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大学・研究所にある論文を検索できる 「Trade-off mechanisms between forest ecosystem services and economic activities based on quantitative value assessment : A case study in Wuyishan City, China」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Trade-off mechanisms between forest ecosystem services and economic activities based on quantitative value assessment : A case study in Wuyishan City, China

常, 雅萱 東京大学 DOI:10.15083/0002006891

2023.03.24

概要























雅萱

生態系サービスが人間福祉を支えているということが広く認識され始め、自然環境
保全と経済活動の間の均衡メカニズムの解明は重要な課題になっている。自然環境保全
と経済活動間の均衡を実現するためには、様々な自然環境と社会経済の総合指標を定量
的に評価した上で、自然環境保全と経済活動間の均衡メカニズムを理解することが重要
である。本論文では、この均衡メカニズムを理解するための新しい方法論として「管理
-利益関係者-投資」(MSI)均衡フレームワークを提案し、自然環境保全と経済活動
の間にトレードオフが存在しているウィ山自然保護地域(中国)を研究対象とした研究
を展開している。、具体的には、自然環境と地域経済間の均衡メカニズムについて、①
環境管理政策による経済効果の評価、②損失を被る利益関係者への適切な補償基準額、
③対象地の生態系サービスの経済的な総価値の三点について、ウィ山市内の住民へのア
ンケート調査、分析を通じて推定し、その方法論の有効性を示したものである。
論文は全 6 章から構成され、各章は次のように要約される。
第 1 章では、生態系サービスを提供する自然環境と経済活動間の均衡メカニズムを総
合的に評価する方法と均衡メカニズム研究の重要性について、既往の研究論文をレビュ
ーしている。その結果、自然環境保全と経済活動の間の均衡メカニズムの解明が不十分
であることを確認している。これを踏まえ、
「管理-利益関係者-投資」
(MSI)均衡フ
レームワークに基づく新たなアプローチの提案とこの方法論の有効性の証明を研究目
的としたことを述べ、またその研究方法について言及している。
第二章では、MSI 均衡フレームワークを検証するため、茶栽培農家の収入と自然環
境保全間のバランスを維持することが重要課題となっているウィ山自然保護区地域を
研究対象地域として選定し、当地域の自然環境、社会経済について示した上で、当地域
での森林保全(自然環境)と茶栽培(経済活動)の間に存在する均衡メカニズム上の具
体的な問題について記述している。
第三章では、当地域で 10 年間以上続けられている自然環境保全政策(退茶返林政策)
について、その政策効果(有効性)を管理問題に焦点を当て、定量的に評価している。
客観的な環境保全政策効果の経済価値評価が可能な「パブリックフィードバック法」と
名付けた方法を開発するとともに、時系列衛星リモートセンシング画像で得られた土地
利用変化から茶畑と森林の分布の 20 年間の変化を把握し、当地域の自然環境保全政策

の変遷ならびに生態系サービスの経済価値の推定値と対応させている。
第四章は、地域の利益関係者間の問題に焦点を当てて分析を行い、農家への補償基準
を明らかにしている。この章では、主観法と客観法を結合した新しい調査法を提案し、
地域内の茶農家への合理的な補償金額を算出している。具体的な金額は、環境保全コス
トも含めて、茶の品質を考慮して年間 443 米ドル/ ha から 2114 米ドル/ ha とすること
が妥当であると結論づけており、この補償基準は当地域の自然環境保全政策と経済開発
政策を同時に立案するのに有用なものであるとした。
第五章は、MSI 均衡フレームワーク上の投資価値問題に焦点を当てて、被験者の支
払い能力等の個人属性によるバイアスを低減するため、公衆鑑定法と称する調査法を提
案し、当地域の自然環境の経済的価値を評価している。具体的には、ウィ山地域の自然
生態系が提供している総経済価値を年間 257 億米ドルと算出し、この価値の総額は、
従来の方法で推定された既往の研究で報告された経済価値より妥当であるとしている。
第六章では、本研究の成果に基づき、提案した MSI 均衡フレームワークのアプロー
チにより、対象地域の自然環境保全と経済活動の間の均衡メカニズムをより良く理解で
き、生態系サービスをより合理的に推定することが可能であると結論付けている。また、
本研究で提案した MSI 均衡フレームワーク改善方向と今後の課題が述べられている。
初回の審査会においては、この研究が、自然環境保全と経済活動の均衡メカニズムを
議論するための新しい考え方(MSI 均衡フレームワーク)を提起し、具体的な地域を
対照とした分析を行うことによりその有効性を示した点、さらに、その成果が3編の国
際誌に掲載されていることを高く評価し、学術上、応用上社会に寄与するところが少な
くないと認めた。一方で、生態系サービスと個々の生態系サービス要素の計算方法につ
いての質疑応答がなされ、その妥当性や整合性をさらに十分に説明するように求めた。
また、研究対象地域を正確に反映するように博士論文の題目を変更し,論文全体の体裁
を整えるべきとの指摘を行った。さらに、外部の研究者との共著・共同の業績が多いこ
とから、自身の研究範囲が区別できるような記述・体裁を工夫するように求めた。
これらの指摘事項に対する修正を加え、再提出された論文の改訂稿に対して、二回目
の審査会を開催し、再提出された論文が、初回の審査での指摘事項に適切に対応し、学
位論文としての体裁も整っていることを一同が確認した。論文題目の変更については、
研究科教育会議で認められた。
以上の経過をもって、審査委員一同は、本論文が博士(農学)の学位論文としての価
値があるものと認めた。

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