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大学・研究所にある論文を検索できる 「疎経活血湯の化学療法誘発性末梢神経障害および慢性疼痛に対する治療法の探索」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

疎経活血湯の化学療法誘発性末梢神経障害および慢性疼痛に対する治療法の探索

中村, 寛子 NAKAMURA, Hiroko ナカムラ, ヒロコ 九州大学

2023.03.20

概要

九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository

疎経活血湯の化学療法誘発性末梢神経障害および慢
性疼痛に対する治療法の探索
中村, 寛子

https://hdl.handle.net/2324/6787552
出版情報:Kyushu University, 2022, 博士(臨床薬学), 課程博士
バージョン:
権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

(様式5)




:中村

寛子

論文題名

:疎経活血湯の化学療法誘発性末梢神経障害および慢性疼痛に対する治療法の探索



:薬学府・臨床薬学・甲

















腰痛は国民を悩ます最も一般的な症状のひとつとみられ、QOL の低下をもたらす。わが国にお
いて病気やけが等で自覚症状のある者〔有訴者〕の中で男性では「腰痛」が最も多く、女性でも「肩
こり」の次に「腰痛」が多い結果となっている。腰痛に対する治療は薬物療法、物理・装具療法、
運動療法、患者教育と認知行動療法、インターベンション療法、手術療法、代替療法があり薬物療
法と運動療法が推奨されている。慢性疼痛に対する薬物療法にはセロトニン・ノルアドレナリン再
取り込み阻害薬(SNRI)、弱オピオイド、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液、非ステロ
イド性抗炎症薬(NSAIDs)、アセトアミノフェン、強オピオイド、三環系抗うつ薬などがあり、神
経痛を伴う場合は Ca チャネル α2σ リガンドが加わる。このガイドラインの中に漢方薬は含まれて
いないが、実際の現場では慢性腰痛に対し漢方薬が使用され、有効性も示されている。しかし、漢
方薬の効果について多くの論文が発表されているが、そのほとんどが症例報告や症例集積研究であ
り、研究の質が高い randomized control trial (RCT) は存在していない。また、東洋医学には「証」と
いう概念があり漢方薬はオーダーメイドの処方といえるため、患者背景を揃える RCT を行う難しさ
もある。しかし、実際の現場で処方される漢方薬がどのような効果を示しているのかを検証する意
義はあると考える。疎経活血湯は関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛に効能をもつ漢方薬であるが、基
礎研究の報告もわずかであり、症例報告も多くない。効能のある対象疾患に対してより繁用が可能
となるためには、基礎研究や実際の処方例を検討することが必要と考え、研究を行うこととした。
まず第 1 章では、疎経活血湯およびデュロキセチンの単回投与が、オキサリプラチン誘発性機械
的アロディニアおよび寒冷痛覚過敏、ならびにボルテゾミブ誘発性機械的アロディニアを完全に回
復させた。一方、パクリタキセル誘発性機械的アロディニアは回復させなかった。したがって、疎
経活血湯は、オキサリプラチンおよびボルテゾミブによって引き起こされる神経因性疼痛症状を緩
和する可能性が示唆された。

1

第 2 章では、慢性腰痛患者に対して、インターベンショナル治療と疎経活血湯の併用療法が有効
であることを示した。硬膜外神経ブロックやトリガーポイントブロック、アルプロスタジル注など
のインターベンショナル治療と牛車腎気丸を併用しても、痛みに対する効果が不十分であった本症
例は、血虚、水毒、瘀血の証をもち、夜間痛が発現していることから牛車腎気丸に代わり疎経活血
湯の投与を開始したところ、VAS スコアの数値の改善が見られた。このことより、インターベンシ
ョナル治療に加えて疎経活血湯の服用を行うことで腰痛を改善し、QOL を向上させる可能性が示唆
された。
第 3 章では、宮前医院において疎経活血湯を投与された腰痛及び腰下肢痛患者 9 例について、visual
analogue scale (VAS) スコアの推移より疎経活血湯の効果検討を行い、疎経活血湯は腰痛患者に対し、
西洋薬による薬物療法及びインターベンショナル治療との併用において上乗せ効果が期待できるこ
とが示唆された。また腰下肢痛患者(膝痛患者も含む)においても、同様の傾向がみられた。東洋
医学的な診断で血虚、瘀血、水毒のある腰痛及び腰下肢痛患者に対し、疎経活血湯を使用すること
により患者の ADL や QOL の向上が期待できると考えられた。
以上、本研究により、疎経活血湯がオキサリプラチンとボルテミゾブによる神経因性疼痛を抑
制するデータが初めて示され、臨床現場において疎経活血湯を用いる際の有益な基礎的知見を得
ることが出来た。また、ペインクリニックでの実際の臨床現場において、慢性腰痛及び慢性腰下
肢痛患者の疎経活血湯の上乗せ効果の知見を得ることが出来、より適切に繁用されることによっ
て患者の ADL や QOL の向上につながることを期待する。

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