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大学・研究所にある論文を検索できる 「Tests of Alternative Theories of Gravity through Gravitational-Wave Polarizations」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Tests of Alternative Theories of Gravity through Gravitational-Wave Polarizations

武田, 紘樹 東京大学 DOI:10.15083/0002006657

2023.03.24

概要

論文審査の結果の要旨
氏名

武田

紘樹

本論文は全 8 章からなり、一般相対性理論を超える重力理論の可能性を検証・制限する
ため、レーザー干渉計を用いた重力波検出装置に適用するためのデータ解析手法を新たに
提案すると同時に、それを観測データに適用した。本解析手法は、重力波の偏極として一般
相対性理論で予想される 2 つのテンソルモードだけでなく、ベクトルモードとスカラーモ
ードの可能性を探索する。特に、過去に行われた解析に比べ、重力波を放出する連星系の傾
き角と放射振幅の関係について偏極依存性を考慮した解析を行った点が新しい。
GW170817 のデータを解析し、ベクトルまたはスカラーのみの理論に最も強い制限をつけ
たこと、一般相対性理論にスカラー自由度を加えた理論について重力ポテンシャルの強度
が O(0.1)という強重力環境において制限をつけたことが、これまでの研究に比べ新規性の
ある進展である。
第一章では、分野の現状として、引用を交えながら一般相対性理論検証の現状と、それ
を超える重力理論の探索、テンソル以外の重力波偏極自由度を用いた探索手法について概
観した後、本論文の構成を示す。
第二章では、一般相対性理論およびそこから導かれる重力波解について概観する。
第三章では、一般相対性理論の帰結として現れるテンソル偏極重力波の他に、それを超
える拡張理論から現れるスカラーおよびベクトル偏極の重力波を定義し、どの拡張理論か
らどの偏極自由度が現れうるのかについても概観する。さらに、それらの偏極自由度に対す
る検出器応答の定式化を示した上で、スカラーおよびベクトル偏極の探索のためのいくつ
かのデータ解析手法を示す。
第四章は、本論文で使用するデータ解析手法、特にフィッシャー解析やベイズ推定につ
いて概観する。
以下、第五章以降が本論文の主題となる。
第五章においては、テンソル偏極に加えて、スカラーまたはベクトル偏極、もしくはそ
の両方が許されるような拡張理論を考え、第二世代及び第三世代の重力波検出器で予想さ
れる性能から、これらの拡張理論に対する制限についてフィッシャー解析を行う。これによ
り、予想される感度及び偏極成分分離のための条件を議論する。特に、偏極成分を分離する
ために、偏極自由度と同じ数の重力波検出器が必要となることが示される。また、一部の第
三世代重力波検出器においては、低周波領域での感度が向上し、長時間の波形測定が可能と
なるため、地球の自転により一つの重力波検出器が方向を変えるためにあたかも複数の検
出器であるかのように振る舞い、原曲成分分離の性能が向上することが示される。
第 六 章 で は 、 LIGO-VERGO 共 同 研 究 チ ー ム が 検 出 し 解 析 し た 重 力 波 イ ベ ン ト

GW170814 および GW170817 について再解析を行い、特に「ベクトルのみ」
「スカラーの
み」というモデルについて制限を行う。特に、以前の解析で無視されていた連星系の傾斜角
と偏極自由度、そして重力波振幅の関係に着目し、それを用いることでより感度の高いデー
タ解析を行うことに成功した。これにより、世界最高精度でこれらのモデルを棄却した。
第七章では、同じ重力波イベント GW170814 および GW170817 についてデータ解析を
行うが、特に、モデルとして「テンソル偏極に加えてスカラー偏極がある」というモデルを
考える。多くの拡張重力理論においては、第六章で議論したような「ベクトルのみ」
「スカ
ラーのみ」というモデルではなく、テンソルに他の偏極振幅が加えられるような重力波偏極
が予言されるため、この解析の方がより物理的動機付けが強いものだと言える。本解析は初
めて行われたもので、特に O(0.1)という強重力環境において、スカラー自由度に最も強い
制限を与えている。
第八章が最終章であり、本論文の総括と将来への見通しを述べる。
本研究は、近年新しく拓かれた重力波天文学をさらに発展させ、特に一般相対性理論を
超える修正重力理論の探索に応用する新規性の高いものである。今後の分野の発展と共に
さらに研究を発展させられる見通しも示され、将来にわたり分野の発展に寄与する礎とな
る研究と言える。
なお、本研究は複数の研究者との共同研究として行われているが、本論文に関連する原
著論文三編が全て論文提出者の主著論文であり、論文提出者の主導の下に行われた研究で
あることは明確である。
従って、博士(理学)の学位を授与できると認め、審査委員全員で合格と判定する。

参考文献

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