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大学・研究所にある論文を検索できる 「CDKA regulates light signaling responses in Physcomitrium patens [an abstract of entire text]」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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CDKA regulates light signaling responses in Physcomitrium patens [an abstract of entire text]

井上, 夏実 北海道大学

2022.03.24

概要

Cyclin依存性キナーゼ(CDK)はタンパク質キナーゼの一種であり、パートナー分子であるCYCLINの種類に応じて基質を替えることが出来る。中でもアミノ酸、PSTAIRE 配列を持つPSTAIRE型CDKは、真核生物の細胞分裂に不可欠な細胞周期調節因子の一つである。近年の研究により、PSTAIRE型CDKの細胞周期以外の機能が明らかになってきたが、CDKノックアウト変異体の致死性や重度の生育障害は、決定的な遺伝学的証拠の妨げとなっていた。ここでは、動物のCDK1や酵母のcdc2/cdc28と相同性のある物のPSTAIRE型CDKAが、完全に分化した細胞の光応答を制御していることを示す。
コケ類のPhyscomitrium patensでは、PpCDKA 遺伝子を2つ持っており、PpCDKA 二重欠損変異体は、細胞周期の進行に影響を受けているにもかかわらず、予想外に生存可能であり、形態学的にも正常であった。表現型の更なる観察より、PpCDKA 二重欠損体では光応答である葉緑体光定位運動、光屈性、偏光屈性に異常が現れることを明らかにした。

細胞周期制御にはキナーゼ活性が必須であると考えられているが、細胞周期とは独立した光応答で働くときにPpCDKAがキナーゼ活性を必要とするのかを2 種類のキナーゼ活性レベルの異なる変異体を用いて調べたところ、PpCDKAのキナーゼ活性は光応答に重要な役割を果たしているが、細胞周期の進行に比べて必要とされる量は少ないと考えられる。

PpCDKAの光屈性における役割を調べた。原糸体が伸びる際に、アクチンと微小管の細胞骨格が重要であることが知られているので、それぞれの阻害剤を用いてPpCDKAと細胞骨格の関係を観察した。その結果、微小管重合阻害剤とアクチン安定化剤を使用したときに野生型がPpCDKA 二重欠損変異体と同じ表現型を示した。このことから、PpCDKAは細胞骨格を介して光屈性を制御していることが明らかとなった。

次に、PpCDKAの葉緑体光定位運動での働きを詳細に調べた。葉緑体光定位運動には2つの反応があることが知られている。弱光条件下では葉緑体は光照射範囲に集まる集合反応を示し、効率的に光合成をおこなおうとする。他方で、強光条件下では葉緑体は光照射範囲から逃げる逃避反応を示し、光による傷を最小限にとどめようとする。ヒメツリガネゴケは青色光と赤色光で葉緑体運動が起こることが知られているが、被子物では青色光のみを利用していると考えられているため、青色光での反応に着目した。PpCDKA 二重欠変異体は強光下で起こる逃避応答は野生型と違いが見られなかったが、弱光下で起こる、集合応答でのみ異常を示した。さらに、葉緑体運動が起こる際に葉緑体の周りに形成されるcp-actinと呼ばれるアクチンができているか、アクチン可視化ラインで観察したところ、PpCDKA 二重欠変異体ではcp-actinは形成されていなかった。

さらに、この新規なCDKAの機能を、被子植物であるシロイヌナズナでも探索したところ、シロイヌナズナでもCDKAが集合応答にのみ関わっていることがわかったため、被子植物でも保存されていることを発見した。

最後に、PpCDKAと偏光屈性の関係を調べましたが、オーキシンとは別のパスウェイでCDKAが関わっていることを見出しました。

以上のことから、物の環境適応に不可欠な進化的に保存されたプロセスである光応答を制御するために、PSTAIRE型CDKAが共役していることが示唆された。

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