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大学・研究所にある論文を検索できる 「Adeno-associated virus-mediated gene delivery promotes S-phase entry-independent precise targeted integration in cardiomyocytes」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Adeno-associated virus-mediated gene delivery promotes S-phase entry-independent precise targeted integration in cardiomyocytes

小濱, 康明 大阪大学

2021.03.24

概要

〔目的(Purpose)〕
CRISPR/Cas9により切断されたゲノムDNAは、非相同末端結合(Non-homologous end joining: NHEJ)または相同組み換え修復(Homology-directed repair: HDR)により修復される。DNA二重鎖切断後の修復のうち、正確な修復を可能とするHDRは分裂細胞のS/G2期に特異的に生じ、心筋細胞を含む非分裂細胞への応用は困難とされていた。我々は、これまでにアデノ随伴ウイルス(AAV)を用いた遺伝子導入により、新生仔培養心筋細胞において細胞周期S期侵入非依存性のHDRが生じることを報告したが、成獣心臟組織心筋細胞においてHDRが生じるかは不明であった。そこで本研究は、マウス成獣心臓組織心筋細胞、およびヒトiPS細胞由来心筋細胞においてHDRを誘導すること、またその分子メカニズムを解明することを目的とした。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
心筋に特異的に発現するミオシン調節軽鎖タンパク質 (My12遺伝子)の3’末端にtdTomato蛍光タンパク質をノックインする評価系を用いて、アデノ随伴ウイルス(AAV)によるガイドRNAと修復テンプレートDNAの導入により生後8週齢のCas9ノックインマウス成獣心臟組織心筋細胞においてゲノム編集の誘導を試みた。心臓左室壁内にAAVを局所投与することで投与5日後の心筋細胞においてサルコメア構造に正確に局在するtdTomato蛍光シグナルが検出された。心筋組織から抽出したRNAからcDNAを合成し、PCR及びサンガーシークエンス解析を行ったところ、ゲノム遺伝子上に正確なHDRが誘導されていることを確認した。経時的な評価を行ったところ、AAV局所投与後14日後、28日後にかけてtdTomato蛍光シグナルを呈する心筋細胞は増加傾向を示した。tdTomato蛍光シグナルを呈する心筋細胞を多く含むAAV局所投与領域と、遠隔領域それぞれからレーザーマイクロダイセクションにより組織を抽出し、ゲノムDNAの抽出を行い定量PCRによる解析を行ったところ、AAV局所投与領域には遠隔領域と比しておよそ100倍量のウイルスゲノムコピー数が存在することが明らかとなった。さらにディープシークエンス解析で評価を行った結果、NHEJに対する正確なゲノム編集の効率は、培養胎仔心筋細胞では12.9-15.1%であるのに対して成獣心臓組織心筋細胞では2.1-2.4%と低効率であることが明らかとなった。次にアデノウイルスベクターでも同様にHDRを誘導できるかの検討を行った。AAVと同一のガイドRNAと修復テンプレートをアデノウイルスにより心筋細胞に導入したところ、HDRが誘導されるのは細胞周期S期進入を経た一部の心筋細胞に限られることが明らかとなった。次にDNA修復の過程に関わるFanconi貧血経路がゲノム編集に与える影響についての検討を行った。shRNAにより、Fanconi貧血経路の主要な遺伝子であるFancaをノックダウンした胎仔培養心筋細胞に対してゲノム編集を誘導したところ、HDR効率が低下し、また成獣心臓組織心筋細胞に対してはAAVによりFancaをノックアウトすることでHDR効率が低下した。最後にヒトiPS細胞由来心筋細胞に対し、MYL2遺伝子3’末端にtdTomato蛍光タンパク質をノックインする評価系を用いてHDR誘導を試みた。末梢血単核球から樹立したiPS細胞を心筋細胞へ分化させ、ガイドRNAと修復テンプレートをAAVで導入し、Cas9タンパク質をmRNAレベルでリポフェクション法により導入した。その結果ヒトiPS細胞由来心筋細胞においてもS期進入非依存的にHDRを誘導できることを確認した。またシート状に分化させた心筋細胞においてHDRを誘導しMYL2遺伝子を蛍光標識することで、サルコメア構造をライブイメージングで確認することに成功した。

〔総括(Conclusion)〕
成獣マウス心臓組織心筋細胞、およびヒトiPS細胞由来心筋細胞において、AAVによる遺伝子導入によりHDRを介したゲノム編集が誘導されることを証明した。心筋細胞におけるHDRには一本鎖鋳型修復機構のメカニズムが関与していると推測されること、またFanconi貧血経路によって制御されている可能性が示唆された。本研究は、AAVを介した遺伝子導入が心筋細胞にHDRを誘導する上で重要な役割を果たしていることを明らかにし、非分裂心筋細胞に おける標的ゲノム置換への幅広い応用に役立つと考えられる。

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