SIRT1 enhances hepatitis virus B transcription independent of hepatic autophagy
概要
〔目 的(Purpose)〕
B型肝炎ウイルス(HBV)感染症は世界で約3.5億人が感染し、肝硬変や肝細胞癌の原因の一つとして重要な疾患である。しかし肝細胞からウイルス遺伝子の完全排除する治療法はなく、新たな治療標的が検索されている。今回細胞内の恒常性維持に重要な機構であるオートファジーに着目し、オートファジーの制御がHBV産生に与える効果を検討した。
〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
HBV定常発現細胞としてHepG2.2.15細胞株を、HBV感染可能細胞としてNTCP強制発現HepG2細胞を使用した。感染用のHBVイノキュラムにはHBV定常発現細胞の上清を濃縮して使用した。オートファジー進行の評価にはバフィロマイシンを用いてLC3-IIのタンパク発現量の増加を比較するAutophagic flux assayを行った。
飢餓培地またはラパマイシンによりオートファジーを亢進させると、SIRT1のタンパク発現量、pregenomeRNA(pgRNA)発現量、HBc抗原量は増加した。オートファジーのcore proteinであるAtg7またはAtgl3のノックダウンによりオートファジーを抑制させると、SIRT1のタンパク発現量、pgRNA発現量、HBc抗原量は変化しなかった。SIRT1活性化剤であるレスベラトロール添加により、オートファジーは亢進し、pgRNA発現量、HBc抗原量も増加した。SIRT1のノックダウンにより、オートファジーは抑制され、pgRNA発現量、HBc抗原量も抑制された。SIRT1のノックダウン下に飢餓刺激を加えると、オートファジーの亢進は認められたが、pgRNA発現量、HBc抗原量は変化しなかった。
〔総 括(Conclusion)〕
SIRT1はオートファジーとは独立しウイルス産生を調節していることが示唆された。