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大学・研究所にある論文を検索できる 「血中タンパク質 Mac-2bp の新規生理的機能解析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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血中タンパク質 Mac-2bp の新規生理的機能解析

小松, 銀河 東京大学 DOI:10.15083/0002006925

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 小松 銀河
本研究は、肝線維化の進展を判定するバイオマーカーとして既に活用されている血中タ
ンパク質 Mac-2bp に注目し、その知られざる生理的機能を、Mac-2bp 欠損マウスを用いて
明らかにしようと試みたものであり、下記の結果を得ている。
1. CRISPR/Cas9 法により作製された Mac-2bp 欠損マウスにつき、その性質を確認し
た。Mac-2bp ホモ欠損マウスの出産時や発育について重大な現象は見受けられず、
本マウスは正常に発生し生育できると考えられた。ここで興味深いことに Mac-2bp
欠損マウスの肝臓・腎臓の重量が、野生型マウスよりも有意に重いことがわかった。
肝腎のどちらの組織像にも著明な異変はなく、また肝臓についてトリグリセライド
やグリコーゲンの蓄積はないことから、この重量の差には何か別の原因があること
が示唆された。
2. Mac-2bp は肝障害時に活性化した肝星細胞で発現・分泌されることがわかっている。
このことを考慮し、Mac-2bp の肝線維化や非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD)
の病態増悪への関与を、各マウスモデルを作製して検討した。四塩化炭素投与による
肝線維化や、高脂肪食給餌による脂肪肝、それに伴う炎症・細胞内ストレスについて
は、野生型と Mac-2bp 欠損マウスの両群で大きな差異は見受けられなかった。一方
で高脂肪食 1 年給餌時、Mac-2bp 欠損マウスでは野生型マウスほどの大きさの腫瘤
形成や肝細胞変性は認められなかった。このことから、Mac-2bp は肥満や NAFLD
の病態増悪には寄与しないことが示唆された。
3. 活性化した肝星細胞以外の Mac-2bp 発現細胞を同定するために、マウスの各組織を
抗 Mac-2bp 抗体で染色したところ、胸腺やパイエル板を始めとするリンパ組織にお
いて、通常時から強いシグナルが見られることを発見した。パイエル板では複数の領
域でシグナルが確認された。
4. Mac-2bp の胸腺細胞分化への関与を検討したが、Mac-2bp 欠損マウスでは野生型マ
ウスと同等の正常な胸腺細胞分化が行われており、Mac-2bp の分化への関与は薄い
ことが示唆された。
以上、本論文はバイオマーカーMac-2bp の「バイオマーカーではない」側面に注目し、
その生理的機能を解明しようと試みたものである。本研究は血中タンパク質 Mac-2bp の基
礎的理解を深めるだけでなく、生理現象や疾患増悪・抑制メカニズムの理解、解明に重要
な知見をもたらし得るものであり、重要な貢献をなすと考えられる。
よって本論文は博士( 医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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