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大学・研究所にある論文を検索できる 「Studies on the Distribution of Cells Expressing Vomeronasal Receptors in the Olfactory Organ of Turtles」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Studies on the Distribution of Cells Expressing Vomeronasal Receptors in the Olfactory Organ of Turtles

Sayed Sharif Abdali 岐阜大学

2020.09.18

概要

一般に, 四足動物は嗅上皮と鋤鼻器の二つの嗅覚器をもつ。嗅上皮は鼻腔の尾背側部を裏打ちし, 鋤鼻器は鼻中隔の基部に位置する。嗅覚受容は G タンパク共役型受容体である匂い受容体, 1 型鋤鼻受容体, 2 型鋤鼻受容体等の嗅覚受容体を介して行われる。哺乳類では, 嗅上皮に分布する線毛性細胞が G⍺olf と共役する匂い受容体を発現し, 鋤鼻器に分布する微絨毛性嗅細胞が G⍺i2 と共役する 1 型鋤鼻受容体や, G⍺o と共役する 2 型鋤鼻受容体を発現する。カメの嗅覚器は上憩室上皮と下憩室上皮からなる。上憩室上皮に分布する嗅細胞は樹状突起の先端に線毛と微絨毛の両方をもつが, 下憩室上皮に分布する嗅細胞は線毛を欠き, 樹状突起の先端に微絨毛だけをもつ。嗅細胞の微細形態に基づくと, 上憩室上皮に分布する嗅細胞は匂い受容体と鋤鼻受容体の両方を発現し, 下憩室上皮に分布する嗅細胞は鋤鼻受容体だけを発現すると考えられる。しかし, カメ嗅覚器の免疫組織化学的解析では, G⍺olf と G⍺o の発現が上憩室上皮と下憩室上皮の両方で示されている。さらに, G⍺i1-3 の発現が下憩室上皮で示されており, これらの知見は上憩室上皮に匂い受容体と 2 型鋤鼻受容体, 下憩室上皮に鋤鼻受容体と匂い受容体が発現していることを示唆する。カメの下憩室上皮における嗅細胞の微細形態と G タンパク発現から予想される嗅覚受容体発現の矛盾を解消するには, カメ嗅覚器における嗅覚受容体遺伝子の発現を解明する必要がある。そこで, 本研究ではカメ嗅覚器における鋤鼻受容体遺伝子の発現を調べた。

カメでは, 鋤鼻受容体は 2 つの 2 型鋤鼻受容体遺伝子と 2 つの 1 型鋤鼻受容体遺伝子にコードされる。はじめに, RT-PCR 解析によってミシシッピアカミミガメの嗅覚器に 2型鋤鼻受容体遺伝子が発現しているか調べたところ, 嗅覚器における V2R1 遺伝子と V2R26 遺伝子の発現が示された。さらに, in situ hybridization 解析では V2R1 遺伝子と V2R26 遺伝子が主に下憩室上皮に発現することが示された。次に, スッポンの嗅覚器における V2R をコードする遺伝子の発現を調べた。スッポンの嗅覚器に微絨毛性嗅細胞は見つからないが, RT-PCR 解析は嗅覚器における両方のV2R 遺伝子の発現を示した。さらに, in situ hybridization 解析では V2R26 発現細胞が主に下憩室上皮で見つかり,V2R1 発現細胞は上憩室上皮と下憩室上皮のどちらにも検出されなかった。

次に, カメ嗅覚器におけるV1R 遺伝子の発現を調べた。RT-PCR 解析はアカミミガメ嗅覚器で V1R3 遺伝子が発現することを示したが, V1RA14 遺伝子の発現は検出されなかった。一方,スッポンは V1R3 遺伝子を欠いており, スッポン嗅覚器に V1RA14 遺伝子の発現は認めらなかった。さらに, in situ hybridization 解析ではアカミミガメの上憩室上皮と下憩室上皮で少数の嗅細胞に V1R3 が発現することが示された。

アカミミガメの下憩室上皮には微絨毛性嗅細胞が分布していることから, 多くの嗅細胞が鋤鼻受容体遺伝子を発現すると予想される。しかし, 鋤鼻受容体遺伝子は少数の嗅細胞で発現していることから, カメ嗅覚器における未知の鋤鼻受容体遺伝子の存在が推測された。この推論を検証するために, アカミミガメ嗅覚器において鋤鼻受容体のシグナル伝達に関与する TRPC2 をコードする遺伝子の発現を調べた。TRPC2 遺伝子は主に下憩室上皮の少数の嗅細胞で発現していた。TRPC2 発現細胞の密度は, 鋤鼻受容体発現細胞の密度とほぼ同じであった。これらの結果から, カメ嗅覚器に発現する未知の鋤鼻受容体遺伝子はおそらく存在せず, 少数の嗅細胞だけが鋤鼻受容体遺伝子を発現することが示唆された。最後に, カメ嗅覚器で多くの嗅細胞に発現する嗅覚受容体の種類を確認するため, 匂い受容体のシグナル伝達に関与する CNGA2 をコードする遺伝子の発現を調べた。In situ hybridization 解析でアカミミガメの上憩室上皮と下憩室上皮の広い範囲に CNGA2 の発現が示され, カメ嗅覚器において多くの嗅細胞は匂い受容体遺伝子を発現していることが示唆された。

本研究の結果は, 鋤鼻受容体遺伝子は限られた数の嗅細胞で発現することや, 上憩室上皮, 下憩室上皮ともに線毛性嗅細胞が分布するスッポンだけでなく下憩室上皮に微絨毛性嗅細胞が分布するアカミミガメでも多くの嗅細胞に匂い受容体が発現することを示唆している。従って, カメにおける嗅覚受容は鋤鼻受容体よりも匂い受容体に依存していると考えられる。さらに, 嗅細胞の微細形態と嗅覚受容体との遺伝子発現の関係はカメと他の脊椎動物との間で保存されていないと考えられる。

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