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大学・研究所にある論文を検索できる 「Molecular Genetics of Kinesin Superfamily Protein 12(KIF12) in the Liver」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Molecular Genetics of Kinesin Superfamily Protein 12(KIF12) in the Liver

アシエ, エテマド ファシュカチェ 東京大学 DOI:10.15083/0002006921

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨

氏名アシエ・エテマド・ファシュカチェ

本研究はキネシンタンパク質 KIF12 の遺伝子ノックアウトマウスならびにノックダウン
肝細胞の解析を通じて KIF12 蛋白質の非アルコール性脂肪肝障害(NAFLD)ならびに非アルコ
ール性脂肪肝炎(NASH)に対する効果を研究したものであり、下記の結果を得ている。
1. 6 か月令ならびに 12 か月令における各 4~5 例の KIF12 ノックアウトマウスならびに
野生型マウスの肝臓を組織学的に検索し、脂肪肝ならびに脂肪肝炎様の病理所見を得
た。脂肪染色によりノックアウトマウス肝は野生型に比して明らかに脂肪蓄積が亢進
していた。H&E 染色によりノックアウトマウス肝では野生型に比して免疫細胞浸潤や細
胞質の空胞変性像が増加し、またシリウスレッド染色によりノックアウトマウス肝で
は野生型に比して線維化が増進していた。これらの所見はいずれもヒト肝における
NASH/NAFLD の初期像と一致するものであり、またこれまでにヒト肝炎家系における
KIF12 変異が記載されていることから、KIF12 ノックアウトマウスが新たな NASH/NAFLD
モデルとして有用である可能性をはじめて示唆した。
2. ヒト HepG2 肝細胞への KIF12 ノックダウン miRNA ベクター導入により脂肪変性像が有
意に再現された。このことは KIF12 活性低下による肝細胞内在性の変化を示唆するも
のであり、KIF12 が肝細胞の内在プロセスに関与することによって脂肪変性を抑止して
いる可能性をはじめて示唆した。
3. 上記 KIF12 ノックダウン肝細胞に対し KIF12 蛋白質の各ドメインを含有する発現ベク
ターを導入してレスキュー実験を施行したところ、C 末端の非モータードメインの導入
により特異的に脂肪変性が緩和された。さらにこのドメインは、ノックアウトマウス肝
臓に対する in vivo 導入、あるいは HepG2 細胞に脂肪酸等を負荷して得られた非遺伝
学的モデル細胞に対する導入においても、脂肪変性の顕著な改善効果を示した。一方 In
silico アナリシスにより、肝臓に発現する短い KIF12 アイソフォームはモータードメ
インの前半を欠損しており、分子モーターの活性を有しないキネシンであることを同
定した。これらの結果は肝細胞の脂質代謝の制御過程において、キネシンの非モーター
スキャフォールドとしての新たな活性を示唆した。

本論文は KIF12 キネシン分子の非モータースキャフォールドとしての新たな活性を遺伝
学的モデルの解析から明らかとした。さらに肝細胞脂肪蓄積を抑制する新しい因子として
KIF12 分子 C 末ドメインを同定し、その NASH/NAFLD 予防における有用性を多様なモデルを
用いて解明したものである。したがって本研究はキネシン生物学の展開を新たにするとと
もに、非アルコール性脂肪肝障害の分子病態の解明と新規治療戦略の開発に対して重要な
貢献をなすと考えられる。
よって本論文は博士( 医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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