小天体近傍のイオン環境計算機実験

概要

小天体近傍のイオン環境計算機実験
Computer experiments on ion environment near small bodies in space
研究代表者：臼井英之（神戸大学大学院システム情報学研究科，教授）
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研究分担者：三宅洋平（神戸大学大学院システム情報学研究科，准教授）
担当：計算機実験結果の検討
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上本祥貴（神戸大学大学院システム情報学研究科、 M
担当：計算機実験実行、データ解析
松本正晴（福島大学総合情報処理センター、准教授）
担当：ハイブリッド粒子シミュレーション
研究目的 (Research Objective):
本研究の目的は、固有磁場を持つ水星と太陽風プラズマの相互作用によって生じる
水星磁気圏に関する 3 次元ハイブリッド粒子シミュレーションを行い、磁気圏の空
間構造およびそこでの太陽風イオンの振る舞いを明らかにすることである。
計算手法 (Computational Aspects)
本研究では、電子を質量 0の流体、イオンをマクロ粒子群として扱うハイブリッド
粒子シミュレーションを実行した。 3次元シミュレーション空間に水星と水星磁場を
模擬した磁気ダイポールモーメントをおき、シミュレーション境界から太陽風プラズ
マを流入させ、太陽風プラズマと水星固有磁場との電磁的な相互作用により形成され
る水星磁気圏を数値的に再現した。特に昼間側の磁気圏プラズマ現象に着目した。

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研究成果（Accomplishments

水星の固有磁場は地球よりも
小規模であり太陽環境の影響を
地球よりも近い距離で受けるた
め、形成される水星磁気圏は太
陽風イオンの磁場周りの旋回運
動の影響をより顕著に受ける。
シミュレーション結果より、太
陽風磁場が北向きの場合、水星
磁気圏内部に侵入する太陽風イ
オンが多くなり、それらは EXB F
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:IMF北向き時の太陽風イオンの水星磁気圏
ドリフト運動により水星周りを

エントリーの一例

-7
3-

朝側から夕方側の方向に磁場に垂直に流れるこ
とが分かった。図 1に、太陽風磁場が北向きの場
合、磁気圏夜側で生じる磁気リコネクションによ
り太陽風イオンが磁気圏内に流入し、それが水星
周りを朝側から夜側に向けて南北でバウンス運
動しながらドリフトする様子を示す。また、図 2
に示すように、磁気圏を取り巻くシース領域で
は、磁場強度およびイオン密度の規則的な層状の
擾乱が確認された。この層構造内でのイオン圧力
と磁気圧の比である B値やイオン温度異方性に
関するシミュレーション値から、規則的な層状擾
乱はプラズマ不安定性の一つであるミラー不安
定性によるものであることを示唆できた。現在、
イオン運動の詳細解析を進めており、磁気圏シース
内での速度分布関数や磁場に垂直面での速度位相
空間図について太陽風中のものと比較検討を行う予
定 で あ る 。 得 ら れ る 知 見 は 、 2026 年 か ら の

BepiColpmbo/Mio 衛星による水星磁気圏観測の理
解の一助となると期待する。

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2
:水星磁気圏シースで見ら
れる磁場やイオン密度の層状の
擾乱

公表状況（Publications ） ：
（論文）
1. S.Aizawa,L.S.Griton,S.Fatemi,W.Exner,J.Deca,F.Pantellini,M.Yagi,D.Heyner,V.Génot,N.A

ndré,J.Amaya,G.Murakami,L.Beigbeder,M.Gangloff,M.Bouchemit,E.Budnik,H.Usui,
Cross-comparison of global simulation models applied to Mercury’s dayside
magnetosphere, Planetary and Space Science, online 1 February 2021, 105176,
https://doi.org/10.1016/j.pss.2021.105176
2. 上本祥貴、粒子シミュレーションによる水星固有磁場と太陽風イオンとの電磁的
相互作用に関する研究、神戸大学大学院システム情報学研究科修士論文、 2023 年
2月
（口頭）
1. 上 本 祥 貴 , 臼 井 英 之 , 三 宅 洋 平 , 松本正晴、水星磁気圏昼間側擾乱に関する
,
, 2022 年 11
粒子シミュレーション、第 152 回地球電磁気・地球惑星圏学会相模原
月

2. ...

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