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介護系施設介入により見えてきたCOVID-19クラスター形成の要因と課題 ~感染管理認定看護師の介護施設における課題に向けた今後の取り組み~

中山, 秀明 桜井, 一彰 中島貴司 松下, 美幸 鎌倉, 寿美子 関島, 香 信州大学

2023.08.22

概要



感染管理認定看護師の介護施設における課題に向けた今後の取り組み



Shinshu Journal of Public Health Vol. 18 No. 1, August 2023

中山秀明(下伊那厚生病院)、桜井一彰、中島貴司(飯田市立病院)
松下美幸(下伊那赤十字病院)、鎌倉寿美子(阿南病院)
関島香(健和会病院)、福池明子(飯田病院)
   介護系施設介入により見えてきた
COVID-19 クラスター形成の要因と課題
06-2

~ 感染管理認定看護師の介護施設における課題に向けた今後の取り組み ~

キーワード: COVID-19、感染管理認定看護師、感染対策、標準予防策、介護系施設
中山秀明(下伊那厚生病院)、桜井一彰、中島貴司(飯田市立病院)

要旨:COVID-19 のクラスターが発生した介護系施設へ感染管理認定看護師(以下、CNIC)が介
松下美幸(下伊那赤十字病院)、鎌倉寿美子(阿南病院)

関島香(健和会病院)、福池明子(飯田病院)
入してきた。施設職員が標準予防策を実践できていないことがクラスター形成の一因ではないかと
キーワード:
COVID-19、感染管理認定看護師、感染対策、標準予防策、介護系施設
感じ、それに対して
CNIC が介入できることは何かを検討した。標準予防策が実践できない理由と

して、スキル・コスト・意識の問題が挙がった。スキルに関する課題解決として、施設職員教育、
要旨:COVID-19 のクラスターが発生した介護系施設へ感染管理認定看護師(以下、CNIC)が介入
施設訪問とラウンド、コンサルテーション対応の
3 つが挙げられた。これらの活動を地域の介護施
してきた。施設職員が標準予防策を実践できていないことがクラスター形成の一因ではないかと感じ、
設で行っていくためには、保健所や医師会など関係各所の協力が必要不可欠である。
それに対して CNIC が介入できることは何かを検討した。標準予防策が実践できない理由として、ス
キル・コスト・意識の問題が挙がった。スキルに関する課題解決として、施設職員教育、施設訪問と
ラウンド、コンサルテーション対応の 3 つが挙げられた。これらの活動を地域の介護施設で行ってい
CNIC が介入できる取り組みとは何かを考えた。
A.目的
くためには、保健所や医師会など関係各所の協力が必要不可欠である。
B.方法

COVID-19 の感染拡大を受けて、長野県健康福

1.

COVID-19 発生施設に介入経験のある飯田・
下伊那地域の CNIC(8 名)で振り返り検討
下伊那地域の CNIC(8 名)で振り返り検討
会を行う。
会を行う。
2. 介護系施設における標準予防策が実践でき
2. 介護系施設における標準予防策が実践でき
ない問題を抽出し、CNIC の今後に取り組め
ない問題を抽出し、CNIC の今後に取り組め
る課題を明らかにする。
る課題を明らかにする。
C.結果
C.結果
 振り返り検討会では、
「日常業務の中での標準
振り返り検討会では、「日常業務の中での標準
予防策の実践が定着していない可能性がある」と
予防策の実践が定着していない可能性がある」と
の意見が多く出されたため、実践できない要因に
の意見が多く出されたため、実践できない要因に
ついてさらに分析し分類を行った(表 1)

ついてさらに分析し分類を行った。(表 1)

祉部と長野県看護協会が主導となり 2021 年より
A.目的
「クラスター発生施設への看護職員派遣支援制
 COVID-19 の感染拡大を受けて、長野県健康福
度」が始まり、CNIC による「感染管理指導」へ
祉部と長野県看護協会が主導となり 2021 年より
の介入が行われた。飯田保健所の管轄である飯
「クラスター発生施設への看護職員派遣支援制
田・下伊那圏域では、現在(2023 年 5 月)まで
度」が始まり、CNIC による「感染管理指導」へ
に 7 名の CNIC が 42 の介護系施設(高齢者施設
の介入が行われた。飯田保健所の管轄である飯
38 件、障がい者施設 4 件)に 51 回介入し、他圏
田・下伊那圏域では、現在(2023 年 5 月)まで
域と比較しても介入実績が最も多い。介護系施設
に 7 名の CNIC が 42 の介護系施設(高齢者施設
においても感染対策の基本的考えや取り組みは
38 件、障がい者施設 4 件)に 51 回介入し、他圏
医療施設(病院・診療所)と大きな違いはない 1)
域と比較しても介入実績が最も多い。介護系施設
と言われている。しかし、今回、派遣要請がかか
においても感染対策の基本的考えや取り組みは医
った介護系施設に介入し、入所者自身の感染対策
療施設(病院・診療所)と大きな違いはない 1)
が実施困難であるなどの介護系施設特有の課題
と言われている。しかし、今回、派遣要請がかか
や、設備などのハード面などの問題とは別に、職
った介護系施設に介入し、入所者自身の感染対策

表 1. 標準予防策が実践できない問題点と分類
具体的問題点
清潔と不潔の認識
PPE の着脱方法

員の感染対策における初動の遅れや、
感染対策の
が実施困難であるなどの介護系施設特有の課題や、
基本である標準予防策の実践が行えていない状
設備などのハード面などの問題とは別に、職員の

