LPWA を活用した西駒ステーションの気温データの遠隔測定

15分に設定したファームウェアを作成し，通常では

電源確保が困難でアプローチの悪い場所から通信を

行った。欠測値が生じた西駒演習林管理小屋と西駒

登山道信大ルート₁は小黒川渓谷の谷筋で，中継局

への見通しがなかったために，安定した通信が実現

しなかったと考えられる。尾根筋に設置した₃地点

の通信は安定しており，西駒登山道信大ルート₂と

西駒登山道信大ルート分岐は樹林帯の中であったが，

通信は安定していた。西駒ステーション将棋ノ頭は

伊那谷が一望でき，受信局も目視できるため，電波

₁） 小林 元・小川忠繁・鈴木 純・野溝幸雄・木下

渉（2011）信州大学農学部附属アルプス圏フィー

ルド科学教育研究センター西駒ステーションにお

け る2009年 の 気 象 観 測 デ ー タ． 信 州 大 学 農 学 部

AFC 報告：₉‒125－127．

₂） 小林 元・野溝幸雄・木下 渉・鈴木純（2012）

信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教

育研究センター西駒ステーションにおける2010年

の気象観測データ．信州大学農学部 AFC 報告10：

161‒162． 強度が高く通信が非常に安定していた。LoRaWAN

₃） 小林 元・片野亜紀・佐野深作・川谷尚平・野溝

の電波は障害物がなければ20 km 近くの距離で通信

幸雄・木下 渉・酒井敏信・白澤紘明・荒瀬輝夫

可能であるため，他の山域でも活用できると思われ

る。

今回測定した温度は，センサーが大気に直接触れ

ていないため本来測定される気温とは完全に一致し

ないが，温度データとして利用するには式₁の推定

モデルによる補正が有用と思われる。端末の温度セ

ンサーは筐体内にあるため気温より少し高い値を示

すが，日平均気温の変化はアメダス気温データとほ

（2019）信州大学西駒ステーションの森林限界に

おける林分構造．信州大学農学部 AFC 報告17：

19‒26．

₄） 木下 渉・鈴木 純・小林 元（2008）信州大学

農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究セ

ンター手良沢山ステーションにおける気象データ

の収集．信州大学農学部 AFC 報告₆：87‒89．

₅） 渡邉 修・菊田文太郎・島崎 傑・若狭正生・平

山和徳（2018）LoRaWAN を利用した鳥獣害セン

ぼ一致し，気温測定端末として高い精度で活用でき

サーの開発と通信可能エリアの可視化．システム

ると判断された。

農学会．2018年度大会講演要旨集：23‒24．

LPWA（LoRaWAN） は 11 byte の 情 報 を

920 MHz の電波を利用して長距離通信を行う。山

岳 地 帯 で の 通 信 実 証 例 は 極 め て 少 な く， 標 高

2700 m 前後の高山帯からの通信実証は国内初と思

われる。また西駒ステーション内の標高1650 m や

2100 m 付近の気温を継続的に測定した例はなく，

電源確保が困難な場所での活用が期待される。通信

モジュールと温度センサーを一体化した端末は，現

地に多数設置することが可能で，温暖化の気温変動

を標高ごとにモニタリングするツールとして活用で

きる。

LPWA を活用した西駒ステーションの気温データの遠隔測定

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Remote measurement of temperature data at Nishikoma Station using LPWA

Osamu WATNABE*, Buntaro KIKUTA**, Suguru SHIMAZAKI***, Atsuro MIKI****

and Hajime KOBAYASHI****,******

*Division of Plant Resources Science, Faculty of Agriculture, Shinshu University

**Ina Cable Broadcasting Agricultural Cooperative

***Shinko Shoji Co., Ltd.

****Division of Forest and Environmental Symbiosis Science, Faculty of Agriculture, Shinshu University

*****Education and Research Center of Alpine Field Science, Faculty of Agriculture, Shinshu University

Summary

In order to monitor climate variability due to global warming over the long term, we developed a

temperature notification system for sensor terminals using LPWA (LoRaWAN, 920MHz) communication

technology, and attempted remote measurement of the temperature at Shinshu University AFC Nishikoma

Station. It was confirmed that the LoRaWAN temperature sensor installed on a trial basis has an error of

about 0.4 ℃ with the daily average temperature at the AMeDAS observation point (Ina Station, Nagano

Prefecture), and can be used as a sensor to notify the temperature every 15 minutes. As a result of

installing terminals at five locations at Nishikoma Station, stable communication can be achieved at three

locations : the Nishikoma mountain trail Shinshu route (Minamizaka, altitude 1650 m), Nishikoma mountain

trail Shinshu route branch (2100 m) and Nishikoma station Shogi-no-Kashira(2675m). This temperature

terminal could be used as a temperature data collection tool. LoRaWAN temperature terminals can

measure with high accuracy in fields where it is difficult to secure a power source, etc., and in addition to

having the advantage of being able to install a large number of terminals in the field, it can also be

expanded to other mountainous areas by installing a receiving station.

Key Words : LPWA, Temperature, Global warming, Remote measurement

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