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大学・研究所にある論文を検索できる 「Study on the Mechanisms of Immunomodulators Using an Atopic Dermatitis Mouse Model」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Study on the Mechanisms of Immunomodulators Using an Atopic Dermatitis Mouse Model

王, 蓉 東京大学 DOI:10.15083/0002006868

2023.03.24

概要

























アトピー性皮膚炎は、罹患者の多い重要な免疫疾患であり、生体中、食品中の種々の免疫
調節物質による緩和作用が期待されている。本論文では、まず生体内調節物質である Gc
protein-derived macrophage activating factor (GcMAF)の新たな調製法を確立し、その後、ア

トピー性皮膚炎マウスモデルを構築し、それを用いて、GcMAF を含む 4 種の免疫調節物質に
ついて、皮膚炎緩和作用について検討している。さらに、これらの免疫調節物質のうち

Lactococcus lactis subsp. cremoris YRC3780 およびアンセリンについて皮膚炎抑制機構
の解明を進めたもので、序論と、本論の三章、および総合討論からなる。
第 1 章では、GcMAF の新しい調製法について検討している。ヒト血清より、25-hydroxy
vitamin D3 結合カラム、ゲル沪過カラム、および陰イオン交換カラムを用いてヒト GcMAF の

前駆体タンパク質である Gc protein を精製し、さらに sialidase、mannosidase、および βgalactosidase を固定化したカラムを使用して GcMAF を調製している。また、得られた Gc

protein および GcMAF については LC-MS/MS 解析により確認している。以上より従来の方法と比
べて純度が高い Gc protein を得ることにより、優れた GcMAF 調製法を確立している。

第 2 章では、
dinitrochlorobenzene(DNCB)
を用いたマウス皮膚炎モデルを作製し、GcMAF、
フェルラ酸、L. cremoris およびアンセリンの緩和作用について検討している。まず、BALB/c
マウス皮膚への DNCB 塗布による皮膚炎モデルの作製について検討し、耳に DNCB を塗布し
て感作を行い、さらに、背中に DNCB を塗布するチェレンジを行うことにより、有効な皮膚
炎モデルが構築できることを示した。次に、4 種の免疫調節物質による皮膚炎緩和作用につ
いて検討したところ、GcMAF については緩和作用が認められなかったが、フェルラ酸、アン
セリンおよび L. cremoris については、耳の厚さが有意に低下し、皮膚炎を緩和する作用が
認められた。この中で、アンセリンおよび L. cremoris は、インターフェロン (IFN)-の発
現を上昇する傾向が認められた。
第 3 章では、アンセリンおよび L. cremoris のアトピー性皮膚炎抑制機構についてさら
に解析を進めている。まず、in vitro の細胞培養系について、両免疫調節物質の作用につ
いて検討している。卵白アルブミン特異的 T 細胞レセプタートランスジェニックマウスで
ある RAG23-3/BALB マウス由来脾臓細胞培養では、L. cremoris の添加によりインターロイ
キン (IL) -4 産生が抑制され、IFN-および IL-12 産生の増強が認められている。一方で、

アンセリンでは明確な変化は認められなかった。続いて、作用を受ける細胞についてより詳
細に明らかにするため、抗原提示細胞と CD4+T 細胞の培養系を用いて、検討を進めている。
腸間膜リンパ節樹状細胞を用いた培養では、L. cremoris、アンセリンともに、IFN-および
IL-12 産生を増強し、パイエル板樹状細胞を用いた培養系では、IL-4 発現を抑制した。ま
た、Th1,Th2 への分化過程における作用を検討したところ、アンセリンでは効果が認めら
れず、L. cremoris 添加により、Th1 細胞では IFN-産生が、Th2 細胞では、IL-4 産生が抑
制された。以上の結果から、L. cremoris は複数の細胞に作用するのに対し、アンセリンは
特定の抗原提示細胞に作用する可能性が示された。
続いて、経口投与・感作期間を 3 週間に延長した場合の緩和作用について検討している。
その結果、この場合も L. cremoris およびアンセリンによって耳の厚さを指標とした緩和
作用が認められた。L. cremoris により腸間膜リンパ節 Foxp3+ 制御性 T 細胞の誘導が認め
られ、一方、アンセリン投与により、皮膚炎誘導により変化した腸内細菌叢が回復する傾向
が認められている。また、経口投与期間を 11 日間と短くした場合においては、L. cremoris、
アンセリン経口投与により、血中 IgE 抗体量および耳組織における IL-4 発現が低下した。
最後の総合討論では、L. cremoris、アンセリンの皮膚炎緩和機構について主に考察して
いる。本研究の結果から、皮膚炎初期においては、L. cremoris およびアンセリンによるパ
イエル板における応答の制御により耳局所の IL-4 発現が低下し、血中 IgE 応答が抑制され
ることが示唆された。また、皮膚炎中期においては、L. cremoris、アンセリン経口投与に
よる免疫調節作用は主に局所の IFN-の産生増強によるものであり、後期では、L. cremoris
による制御性 T 細胞の誘導、アンセリンによる腸内細菌叢の調節により皮膚炎が緩和され
る可能性が示された。
以上、本論文は、免疫調節物質 GcMAF の調製法を確立し、皮膚炎モデルマウスを用いて L.

cremoris およびアンセリンが、皮膚炎の経過において異なる作用で皮膚炎を緩和すること
を示したもので、学術上応用上寄与するところが少なくない。よって、審査委員一同は本論
文が博士(農学)の学位論文として価値あるものと認めた。

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