く使用されている.本研究では正中部下顎辺縁切除後の無歯顎患者の FEA モデルを作成し,咬合力の切除領域・インプラント周囲にかかる機械的ストレスへの影響と,力学的に最適なインプラントの埋入位置を決定するための検討を行った.

2. 実験材料および方法
・下顎切除モデルおよびインプラントモデルの作成
無歯顎患者のDigital Imaging and Communications in Medicine(以下 DICOM)データとコンピュータ支援設計ソフトウェア(3-maticsⓇ)を用いて下顎正中部辺縁切除後無歯顎モデルを作成した.切除幅径が 20mm で正中切除部位に残る残存骨の高さを 5mm, 10mm,15mm とする 3 種類の下顎切除モデルを作成した.埋入するインプラントは直径3.75mm,長さ 10mm あるいは 15mm を用いた.切除段端から 5mm (near position; Near),15mm (middle position; Middle),25mm (far position; Far)の位置に両側合わせて 6 箇所の埋入候補部位をモデル上に設定した.1 つのモデルに対し 3 本または 4 本のインプラントを後述する配置パターンに則り上記6箇所のいずれかに埋入し,埋入されたインプラントは上部構造によってすべてが連結された.
・インプラント配置パターン
インプラントの配置パターンは以下の 4 つに分類した.
パターン1;3 本のインプラント(長さ 10mm)を 1 本対 2 本とし、非対称性に配置パターン 2;4 本のインプラント(長さ 10mm)を 1 本対 3 本とし、非対称性に配置
パターン 3;3 本のインプラント(長さ 10mm)を 1 本対 2 本とし、非対称性に配置し,1 本側には長いインプラント(長さ 15mm)を配置
パターン4;4 本のインプラント(長さ 10mm)を 2 本対 2 本とし対称性に配置
配置パターン1では切除部残存骨高さ 3 モデル全てを使用し,パターン 2・3・4 では切除部残存骨高さ 10mm を使用して解析した.それぞれの配置パターンで切除部およびインプラント周囲にかかる応力が軽減される最適なインプラント埋入部位(Near, Middle, Far)の組み合わせを検討した.
・FEA
咬合負荷によって切除部とインプラント周囲にかかる応力を測定するため,有限要素法解析ソフト(MECHANICAL FINDERⓇ)を用いた.下顎骨とインプラントの Poisson 比はそれぞれ 0.40 と 0.19, Young 率はインプラント体は 10800kgf/mm2 とし,下顎骨では Keyak の公式を用いて算出した.下顎枝を X,Y,Z 軸方向から拘束し,上部構造の左右大臼歯部と前歯部の 3 点に 500Ncm を均等に負荷し,切除部とインプラント周囲にかかるフォンミーゼス応力(MPa)を解析した.
・統計分析
2 群間の比較には Student’s t-test を使用し,有意水準 5%未満を有意差ありとした.

3. 結果
・配置パターン1
1 本側のインプラントをMiddle もしくは Far に配置した場合, 周囲応力はそれぞれ16.6MPa,16.2MPa であったが,Near に位置した場合は 21.3MPa であった.また,切除部応力は 1 本側のインプラントが Middle の場合に有意に低下した.
・配置パターン2
インプラント周囲応力は 1 本側のインプラントがNear に位置した場合に 20.0MPa となり,切除部応力は配置パターン1と有意差がなかった.
・配置パターン3
インプラント周囲応力と切除部応力は 1 本側インプラントが Middle の場合に最小となり,それぞれ 13.5MPa,8.50MPa であった.
・配置パターン4
Near,Middle,Far のインプラント周囲応力の平均は 6.6MPa,14.3MPa,13.6MPaで,切除部応力の平均は 8.7MPa であった.

4. 考察
下顎辺縁切除後の無歯顎患者は咬合力により切除部へ応力が集中することにより病的骨折が生じる(Murakami et al., 2011).欠損の両側に左右対称に埋入された 4 本のインプラント支持の固定性義歯は切除部応力を低下させる.しかし腫瘍切除後の下顎骨に左右対称にインプラントを埋入できない場合があるため,本研究では 3 本あるいは 4 本の非対称に埋入されたインプラントによる固定式上部構造が切除部への応力集中を減らし,インプラント周囲への過負荷を避けられるかを検討した.切除部の応力に関しては1本側のインプラントが切除部に近いと切除部への応力が病的骨折を起こすレベルに達することが示唆された.また1本側のインプラントは,そのインプラント自体の長さを長くすることで周囲にかかる応力を軽減できると考えられた.1 本側のインプラントを切除部から離れた位置かつ上部構造の最後方ではない位置に配置し,可能な範囲で長いインプラントを使用した 3本インプラント支持による固定性義歯は,下顎辺縁切除後の無歯顎患者に利用できる可能性があると考えられた.

5. 結語
3 本インプラント支持の固定性義歯を下顎辺縁切除後の無歯顎患者に適用する場合, 1本側のインプラントを切除断端から離した位置かつ上部構造の最遠心を避けた位置に配置し,可能な範囲で長いンプラントを使用することで,切除部での病的骨折やインプラントへの過負荷を避けられる.

参考文献

Murakami, K., Sugiura, T., Yamamoto, K., Kawakami, M., Kang, Y.B., Tsutsumi, S., Kirita, T. (2011), Biomechaninal analysis of the mandible after marginal resection, J Oral Maxillofac Surg, 69, 1798-1806. doi: 10.1016/j.joms.2010.07.052.

Tamai, N., Hirota, M., Iwai, T., Kioi, M., Kenji, M., Tohnai, I.. (2018), Evaluation of influence factors to reduce mechanical stress on the marginally resected mandibular bone against dental implant-supported occlusion. J Hard Tissue Biol, 1, 11-16.

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