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大学・研究所にある論文を検索できる 「聴性言語誘発磁場と内側側頭葉てんかんの術後言語性記銘力低下の関係に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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聴性言語誘発磁場と内側側頭葉てんかんの術後言語性記銘力低下の関係に関する研究

古知 龍三郎 東北大学

2021.03.25

概要

【背景】薬剤抵抗性の内側側頭葉てんかん(mesial temporal lobe epilepsy; mTLE)に対しては、発作頻度減少を企図した外科的切除術が考慮されるが、切除範囲に海馬が含まれることから、術後合併症として記銘力低下が多く認められ、特にleft mTLE(LMTLE)では言語性記銘力低下が問題となる。mTLEの術後記銘力低下リスクは海馬硬化(hippocampal sclerosis; HS)の有無により大別され、術後言語性記銘力低下は、HSを伴わない(HS-)群で高率に認められる一方で、HSを伴う(HS+)群では患者毎にばらつきがあり予測できないとされる。したがって、HS+のLMTLEで、術後言語性記銘力低下を予測するための新たな指標が必要と考えられる。fMRIを用いた研究では、術前の言語活動の側方性がTLEの術後の言語性記銘力低下と相関することが報告されている。脳磁図(magnetoencephalogram; MEG)は、脳機能マッピングの検査機器として広く受け入れられており、言語活動の評価においてfMRIとは時間的、空間的に異なった側面を示すが、これまでに、MEGを用いて言語側方性と術後言語性記銘力低下を検討した研究は報告されていない。そこで、本研究ではMEGによる言語側方性と術後言語性記銘力低下が相関するかを検証した。

【方法】東北大学病院で2012年から2018年の期間に薬剤抵抗性に経過するLMTLEに対して切除術を受けた右利き患者で、術前に脳磁計(200ch全頭型、RICOH)による言語マッピングを施行し、手術の一年後に神経心理検査を施行した連続18例(男性10例,、15歳-68歳)を後方視的に検討した。全例で母国語は日本語であり、検査時抗てんかん薬を内服していた。手術方法は16例が側頭葉前方切除、2例が選択的海馬偏桃体摘出術を施行されていた。摘出標本による海馬の病理診断は全例で行われ、12例がHSを有し、6例はHSが認められていなかった。また比較対象群として15人の右利きで日本語が母国語である健常者(男性8例、22歳-30歳)に同様の言語マッピングを行った。言語課題による誘発磁場を空間フィルター法であるdynamic statistical parametric mapping(dSPM)を用いて信号源推定を行うことで下前頭回、縁上回、上側頭回後方における側方性を算出し、健常群、HS+LMTLE群、HS-LMTLE群で比較し、さらに言語側方性と術後言語性記銘力変化が相関するかを検証した。

【結果】術後言語性記銘力低下はHS+LMTLE群では、改善、変化なし、低下とばらつきがあったが、HS-LMTLE群では6例中5例で低下を認めた。言語側方性はHS+LMTLE群及びHS-LMTLE患者群の両群で健常人と比較して縁上回関心領域とした場合、有意に右方への側方性を示した。また、同関心領域に於いて、HS+LMTLEでは側方係数と術後言語性記銘力低下が負の線形相関を示した。

【結論】本研究により、聴性言語課題による縁上回での誘発磁場の側方性が、HS+LMTLE患者において側頭葉手術後の言語性記銘力低下と相関することが明らかとなった。この結果は、dSPMによるMEG言語マッピングがHS+LMTLE患者の術後記銘力低下を予測するための追加情報を提供し得ることを示唆する。

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