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Studies on the relationship of mitochondrial RNA processing to cell division control underlying early development of lateral roots in Arabidopsis

間宮, 章仁 東京大学 DOI:10.15083/0002006291

2023.03.24

概要

論文審査の結果の要旨
氏名 間宮 章仁

本論文は 5 章からなる。第 1 章は序論、第 2 章は結果、第 3 章は考察、第 4 章は材
料と方法、第 5 章は文献である。
第 1 章では、研究の背景と目的が述べられている。冒頭で植物の体制構築における
器官形成の意義と器官発生時の細胞分裂制御の重要性を論じた後、器官形成のモデル
として側根形成を取り上げ、これまでの細胞学的知見と分子生物学的知見をまとめる
とともに、側根形成開始時の細胞分裂活性化が詳しく調べられているのに対し、その
後の細胞分裂の協調的調節、とくに分裂域の制限のしくみはよくわかっていない、と
の見解を示している。次に植物のミトコンドリアについて、エネルギー供給装置とし
てのはたらき、複雑な RNA プロセッシングに依存した遺伝子発現のあり方、ミトコ
ンドリア関連変異が発生・成長に及ぼす影響を概説した上で、器官発生の制御におけ
るミトコンドリアの役割が未解明であることを指摘している。続いて、高温下で帯化
側根を形成するシロイヌナズナの温度感受性変異体 rrd1、rrd2、rid4
(temperature-dependent fasciation にちなみ TDF 変異体と総称)を紹介し、先行研究に
基づいて、側根原基形成初期の細胞分裂の制限に関わること、RRD1 がポリ A 特異的
リボヌクレアーゼ様タンパク質、RRD2 と RID4 がペンタトリコペプチドリピートタン
パク質をコードしていること、いずれもミトコンドリアの RNA に作用すると思われ
ることなどを述べている。そして最後に、以上を踏まえて、側根形成初期過程におけ
る細胞分裂の調節機構を明らかにするために、TDF 変異体を用いた解析を進め、併せ
て植物の器官形成とオルガネラの RNA プロセッシングの未知の連関を捉える、とい
う本研究の目的を記している。
第 2 章では、TDF 変異体を糸口に、側根形成初期過程とミトコンドリアの RNA プ
ロセッシングに関し、多角的に解析した結果が述べられている。ポリ A 分解に関わる
と推定された RRD1 については、rrd1 変異によるポリ A 化ミトコンドリア mRNA の
増大を複数の方法で確認し、ポリ A 付加酵素の変異 ags1 が rrd1 に対して抑圧的効果
を示したことと合わせて、推定機能の検証としている。RNA 編集への関与が推定され
た RRD2 と RID4 については、rrd2、rid4 の各変異体と野生型との間でミトコンドリア
mRNA の塩基配列の徹底した比較を行うことで、推定機能を検証している。その結果、
rrd2 では ccb2 の 71C と ccb3 の 575C の 2 個所、rid4 では atp4 の 395C など計 6 個所に
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顕著な編集不全を検出し、上流域の比較分析も踏まえて、RRD2 と RID4 はこれらの
個所を直接の標的として編集にはたらくと結論している。また、ミトコンドリア電子
伝達系のタンパク質の解析から、rrd2 ではシトクロム c、rid4 では ATP 合成酵素複合
体が減少することを明らかにしている。さらに rrd1 と ags1 を用いた解析により、ccb3
の全体的な編集レベルおよびシトクロム c の蓄積量がポリ A 付加と負に相関している
ことも発見している。薬理学的解析では、電子伝達や ATP 合成の阻害剤は側根原基の
幅を拡大するのに対し、脱共役剤にはそのような効果がないこと、活性酸素種(ROS)
を生成する薬剤は原基幅を拡大し、ROS 除去剤はこの拡大を抑えることを示し、ROS
の関与を強く示唆している。
第 3 章では、考察と結論、今後の展望が述べられている。全ての結果を考え合わせ、
TDF 変異から側根帯化までの流れとして、ミトコンドリア mRNA のプロセッシング
の不全が電子伝達系の不具合をもたらし、産生した ROS が側根原基辺縁部の細胞分裂
を過剰にする、という仮説を提示し、加えて RNA のポリ A 付加状態と編集とを結び
つける分子機構が存在する可能性も論じている。
第 4 章には研究に用いた植物材料と各種解析の方法が詳述されており、第 5 章では
引用した文献の情報が示されている。
研究全体を通して得られた成果は多大であり、植物の器官形成時の細胞分裂制御と
ミトコンドリアの RNA プロセッシングの係わりについて、重要かつ画期的な新知見
を提供している。
本論文は、
これらの成果を正確な図表と明快な英文で記述している。
結果の考察では、丁寧な論考により合理的な結論が導かれている。また、当該分野の
文献は、不足なく適切に引用されている。

なお、本論文に記載された研究は、大塚蔵嵩、小西美稲子、野崎守、木下温子、玉
置裕章、有田真規、齊藤真人、山本荷葉子、蜂谷卓士、野口航、上田貴志、八木祐介、
小林健人、中村崇裕、佐藤康、平山隆志、杉山宗隆の各氏との共同研究であるが、論
文提出者が主体となって実験・解析および論証を行ったもので、論文提出者の寄与が
十分であると判断する。
したがって、博士(理学)の学位を授与できると認める。

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