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大学・研究所にある論文を検索できる 「Pd-Catalyzed Cyclotrimerization of Helicenyl Arynes: Synthesis, Structures, Properties, and Theoretical Study of Multiple Helicenes」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Pd-Catalyzed Cyclotrimerization of Helicenyl Arynes: Synthesis, Structures, Properties, and Theoretical Study of Multiple Helicenes

細川 朋佳 大阪府立大学 DOI:info:doi/10.24729/00017393

2021.05.11

概要

ヘリセンは、末端ベンゼン環の分子内立体反発によって引き起こされるねじれ構造を有する非平面多芳香族化合物の一種である。その興味深いらせん構造に加えて、高い旋光性、円偏光二色性などのユニークな光学的特性を示す。これらの特性を活用した様々な炭素材料や電子デバイスへの展開が期待されている。一方、最近、分子内に複数のヘリシティを持つ「多重ヘリセン」の化学が急速に成長し、魅力的な研究分野に発展している。らせん構造を分子内に集積することによって、高度に歪んだ構造を与える化合物群である。実際、多重ヘリセンのねじれ角は [n] ヘリセンのそれよりも大きい (n=5~7、ねじれ角:13.7°-15.1°)。さらに、多重ヘリセンの特徴は、単一のらせん不斉をもつ化合物にはない審美的な構造に加えて分子間のパッキングや動的な挙動の発現といった魅力的な性質を有している。この博士論文では、アラインの Pd 触媒[2+2+2]環化三量化反応による新規多重ヘリセンの創製を行った。この研究の鍵となる中間体はヘリセニルアラインであり、一段階で分子中に多重らせん構造を構築できる可能性を有している。

第 1 章では、 [5]ヘリセンサブユニットの 3 つの内側と 3 つの外側からなる六重ヘリセンの合成、構造、性質について述べている。そこで、ヘリセニルアラインの Pd 触媒 [2+2+2]環化付加反応により合成を行った。X 線結晶構造解析の結果、生成物の立体化学は C 2 対称の (P, M, P, P, M, P) 配置であることが分かった。C 2 異性体の最大の特徴は、中心トリフェニレンコア部分のベンゼン環の変形であり、ベンゼン環の最大のねじれ角は 35.7° であった。更に、得られた異性体はトルエン (100 °C、3 時間) 中での加熱により D3 対称性を有する最も安定な異性体に定量的に変換できた。六重ヘリセンの相互変換経路を速度論的研究と DFT 計算により明らかにした。

第 2 章において、ヘリセニルアリンの Pd 触媒 [2+2+2] 環化三量化反応を経由する六重ヘリセンの立体選択的生成の理由を密度汎関数理論 (DFT) 計算により明らかにした。五員環パラダサイクル中間体への第三の [5]ヘリセニルアラインの挿入反応を調査した。興味深いことに、計算した自由エネルギープロファイルは最も安定な D3 異性体への高いエネルギー障壁を含むが、次の低位置の C 2 異性体への障壁は低かった。さらに、 D3 対称構造への高エネルギー障壁を通過する代わりに C 2 対称構造の形成を導く分岐反応経路を見出した。この分岐反応経路は、C 2 対称六重ヘリセンが選択的に生成する主な理由と考えられる。

第 3 章では、共役ヘリセンの合成と理論的研究について述べている。すでにヘリセニルアラインの Pd 触媒によるホモ環化三量化反応に成功し、アルキンとヘリセニルアラインとの Pd 触媒による交差環化三量化反応による三重ヘリセンのエナンチオ選択的合成についても報告している。この二つの反応を組合せることによる新しい多重ヘリセンの合成を検討した。3 つの [5]ヘリセン部分構造をもつ π 拡張ヘリセニルアライン前駆体を、ヘリセニルアラインとビスアラインとの Pd 触媒交差環化三量化反応により合成した。さらに、得られた π 拡張ヘリセニルアライン前駆体のホモ環化三量化反応についても検討した。また、DFT 計算による安定な立体異性体とそれらのラセミ化過程を明らかにした。

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