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大学・研究所にある論文を検索できる 「Optimum Forest Management through Investigating Land-cover Changes, Deforestation Drivers, Forest Structure and Local Livelihoods in Banmauk Township, Myanmar」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Optimum Forest Management through Investigating Land-cover Changes, Deforestation Drivers, Forest Structure and Local Livelihoods in Banmauk Township, Myanmar

Aye, Tin Hnaung 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24907

2023.09.25

概要

( 続紙 1 )
京都大学

博士(







氏名 TIN HNAUNG AYE

Optimum Forest Management through Investigating Land-cover
Changes, Deforestation Drivers, Forest Structure and Local
論文題目 Livelihoods in Banmauk Township, Myanmar
(ミャンマー、バンマウクにおける土地被覆変化、森林伐採要因、森林構
造および地域住民の生計を通してみた最適な森林管理)
(論文内容の要旨)
ミャンマーは森林管理の長い歴史を持ち、森林を保全してきた国である一方で、世
界的に見ても活発な森林伐採が続いている国であり、その伐採量は世界で第七位に位
置づけられている。その結果、森林面積率は1990年の58.0%から、2020年の42.2%に減
少している。ミャンマーにおける森林の減少と植生の劣化の主な要因は、農地の拡
大、鉱山開発、インフラ開発、森林資源の過剰な利用、違法伐採、薪需要の増加、焼
畑農業などである。現在、土地被覆の変化と森林の減少は、ミャンマーにおける持続
可能な発展の障害となっている。
調査対象地としたミャンマー北西部サガイン州のバンマウク郡は、従来から豊かな
森林被覆を保ってきたが、近年の土地被覆変化が激しく、金採掘と農地拡大による森
林減少が顕著になっている地域である。
本論文では、このような現状を踏まえた上で、(1)森林被覆、(2)森林植生の
構造と多様性、および(3)地域のコミュニティの森林への依存度、に焦点をあて、
最適な森林管理と地域住民の生活を考察することを目的とした。本論文の内容は以下
の通りである。
第1章では、研究の背景としてミャンマーの森林管理の歴史、森林資源利用の問題
点を述べ、研究対象地域について概説した。
第2章では、バンマウク郡北部における土地被覆の変化と森林伐採の要因に関する
考察を、2000年と2021年の衛星画像を用いた解析結果に基づいて行った。解析におい
ては7つの土地被覆を抽出し、それぞれの変化を解析した。その結果、密な森林は21
年間で45.7%から29.0%に減少し、一方で、疎林が49.3%から54.5%に増加していた。さ
らに金採掘地は0.4%から5.4%に大幅に増加したほか、居住地や裸地および低木地も増
加していた。また、農地もわずかに増加していた。これらの変化について統計的な解
析を加えた結果、森林は主に金採掘地と裸地および低木地に変化していた。この森林
減少は、低標高地と道路からのアクセス性が高い立地と有意に関係していることが示
された。
第3章では、ZNP(ザロン・タウン国立公園)と周辺に存在するBUCF(バンマウ
クの管理目的が設定されていない森林)における森林植生調査の結果に基づいて、人
間活動が森林の植生構造や樹種の多様性および組成に与える影響を考察した。ZNPは
2022年に設定された新しい国立公園で、設定以前には国によって木材生産地域に指定
されていた森林であるため、その時代の影響が残っている森林である。合計34箇所の
40m四方の調査地(ZNPで13箇所、BUCFで21箇所)で植生調査を行った結果、胸高直
径が10cm以上の樹木は、116種(48科、87属)が確認され、単位面積あたりの個体数
と断面積合計はいずれもZNPでやや高いことが示された。主要樹木としては、ZNPで
はトウダイグサ科(Euphorbiaceae)の種が、BUCFではクマツヅラ科(Verbenaceae)の種が
最も多く確認された。また、ZNPでは国立公園指定以前に商業的価値が高く、国際自
然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種にも指定されている樹種が伐採され、それ
- 1 -

