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大学・研究所にある論文を検索できる 「電子ハイブリッドコードによるホイッスラーモード・コーラス放射励起過程での波動粒子相互作用の計算機実験」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

電子ハイブリッドコードによるホイッスラーモード・コーラス放射励起過程での波動粒子相互作用の計算機実験

加藤, 雄人 大村, 善治 北原, 理弘 齋藤, 幸碩 儀野, 航 京都大学

2023.03

概要

電子ハイブリッドコードによるホイッスラーモード・
コーラス放射励起過程での波動粒子相互作用の計算機実験
Electron hybrid simulation of wave-particle interactions in the generation process of
whistler-mode chorus emissions
研究代表者:加藤雄人(東北大学大学院理学研究科)
yuto.katoh@tohoku.ac.jp
研究分担者:大村善治(京都大学生存圏研究所)
omura@rish.kyoto-u.ac.jp
担当:計算結果の理論検討
北原理弘(東北大学大学院理学研究科)
kitahara.masahiro@isee.nagoya-u.ac.jp
担当:計算機実験の実施、計算結果の理論検討
齋藤幸碩(東北大学大学院理学研究科)
koseki.saito@stpp.gp.tohoku.ac.jp
担当:計算機実験の実施、計算結果の理論検討
礁野航(東北大学大学院理学研究科)
ko_isono@stpp.gp.tohoku.ac.jp
担当:計算機実験の実施、計算結果の理論検討
研究目的 (Research Objective):
ホイッスラーモード・コーラス放射は、地球内部磁気圏の真夜中から朝側の領域で観測さ
れるコヒーレントなプラズマ波動である。周波数が時間的に変化する特徴を持つコーラス放
射の観測・理論研究は半世紀以上の歴史があり、高緯度領域の地上観測局での観測と、 70
年代から現在に至るまでに人工飛翔体により得られた直接観測結果に基づく研究によって、
その特徴が明らかにされてきた。 90 年代の後半には、地球放射線帯外帯における相対論
的高エネルギー電子のフラックス変動に対して、コーラス放射による加速過程およびピyチ
角散乱過程が重要な役割を果たすことが指摘され、コーラス放射に関わる物理過程は宇宙
天気研究において特に重要な研究課題として認識されている。 2016 年 12 月に打ち上げら
れたジオスペース探査衛星 ERG (あらせ)では、コーラス放射と相対論的高エネルギー電子
との相互作用が主要な観測対象の一つとして挙げられている。
コーラス放射の生成機構において、非一様磁場中でのサイクロトロン共鳴を基本とする非
線形の波動粒子相互作用が本質的に重要である。本研究課題では、独自に開発を進めて
いる電子ハイブリッドコードを用いた自己無撞着な計算機実験によりコーラス放射の生成過
程を再現し、電子の速度分布に与えた温度異方性に起因した不安定による線形成長段階
から、非線形波動粒子相互作用によるコーラス放射の生成に至るまでのプロセス全容の解
明を目指して研究を進めている。また、計算結果の解釈には、テスト粒子解析を併用するこ
とで、発生したコーラス放射と相対論的高エネルギー電子との相互作用素過程を究明する。
本報告書では開発を進めている空間 2次元コードによる結果について述べる。
-81-

計算手法 (Computational Aspects)
本研究で用いる電子ハイブリッドコードは、プラズマ波動伝搬の媒質となる背景電子を流

, JGR 2004, 2006]。モ
体、高エネルギーの電子を粒子として取り扱う [e.g., KatohandOmura
デル中では背景のコールド電子と、 keV から MeV オーダーのエネルギーを持つ高エネルギ
ー電子の 2 粒子種を考慮する。流体として扱う背景電子の数密度は空間一様と仮定し、粒
子として扱う高エネルギー電子の磁気赤道での速度分布としては、温度異方性を持ったロ
スコーン分布を仮定する。また、電場の静電成分は解かず、背景磁場に垂直方向成分の電
磁場のみを解き進める。
空間 2次元のシミュレーションコードは、電子ハイブリッドコードの背景電子の運動を解くコ
ードを空間 2次元に拡張することにより開発を進めている。ダイポール座標系を用いて、磁
気子午面をシミュレーション空間として設定する。初期結果を Katoh(EPS 2014)で報告して
おり、背景プラズマ密度が周囲の磁力線よりも 1.5 倍もしくは 1/2 倍となる磁力線(ダクト構造)
を設定した場合に、ホイッスラーモード波動がダクト構造に沿って伝播する様相が再現され
ている。 2022 年度はこの計算を、波動の発生領域をダクト構造の中心部からずらした場合に、
波動の伝搬過程に対してダクト構造が及ぼす影響について調べた。


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研究成果( Accomplishments

電子ハイブリッドコードを用いた計算機実験では、ダイポール磁場中の一本の磁力線に
沿ってシミュレーション空間を設定し、磁力線上で背景磁場強度の空間勾配をモデル化し
て粒子の運動方程式に取り入れることにより、磁力線沿いに運動する高エネルギー電子のミ
ラー運動を再現する。シミュレーション空間は磁気赤道を中心とする 1次元とする。高エネル
ギー電子の初期速度分布として与える分布関数の温度異方性および高エネルギー電子の
数密度、ならびに背景磁場強度の空間勾配を様々に変化させて、コーラス放射の発生条件
に関するサーベイ計算を実施した。 Katohe
ta
l
.(JGR 2018) で報告した温度異方性が 4 から

