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書き出し

Functional analysis of the histone demethylase LSD1/KDM1A in zebrafish hematopoiesis

玉置, 隼也 筑波大学

2023.09.04

概要









論 ⽂ 題 ⽬
Functional analysis of the histone demethylase LSD1/KDM1A
in zebrafish hematopoiesis
(ヒストン脱メチル化酵素 LSD1/KDM1A のゼブラフィッシュ造⾎発⽣における機能解析)

指導教員
⼈間総合科学研究科 ⽣命システム医学専攻 ⼩林⿇⼰⼈ 准教授




筑波⼤学⼤学院 ⼈間総合科学研究科 ⽣命システム医学専攻




⽟置

隼也

⽬的

Lysine Specific Demethylase 1 (LSD1/KDM1a)はヒストンテールのリジン残基の脱メチル
化を介して標的遺伝⼦の発現制御を⾏う酵素である。LSD1 はさまざまな⽣命現象に関わる
ことが知られているが、初期造⾎における機能は⼗分解析されていない。本研究では初期
造⾎における LSD1 機能を解明することを研究⽬的とした。LSD1 機能の解明を通して複雑
な造⾎機構の理解を深めたい。
造⾎には、発⽣ごく初期に⼀過性前駆細胞から⾚⾎球とマクロファージを作り出す⼀次
造⾎と、造⾎幹細胞を介して全ての⾎球系列を⽣涯⽣み出し続ける⼆次造⾎がある。所属
研究室が単離した LSD1 突然変異ゼブラフィッシュ(kdm1ait627)系統は⼀次造⾎異常を⽰す
が、⼆次造⾎に関しては不明であった。本研究では、kdm1ait627 系統の解析を通じて⼆次造
⾎における LSD1 機能を遺伝学的に探索した。加えて、⼀次造⾎における LSD1 酵素活性の
重要性も検討した。

対象と⽅法

本研究では kdm1ait627 系統を筆頭に種々のゼブラフィッシュ系統を⽤いた。kdm1ait627 系
統は、LSD1 破壊マウスが造⾎開始以前の発⽣初期で胎⽣致死となるのに対し、⼆次造⾎が
開始される孵化後 1 週間まで⽣存可能で、さまざまな初期造⾎が解析できる。ゼブラフィ
ッシュは造⾎の基本的なしくみがヒトと類似しており、胚・稚⿂が透明で⺟体外で育つ利
点をもつため、初期造⾎の研究に広く⽤いられる。そこで、kdm1ait627 系統を⽤いて初期造
⾎における LSD1 の新規機能解明を⽬指した。
具体的には、野⽣型と kdm1ait627 系統の表現型⽐較、⼈為的遺伝⼦過剰発現による

kdm1ait627 胚の表現型回復実験、whole mount in situ hybridization や定量 polymerase chain
reaction によるマーカー発現解析、トランスジェニック系統や免疫染⾊法を⽤いた蛍光イメ
ージング、CRISPR-Cas9 法による遺伝⼦破壊などの実験⽅法を⽤いた。

結果
[LSD1 バリアントの発⾒と⼀次造⾎における LSD1 酵素活性の必要性の検証]

まず、哺乳類同様にゼブラフィッシュ LSD1 にも存在する 4 つのスプライシングバリアン
トに着⽬し、どの LSD1 バリアントが⼀次造⾎に重要かを過剰発現による kdm1ait627 胚の⼀
次造⾎異常回復を指標に解析した。その結果、どの LSD1 バリアントでも⼀次造⾎異常が回

復した。マウス LSD1 バリアントは本来型とは異なる基質特異性や酵素活性の強さを持つと
報告されているので、この結果は、⼀次造⾎における LSD1 の酵素活性の必要性に疑問を抱
かせた。検証のため、LSD1 の活性中⼼に変異を加えた脱メチル化不全 LSD1 分⼦を作製し
過剰発現を⾏ったところ、予想通り kdm1ait627 胚の⼀次造⾎異常が回復し、ゼブラフィッシ
ュの⼀次造⾎には LSD1 の酵素活性は重要でないと⽰唆された。

[⼆次造⾎における LSD1 機能]

まず各種⾎球系列マーカーの解析から、kdm1ait627 胚は⼆次造⾎にも異常を⽰すことが判
明した。⼆次造⾎の初期段階から異常を⽰すことから、造⾎幹細胞の元となる hematopoietic
stem and progenitor cell (HSPC)の発⽣に関与する可能性が浮かび上がった。HSPC は背側⼤
動脈壁に存在する特殊な内⽪細胞「造⾎性内⽪細胞」から内⽪造⾎転換という過程で作ら
れ、その後⾎管内に⾶び出し、造⾎組織に運ばれる。⾎管内⽪が⾚、HSPC が緑で光るトラ
ンスジェニックゼブラフィッシュを活かした蛍光ライブイメージングを⾏い HSPC の発⽣
を追跡したところ、kdm1ait627 系統では内⽪造⾎転換が滞り、⾎管内に⾶び出す HSPC 数が
⼤きく減少していた。遺伝⼦発現解析の結果、kdm1ait627 系統では各種⾎管内⽪特異的遺伝
⼦が発現亢進しており、LSD1 はこれらの発現抑制を担う可能性が⽰唆された。LSD1 は転
写抑制因⼦ Gfi1 と複合体を作って機能することが知られているので、ゼブラフィッシュの
3つの Gfi1、gfi1aa、gfi1ab、gfi1b の破壊系統を CRISPR-Cas9 法で作製し、これらを組み
合わせた複合系統を解析したところ、gfi1aa と gfi1ab の⼆重破壊で kdm1ait627 胚と同様の⼆
次造⾎異常が観察された。

考察

本研究の解析結果から、
LSD1 は⼆次造⾎初期の HSPC 発⽣において Gfi1aa ないし Gfi1ab
と複合体を作り、⾎管内⽪特異的遺伝⼦群の発現を抑制することで内⽪造⾎転換を促進す
ると⽰唆された。Gfi1;Gfi1B ⼆重破壊マウスでも⾎管内⽪特異的遺伝⼦群が亢進し、内⽪造
⾎転換に障害がでることが報告されているので、HSPC 発⽣における LSD1-GFI1 の働きは
脊椎動物共通のメカニズムと推測される。⼀⽅、⼀次造⾎における LSD1 機能に脱メチル化
活性は不要であることを明らかにできた。⼆次造⾎における働きにも脱メチル化活性が必
要か、必要ない場合にはどのように機構で標的遺伝⼦を抑制しているか、など今後検証す
べき課題も残されている。

結論

本研究では、
⼆次造⾎初期における HSPC 発⽣に LSD1 が機能することを明らかにした。
加えて、⼀次造⾎における LSD1 機能に脱メチル化活性が不要であることを明らかにした。 ...

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