PPE 等の物資の不足

況を目の当たりにした。
平常時より標準予防策が
感染対策における初動の遅れや、感染対策の基本
実践できていないことがクラスター形成の原因
である標準予防策の実践が行えていない状況を目

管理者・職員の
感染対策への意識

問題点の分類
スキルの問題
コストの問題
意識の問題

の一つではないかと考え、
標準予防策が実践でき
の当たりにした。平常時より標準予防策が実践で
ない要因は何か、また、問題解決に向けて今後
きていないことがクラスター形成の原因の一つで

 標準予防策が平常時から実践できない問題を大
標準予防策が平常時から実践できない問題を

はないかと考え、標準予防策が実践できない要因

別した結果、スキル面、コスト面、意識面の 3 つ

は何か、また、問題解決に向けて今後 CNIC が介

の問題に分類された。スキルは、教養や知識を身

入できる取り組みとは何かを考えた。

に着けることでレベルアップを図ることができる。

B.方法

また、スキル面の問題解決がその他の意識やコス

1. COVID-19 発生施設に介入経験のある飯田・

トの問題への解決にも繋がってくるのではないか
86

信州公衆衛生雑誌 Vol. 18 No. 1, August 2023

Shinshu Journal of Public Health Vol. 18 No. 1, August 2023

との意見が出された。そのため、教養や知識を身

参加が臨める研修会の計画が重要である。また、

に着け実践に活かすことができるよう、CNIC が

職員の意識向上や介護系施設全体の更なるレベル

介入できることは何かを検討した結果、

アップのためには介護系施設間連携システムの構

1)施設職員への感染対策教育

築が重要である。しかし、これらの課題への活動

2)施設の訪問・ラウンド

を始めるうえで、地域の CNIC だけでは非常に非

3)コンサルテーション(指導・相談)対応

力であり、飯田保健所や飯田医師会などの権威の

の 3 つの対策が挙がった。

ある組織の協力のもと活動を展開することが活動

 施設職員への感染対策教育については、施設長

の成功や継続に繋がると思われる。

などの管理責任者や感染対策リーダーの参加はも

 飯田・下伊那地域では、クラスターが発生し

とより多くの職員が参加できる環境づくりが重要

た施設に対し、施設職員・嘱託医と飯田医師会

である。CNIC が講師として各施設を訪問する事

長をはじめとした担当医師、飯田保健所長、関

も一つの方法ではあるが、地域の介護系施設から

係 CNIC の有識者に加え、時には発生した施設所

多くの職員が集まる集合研修は施設単独で実施す

在町村の行政職員も参加しての「感染対策リモー

る研修と比べ、他施設の状況が把握できることや、

ト会議」を現在までに 21 回開催して意見交換を

モチベーションを高める意味においても重要な研

行ってきた経緯がある。このような会議を通して、

修となる。また、医療機関では 2022 年より感染

今までになかった関係各所とつながりが築けたと

対策向上加算が新設され、医療機関同士の訪問に

同時に、今まで以上に CNIC への相談件数等も増

よる相互評価やカンファレンスなどが行われ、地

え、存在の価値や信頼感を得られているのではな

域医療機関全体の感染対策のレベルアップが行わ

いかと考える。

れている。この様に介護系施設間においてもネッ

E.まとめ

トワークが構築できれば地域の介護系施設全体の

 今回、介護施設のクラスターに介入したことで

感染対策に対する標準化や職員の意識への更なる

地域の介護系施設における感染対策の現状を把握

レベルアップに繋がる。

することができた。今後も介護系施設の感染対策

 施設への訪問・ラウンドおよびコンサルテーシ

の質の向上に寄与するため、教育活動及びシステ

ョンについては、現在のクラスター発生時の介

ム構築について保健所や医師会の協力のもと継続

入方法である、地域をブロック分けし担当する

的に関わっていく。

CNIC が施設へ介入するシステムをそのまま活用

F.利益相反

していくことが簡明である。

 利益相反なし。

D.考察

G.文献

 今回、看護職員派遣支援制度の感染対策指導へ

1)
藤田烈:高齢者介護施設が抱える新型コロナ

の介入を地域 CNIC が行い、介護系施設における

ウイルス感染症の課題と対策.モダンメディ

クラスター形成の原因の一つではないかと考えた

ア 67(2)
:55-59.2021.

「標準予防策が実践できない問題」を明らかにし、
CNIC が介入できる対策とは何かを考えた。その
中で、介護系施設職員のスキルの問題が大きいと
感じ、介護系施設に対する日頃からの感染対策の
教育、施設訪問・ラウンドおよびコンサルテーシ
ョン対応が介入していける対策と考えた。教育で
は集合研修会を計画する中で、多くの施設職員の
87

信州公衆衛生雑誌 Vol. 18 No. ...

参考文献

今回、看護職員派遣支援制度の感染対策指導へ

1)

藤田烈:高齢者介護施設が抱える新型コロナ

の介入を地域 CNIC が行い、介護系施設における

ウイルス感染症の課題と対策.モダンメディ

クラスター形成の原因の一つではないかと考えた

ア 67(2)

:55-59.2021.

「標準予防策が実践できない問題」を明らかにし、

CNIC が介入できる対策とは何かを考えた。その

中で、介護系施設職員のスキルの問題が大きいと

感じ、介護系施設に対する日頃からの感染対策の

教育、施設訪問・ラウンドおよびコンサルテーシ

ョン対応が介入していける対策と考えた。教育で

は集合研修会を計画する中で、多くの施設職員の

87

信州公衆衛生雑誌 Vol. 18 No. 1, August 2023

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