リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「第2言語習得における言語類似性効果の神経機序の解明―fMRIを用いた人工言語の文法学習による検証―」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

第2言語習得における言語類似性効果の神経機序の解明―fMRIを用いた人工言語の文法学習による検証―

石鍋 浩 東北大学

2020.09.25

概要

ヒトは成人以降の第 2 言語 (L2) の文法学習に困難を抱えることが多い。しかし,全ての L2 が等しく困難なわけではなく,母語 (L1) と L2 の類似度が L2 文法の学びやすさに影響を与える 1 つの要因になると考えられており,その影響は言語類似性の効果 (Cross-linguistic influence) として説明されている。言語類似性の効果の神経基盤は,神経言語学の領域において明らかにされつつある。韓国語を L1 とする 3 言語使用者 (L1: 韓国語,L2: 英語と日本語) を対象に文処理時の脳活動を検討した研究では,英語処理時には,右小脳,左下前頭回弁蓋部,上側頭皮質において有意な脳活動が認められ,L1 と L2 の類似度は L2 処理時の脳活動パタンを決定し,L2 習得の成否を決める要因の 1 つであることが示されている 1)。しかし,5 つの領域がそれぞれ言語のどの要素を反映しているかは不明な点がある。また,言語類似性の効果が習熟につれて現れるのか,あるいは別の形で現れるのかについても不明である。

本研究では,L2 文法処理時の言語類似性の効果に真に関与する領域を明らかにすること,および言語類似性の効果は習熟につれて現れるのかまたは習熟度に関係なく現れのるか,について fMRI 計測を通して検証することを目的とした。

言語類似性の効果に関与する領域を明らかにするために,Jeong et al. 1) で報告された 5 つの領域を言語類似性の効果に関与する候補領域とした。文法の類似度のみが異なる 2 つの人工言語を作成し,2 つのグループに人工言語の学習とテストを繰り返し,言語類似性の効果を検証した。被験者の L1 である日本語と文法構造が似ていない人工言語を DL (Dissimilar Language),日本語と文法構造が似ている人工言語を SL (Similar Language) とした。fMRI を用い,2 つのグループの脳活動を比較し,L2 文法処理時の言語類似性の効果に真に関わる領域を同定した。言語類似性の効果が習熟につれて現れるのか習熟に関係なく現れるのかを明らかにするために,2 つの人工言語の学習とテストを繰り返し,3 つの時点の脳活動計測結果のグループ比較を行った。

DL グループと SL グループの文法テスト遂行中の脳活動を比較した結果,SL グループに比し DL グループにおいて,左下前頭回弁蓋部前方のみ有意な活動が認められた。5 つの領域の 3 時点の脳活動について反復測定 2 元配置の分散分析の結果,左下前頭回弁蓋部前方と左下前頭回弁蓋部後方においてグループの主効果が認められた。本研究の結果から,以下の 2 点が示された。

(1) 左下前頭回弁蓋部は文法の言語類似性の効果に重要な役割を果たしていることが明らかになった。L1と L2 の文法の言語類似性の効果は左下前頭回弁蓋部の働きによって説明できることが示された。
(2) 文法の言語類似性の効果は,L2 の習熟度に関係なく習得に先立って現れ,左下前頭回弁蓋部の活動に依存することが示唆された。L2 習得における言語類似性の効果に関与する左下前頭回弁蓋部の未知の機能の存在が示唆された。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る