9 の範囲までの初期速度分布関数に対する依存性に関して、温度異方性のサーベイ範囲
をさらに広げて調査を継続する。
空間 2次元のシミュレーション結果に関して、ダクト構造を L=4 の磁力線に設定した条件
について、ホイッスラーモード波動の発生源をダクト構造の中心とした場合(Fig. 1左)と、波
RE は地球半径)内側に設定した場合(Fig. 1右)について示す。この結
動の発生源を0.1 RE (
果から、ホイッスラーモード波動がダクト構造の中心で発生した場合には、ダクト構造に沿っ
て伝播する様相が示される。さらに、波動がダクト構造の外縁部で発生した場合にも、伝搬
の過程でダクト構造の影響を大きく受けて、ダクト構造が形成された磁力線に沿うようにして
伝播する様相が示されている。これらの結果は、内部磁気圏に形成されたダクト構造が、磁
気圏内を伝播するホイッスラーモード波動をとらえて、特定の磁力線に集中させる効果を持
つことを示唆している。今後さらにダクト構造がホイッスラーモード波動に及ぼす影響を計算
機シミュレーションにより調べると共に、自己無撞着なシミュレーション結果ならびに衛星観
測結果との比較を計画している。

-8
2-

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3
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t= 4900.00 [Oご

4.
1

X[
R
E
]

X[
R
E
]

Fig.1 空間 2次元コードによるホイッスラーモード波動の伝播に関する
シミュレーション結果
公表状況( Publications ) :

(論文)

1. Kitahara, M., Matsuda, S., Katoh, Y., Kojima, H., Kasahara, Y., Miyoshi, Y.,Nakamura, S.,
and Hikishima, M.. A calibration method of short-time waveform signals passed through
linear time-invariant systems: 1. Methodology and simple examples. Radio Science, 57,
e2022RS007454, https://doi.org/10.1029/2022RS007454, 2022.
(口頭)

1. Katoh, Y., Y. Miyoshi, V. Jordanova, S. Kurita, S. Matsuda, S. Saito, Electron hybrid code
simulation of the whistler-mode chorus generation based on the RAM/SCB results of the
March 2017 storm, JpGU 2022, 千葉, 1 June 2022.
2. 齋 藤 幸 碩, 加 藤 雄 人,木 村 智 樹 川
, 面洋平熊
, 本 篤 志 速, 度 分 布 関 数 の 空 間 変 化 を
考慮した磁気圏プラズマの沿磁力線数密度・圧力分布モデルの開発, JpGU 2022,
千莱, 3 June 2022.
3. 北 原 理 弘, 三 好 由 純, 中 村 紗 都 子, 小 路 真 史, 加 藤 雄 人, 北 村 成 寿, 共鳴・非共鳴波
動粒子相互作用における電子捕捉領域の統ーモデル , JpGU 2022, 千葉 , 22 May
2022.
4. Katoh, Y., P. S. Rosendahl, Y. Ogawa, Y. Hiraki, and H. Tadokoro, Simulation study of the
effect of the mirror force on the collision rate due to energetic electron precipitation,
URSI-JRSM 2022, Tokyo, 1-2 September 2022.
5. 齋藤幸碩 , 加藤雄人, 木 村 智 樹, 川 面 洋 平, 北 原 理 弘 , 熊本篤志 , 磁気圏プラズマ

-8
3-

, 第 152 回 地 球
の沿磁力線分布モデルの開発と分散性 Alfven 波 の 波 動 特 性 の 研 究
, 相 模 原, 11 月 3 日-7 日, 2022 年 .
電磁気・地球惑星圏学会総会および講演会
6. 儀 野 航, 加 藤 雄 人 ,川 面 洋 平 熊
, 本篤志内
, 部 磁 気 圏 に お け る ULF 波動の伝搬過
程を解く MHD シミュレーションコードの開発第
,
152 回地球電磁気・地球惑星
圏 学 会 総 会 お よ び 講 演 会, 相 模 原, 11 月 3 日-7 日, 2022 年 .

7. 北 原 理 弘, 三 好 由 純, 中 村 紗 都 子, 小 路 真 史, 加 藤 雄 人,北 村 成 寿 ,円 偏 波 プ ラ ズ
マ波動による荷電粒子捕捉に関する統ーモデル第
,
152 回地球電磁気・地球惑星
圏 学 会 総 会 お よ び 講 演 会, 相 模 原, 11 月 3 日-7 日, 2022 年 .
8. Saito, K., Y. Katoh, T. Kimura, Y. Kawazura, M. Kitahara, A. Kumamoto, Characteristics
of dispersive Alfvén waves inferred from the newly developed magnetospheric plasma
distribution model, AGU Fall Meeting 2022, Chicago & Online, 12-16 December 2022. ...

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