リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「消化管癌における分泌型プロテアーゼの発現異常と悪性形質との関連」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

消化管癌における分泌型プロテアーゼの発現異常と悪性形質との関連

佐久間, 信行 東京大学 DOI:10.15083/0002006981

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 佐久間 信行
本研究は消化管癌における分泌型プロテアーゼ KLK6 および KLK7 の発現上昇と悪性
形質との関連を明らかにする目的で、予後との関連、臨床検体を用いた発現解析、ならび
に、消化管由来細胞株への KLK6・KLK7 の遺伝子導入に基づく分子生物学的解析を行
い、下記の結果を得ている。
1. 公共データベースを活用し、消化管癌における KLK6・KLK7 の遺伝子発現と予後の
関連をカプラン・マイヤー法にて解析したところ、KLK6・KLK7 の発現が亢進した
胃癌や大腸癌の予後は不良であった。
2. 大腸癌切除検体を用いて免疫組織染色による KLK7 の発現解析を行ったところ、腺腫
を含む粘膜内癌や粘膜下層浸潤癌において、非腫瘍部と比較して腫瘍部で有意な発現
上昇が認められた。また、粘膜内癌と比べ、粘膜下層浸潤癌の腫瘍部で、発現上昇す
る傾向が認められた。加えて、癌浸潤の先進部で間質が染色されている検体があり、
KLK7 が浸潤に関与している可能性が示唆された。同様に KLK6 の発現解析を行った
ところ、非腫瘍部と腫瘍部に明らかな差は認められなかった。
3. レトロウイルスベクターにより KLK6 および KLK7 遺伝子を導入し作成した安定発現
細胞株を用いて、細胞増殖能やスクラッチアッセイによる遊走能を調べたところ、細
胞増殖能や遊走能の著明な変化はみられなかった。
4. 軟寒天培地を用いた足場非依存性増殖能を調べたところ、KLK7 遺伝子を導入・発現
させた胃癌細胞株 IM95 では、コロニー形成能の上昇、細胞数の増加が認められた。
一方、KLK6 遺伝子を導入・発現させると、細胞数が増加する傾向が認められたが、
コロニー形成能も含めて、有意な変化は認められなかった。
5. マトリゲルインベージョンアッセイにて、KLK6・KLK7 の遺伝子導入による浸潤能
の変化を調べたところ、KLK6・KLK7 を発現させることによって、胃癌由来細胞
株・大腸癌由来細胞株の浸潤能が亢進する傾向がみられた。
6. 間葉系マーカーVimentin の発現を Western blotting と蛍光染色で調べたところ、
KLK6・KLK7 を安定発現させた大腸癌細胞株 LoVo において、発現上昇が観察され
た。KLK6 や KLK7 の発現上昇による浸潤能の亢進には、上皮間葉転換が関与してい
ることが示唆された。
7. KLK6 や KLK7 を発現させた大腸癌細胞株 LoVo では、コントロールと比較して浮遊
する細胞数が増え、その生存率も高いことが見いだされた。さらに継続培養すると、
細胞凝集体を形成する傾向を認め、その一部に、癌幹細胞様の形態変化が観察され

た。そこで癌幹細胞マーカーの一つである CD44 の発現を蛍光染色で調べたところ、
KLK6 や KLK7 の安定発現株では CD44 の発現が亢進していた。より詳細な解析が必
要だが、KLK6 や KLK7 の発現上昇により癌幹細胞様の性質を獲得する可能性が示唆
された。
以上、本論文は消化管癌において、分泌型プロテアーゼ KLK6・KLK7 の発現亢進が予
後の悪化と関連すること、また、その発現上昇により足場非依存性増殖能や浸潤能が亢進
すること、これらの形質転換に上皮間葉転換の関与が示唆されることを明らかにした。本
研究は、消化管癌における KLK6・KLK7 の発現上昇が浸潤や転移等の悪性形質と関連す
ることを示すもので、消化管癌における悪性度上昇の解明と、治療法の開発に重要な貢献
をなすと考えられる。
よって本論文は博士( 医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る