らの相対的な密度が低下していることが確認された。さらに、ZNPでは多くの希少植
物種が確認され、今後保全を推進する必要性が示唆された。
第4章では、第3章で植生調査を行った地域(BUCF)内にある3つの村落において
地域住民の生計と収入源について調査を行い、森林資源への依存度に関する解析を行
った。90世帯を対象にアンケートおよび聞き取り調査を行った結果、森林からの収入
は、農業収入、金採掘から得られる労働賃金収入に次いで、三番目に多い収入源とな
っていた。また、森林から得ている収入の中では、木材から得ているものが43~60%
と最大であり、これに薪(18~24%)、薬用植物(8~26%)および竹(4~15%)が
続いた。データ解析の結果からは、各世帯の家族数と森林への距離が森林資源への依
存度に有意な影響を与えていることが示された。また、森林資源の利用が農村世帯間
の経済格差を軽減する上で影響がある可能性も示唆された。
第5章は総合考察と結論であり、第2章から第4章において得られた結果を概観し
たのち、それらに基づいて、バンマウク郡における森林管理と地域の生計向上を考え
る上で必要なことを考察した。従来から指摘されてきた森林資源の過剰な収奪に対し
てはコミュニティ・フォレストリー制度の導入や、種子や苗木の生産の必要性が指摘
された。さらに、地域住民の薪利用に関しては、政府が示しているよりも2倍程度の
消費量が各世帯で認められたことから、それに基づく政策の見直しの必要性も示され
た。また、近年急増している金採掘に関しては、採掘終了後の森林や環境の再生と、
確実な植林行為を保証するためのより厳しい法制度や規制の確立が不可欠であること
を指摘した。以上を踏まえて、森林管理は地域住民の社会経済的な持続の視点も視野
に入れることが必要で、森林保護と地域の世帯の生計のバランスを取るための適切な
手段を適用する上では、森林の効果的な管理と希少種の保全の促進が、地域の生物多
様性向上にも有益となるとした。また、森林資源への依存と生物多様性保全のバラン
スのためには、代替エネルギー源、農業部門への支援、高等教育の拡大、生物多様性
保全に関する認識の高まりが必要であるとしている。

注)論文内容の要旨と論文審査の結果の要旨は1頁を38字×36行で作成し、合わせ
て、3,000字を標準とすること。
論文内容の要旨を英語で記入する場合は、400~1,100wordsで作成し
審査結果の要旨は日本語500~2,000字程度で作成すること。

- 2 -

(続紙 2 )
(論文審査の結果の要旨)
ミャンマーは東南アジア有数の森林国であり、特に北部の山岳地域には現在も豊
富な森林資源が存在する。また、その中にはIUCNによって絶滅危惧種の指定を受け
ているチークなどの樹種も含まれており、それらの択伐による森林の質の低下は従
来から指摘されてきた。また、近年では金の採掘が盛んに行われるようになり、そ
の生産量は過去十年で急増している。金の採掘による森林の劣化も深刻であるが、
この活動が森林や地域住民の生活に与えている影響に関する研究はまだ十分ではな
い。本論文はこのような現状を踏まえ、金の採掘が集中的に行われている地域のひ
とつであるサガイン州バンマウク郡を対象にして行った森林の現状および変化と地
域住民の収入源に関する調査結果を解析し、対象地域における最適な森林管理につ
いて考察することを目的としたものである。本論文の評価すべき点として、以下の
4点が挙げられる。
1, 森林の減少や劣化は従来の森林伐採によるだけではなく、金の採掘も大きな
要因となっていることを明らかにした。特に、金の採掘を目的として一時的
に貸与された農地の代替を目的とした森林における焼畑農業の増加と、それ
に伴う休閑地の増加が影響を与えている可能性を示した点は重要である。
2, 政府が行ってきた森林の択伐施業は、チークのような希少種の密度を低下さ
せているが、国立公園の指定などによって保護林を積極的に設定することや
一定期間の伐採禁止を課すことによって回復が可能であることを示した。
3, 地域住民の収入源として、金の採掘からの労働賃金収入が大きな割合を占め
るようになっており、森林劣化のみならず、住民の収入源にも金の採掘が大
きな影響を与えていることを明らかにした。
4, 森林資源に対する依存度は低下しているとはいえ、生計を立てる上で森林資
源は現在も重要であり、さまざまな資源利用が現在も継続していることを示
した。特に、政府が計画している薪利用量は現実の半分程度であり、持続的
な森林管理を考える上で、計画の見直しが必要なことを明らかにした。
以上のように、本論文は従来の森林伐採に加えて急増する金の採掘がミャンマー
の森林や地域住民の生計に対して大きな影響を与えていることを示し、新たな最適
な森林管理を考える必要性を明らかにしてその方向性を示したものであり、森林資
源利用学、生物多様性保全学、森林環境再生論、農村計画学、環境デザイン学の発
展に寄与するところが大きい。
よって、本論文は博士(農学)の学位論文として価値あるものと認める。
なお、令和5年7月20日、論文並びにそれに関連した分野にわたり試問した結
果、博士(農学)の学位を授与される学力が十分あるものと認めた。

注)論文内容の要旨、審査の結果の要旨及び学位論文は、本学学術情報リポジトリに
掲載し、公表とする。
ただし、特許申請、雑誌掲載等の関係により、要旨を学位授与後即日公表するこ
とに支障がある場合は、以下に公表可能とする日付を記入すること。 ...

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