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Mean curvature flow with driving force

張, 龍傑 東京大学 DOI:10.15083/0002003713

2022.04.20

概要

1 背景と研究動機
本論文では,初期曲面が特異性を持つ駆動力付きの平均曲率流方程式を研究した. 駆動力付きの平均曲率流方程式は微分幾何学,結晶成長など重要な応用と関連している.本論文には等高面方法を用いて初期曲面が特異性を持つ駆動力付きの平均曲率流方程式の界面発展解が肥満化するかどうかを調べる.さらに,平面上の曲率流方程式が肥満化が生じないときには,解の漸近挙動を三つの場合に分けて,各場合におけるその漸近挙動を考察した.
平均曲率流方程式に対する研究は1980 年代から始まり,様々な結果がある. Huisken, (1984) は三次元以上の場合に,初期曲面が凸の平均曲率流方程式の解が凸性のまま一点に縮小するのを証明した.さらに,この曲面の形は円に近づくことも示した.GageとHamilton, (1986) はこの結果が平面に埋め込まれた曲線の場合にも成り立つことを証明した. Grayson, (1987) は,任意の自己交叉しない曲線が有限時間内で凸になることを示した.これによって, 平面に自己交叉しない曲線の場合に関しては,曲率流方程式の解の漸近挙動が完全に特徴つけられた.しかしながら,この結論が高次元に成立しない. Grayson, (1989) は,空間次元が 3 以上の場合に,平均曲率の解で一点に収束する前に特異性が生じるものを構成した.これは,Grayson, (1987) の結果が高次元の場合一般には成り立たず,解の挙動がより複雑であることを示唆している. 実際, Altschuler-Angenent-Giga, (1995) は,ある軸にたいして回転対称な初期曲面に対する平均曲率流の解を,等高面法で解析し,解に生じる特異性や特異性が生じた後の解の挙動について考察し,解が必ずしも一点に収束しないことを示している.
近年,駆動力付きの平均曲率流方程式が注目される.駆動力のない平均曲率流方程式の場合には,初期曲面がコンパクトであれば,古典解には有限時間に特異性が生じることが容易にわかる.しかし,駆動力付きの場合,コンパクトな初期曲面でも,時間大域的に存在することがある. Liu, (2013) は初期曲面は凸の駆動力付きの平均曲率流方程式の解が凸であることを証明し,その漸近挙動を特徴付けた.Guo-Matano-Shimojo-Wu, (2016) は半平面上の駆動力付きの曲率流方程式を一定の接触角条件の下で考察した.彼らは初期曲線がある関数のグラフで表される場合に解の漸近挙動を特徴付けている.
Matano-Nakamura-Lou, (2006) は二次元帯状領域内の駆動力付きの曲率流方程式の解の挙動をノイマン境界条件下で特徴付けた.この研究では,解の内点が境界にぶつかることができないので,グラフ性を保存することができるのを示した. これにより,この問題を準線形放物型方程式理論で研究することができる.
これらの駆動力付き曲率流方程式の解の挙動に関する一連の研究には,凸性が保存されることや,グラフ表示されることなどによって保証される解の正則性が重要な役割を担っている.このため,特異性を持つの駆動力付きの曲率流方程式の研究がまだ少ない.特異性が生じるとき,古典的な研究手法をうまく適用できない.そこで,本研究では等高面方法を使って,特異性を持つ問題を調べる.等高面方法が Chen-Giga-Goto, (1991) と Evans-Spruck, (1991) により確立された.しかしながら,等高面方法を使うとき,特異現象–等高面の肥満化現象 (fattening phenomenon) が発生する可能性がある.この現象が初めて,Evans-Spruck, (1991) に観察された.8 の形の初期曲線に対して,肥満化現象の存在が分かる.

