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大学・研究所にある論文を検索できる 「Bilateral versus single internal thoracic artery grafting in hemodialysis patients」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Bilateral versus single internal thoracic artery grafting in hemodialysis patients

Munakata, Hisaaki 宗像, 寿祥 名古屋大学

2020.04.02

概要

【緒言】
末期腎不全、血液透析患者は冠動脈疾患の罹患率が高い。冠動脈バイパス手術を行う場合、左前下行枝領域への内胸動脈を使用することは基本戦略であるが、他領域に病変がある場合、どの血管を血液供給路とするかは議論がある。他のグラフトには対側の内胸動脈、大伏在静脈、橈骨動脈、右胃大網動脈が主な選択肢と挙げられている。内胸動脈は血管性状として申し分なく中枢側吻合を必要としないことが利点であり、採取に時間がかかること、胸骨への血液供給が絶たれることによる術後深部創感染の危険性がある点が短所である。大伏在静脈、橈骨動脈は胸部の処置と同時進行に採取が可能であり、手術時間の短縮が可能だが、短所として遠隔期に血管性状が不良になること、free graftであるため中枢側吻合が必要になることが問題になる。過去の報告には左冠動脈領域への血液供給路として両側内胸動脈を使用することで長期生存率が向上すると結論するものもあるが、血液透析患者での有用性は明らかではなく、第 2のグラフトの選択基準は明確ではない。

【目的】
血液透析患者に対する冠動脈バイパス手術において、両側内胸動脈を使用した症例と片側内胸動脈を使用した症例の短期および長期手術成績を比較検討し、血液透析患者において第2のグラフトとして内胸動脈を使用することの優位性を評価した。

【方法】
2004年から2015年の間に、名古屋第二赤十字病院心臓血管外科において、行った透析患者に対する冠動脈バイパス手術103例の中から、左冠動脈領域への吻合数が2本以上であった63例を抽出し、片側内胸動脈使用群( SITA群、n=33)、両側内胸動脈使用群( BITA群、n=30)に分けて後方視的に手術成績を比較検討した。グラフトの選択基準は、2004年~2010年では糖尿病患者は原則片側内胸動脈使用とし、2011年以降は糖尿病患者であっても両側内胸動脈を使用することとし、術者が判断することとした。片側内胸動脈の場合、左冠動脈領域への第2のグラフトは大伏在静脈を使用した。中枢側吻合は大動脈との直接吻合を行った。右冠動脈領域へのグラフトは、右冠動脈病変部の狭窄率が90%以上の場合は右胃大網動脈、75%以下の場合は大伏在静脈を使用することを原則とした。手術中の人工心肺の適用は、原則は人工心肺非使用としたが、低心機能、循環動態不安定、急性冠疾患、多枝病変では人工心肺を使用することとした。術後の腎代替療法は原則的に間欠透析法を行い、持続濾過透析は血行動態不安定な症例のみに使用した。術後の冠動脈・グラフトの評価は、術後2~ 4週間に冠動脈造影検査を行った。長期成績は外来受診、質問票の郵送、電話連絡を用いて生存の評価を行った。冠動脈造影は狭心症症状などを疑う場合のみ施行し、定期検査としては施行しなかった。

【結果】
術前状態: SITA群に糖尿病の有病率が高かった ( SITA vs. BITA: 84.8% vs. 50.0%; p=0.003)。その他の因子は両群に差を認めなかった。術前のCT写真にて上行大動脈の半周以上( 50% 以上)に内膜の石灰化を認めた症例は全体の14.3%であった。手術:両群で吻合数は同等であった。 BITA 群の45.7% で大動脈非接触法( Aorta non-touch technique) を完遂した。SITA群では全例で大動脈-静脈グラフト吻合を行ったため、大動脈非接触法は0例であった ( p<0.001)。術後短期成績:術後30日死亡患者はいなかった。入院死亡( 3.0% vs. 0%, p=0.336) に差はなく、深部創感染( 3.0% vs. 3.3%; p=0.945)に差を認めなかった。早期の冠動脈造影検査では、SITA群の開存率は99.0%、 BITA群96.7%であり、同等であった( p=0.345)。長期成績:平均観察期間4.3年の間に 5年生存率はSITA群42.4%、BITA群57.4%であり、両群に差を認めなかった( P=0.202)。5年での心臓死回避率はSITA群64.5%、BITA群69.6%であり、両群に差を認めなかった( P=0.652)。

【考察】
血液透析患者に対する冠動脈バイパス手術において、両側内胸動脈使用群では 45.7%で大動脈非接触法での手術を行えた。上行大動脈の石灰化の強い症例で人工心肺や大動脈吻合を必要とした場合は、石灰化組織が飛散して、脳梗塞をはじめとした塞栓症を起こす原因となり得る。この点で、上行大動脈の石灰化が高頻度で観られる血液透析患者に対して、大動脈非接触法で手術を行う選択肢があるというのは有利である。両側内胸動脈を使用しても短期成績に問題は認めなかった。上行大動脈の石灰化が強ければ、積極的に両側内胸動脈を使用すべきであると考えられる。長期成績について、両側内胸動脈使用での生存率向上は認めなかったが、これは血液透析患者自体の期待余命が短いことに起因すると考えられた。この点から、両側内胸動脈を全症例で使用することが成績を改善するとは結論できない。大動脈性状が悪く大動脈非接触法を行いたい場合は、両側内胸動脈を積極的に使用すべきであると考えた。

【結語】
血液透析患者での両側内胸動脈を使用した冠動脈バイパス手術は、片側内胸動脈使用の場合と比べて、合併症や手術死亡のリスクとはならなかった。また大動脈操作を減少させることができた。長期成績での有益性は明らかではなかったが、これは血液透析患者自体の期待余命が短いことが原因と考えられた。

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