2 研究結果と方法
本研究は特異性が生じる結晶成長の現象を動機として,等高面方法を用いて,等高面の肥満化するかどうかを調べる.肥満化現象は解の一意性と深く関係がある.肥満化することと,解が一意ではないことは同値である.本論文の証明の方針は,外,内部から,滑らかに埋め込まれた曲面で初期曲面に近似して,外,内部の近似解を考える.外部と内部の近似解の極限が一致すれば,肥満化現象が起こらないということである.外部と内部の近似解の極限が一致ではなければ,肥満化現象が起こるということである.外部と内部の近似解の一致性が最終的にある準線形方程式の解の一意性に帰着できる.平面上の曲線の場合,この方程式が簡単であり,一意性が比較原理によりすぐに分かる.高次元の場合,方程式には特異項が存在して,比較原理は直接に使えない.本論文では,まず,ある劣解を作って,解の原点からの脱出速度を評価して,最大値原理を用いて,一意性を証明した.
最後に,平面上の駆動力付きの平均曲率流方程式は肥満化が起こらない時,解の挙動が以下の三つのどれかに分類されることを示した:
拡大. 方程式の解が無限遠方に膨らんでいく;
有界. 方程式の解が有界にとどまり,半径 1/A の球面に収束する;
縮小. 方程式の解が最終的に凸になり,形が円に近づいて,有限時間内に一点に縮小する.
本研究に,最も大事な方法が交点数原理である.古典的な曲率流方程式について,二つの曲率流方程式の解の交点個数が増えない.しかしながら,駆動力付きの曲率流方程式について,この結論が成り立たない.本論文に新たな交点数原理を確立する.具体的には,駆動力付きの曲率流方程式の交点数が高々一つしか増えないということである.交点数原理は,解の一階微分の評価に有力な方法である.この交点数原理を用いて,先ほど述べた外部,内部からの近似解の一階微分の一様評価が得ることができて,ゆえに,滑らかであることが分かる.交点数原理は解の漸近挙動の証明にも使える.漸近挙動の証明について,よく用いられる簡単な方法はリアプノフ関数の構成によるものです.あるエネルギー(リアプノフ関数という) を作って,このエネルギーが時間とともに単調減少であれば,方程式の解が対応する楕円型方程式の解に収束することが分かる.本論文では,交点数原理を用いて解の漸近挙動を証明する.厳密には曲率流方程式の解と対応する楕円型方程式の解が無限回接して交わることを証明して,交点数原理を用いて,結論を導く.
「縮小」の場合,解が最終凸になるの証明であるが,Grayson, (1987) による駆動力なしの曲率流方程式の証明は適用できない.方法を用いて調べる.ここで,Huisken (1998) の方法を用いてしらべる.Huisken が古典的な曲率流方程式の内在的距離と外延的距離の比例が時間に対して単調増大であることを証明した.この事実を使って,最終的に凸であることを証明した.しかしながら,駆動力付きの曲率流方程式は自身交叉可能性があるため,この手法はそのまま使えない.本論文に,内在的距離と外延的距離の比を調べて,駆動力付きの平均曲率流方程式が内部から交わらないことを証明した.初期曲線の対称性と合わせて考えると,最終的凸になることを証明できた.

参考文献

[1]S. Altschuler, S. Angenent, and Y. Giga. Mean curvature flow through singular- ities for surfaces of rotation. J. Geom. Anal., 5:293–357, 1995.

[2]S. Angenent. Parabolic equaitons for curves on surfaces-part II. Annals of Math- ematics, 133(1):171–215, 1991.

[3]S. Angenent. Shrinking doughnuts. In: Nonlinear diffusion equations and their equilibrium states, 3:21–38, 1992.

[4]R. Mori and L. Zhang. On mean curvature flow with driving force starting as

singular initial hypersurface. arXiv:1712.09590, pages 1–38, 2017.

[5]L. Zhang. On curvature flow with driving force starting as singular initial curve

in the plane. J. Geom. Anal., pages 1–56, 2017.

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