Serum high-sensitivity C-reactive protein levels and the risk of atrial fibrillation in Japanese population: the Circulatory Risk in Communities Study
概要
〔目 的(Purpose)〕
高感度CRP(hs-CRP)は心房細動(Af)の発症予測因子として報告されているが、アジア人を対象としたエビデンスは限られている。そこで本研究では、日本の地域住民を対象にhs-CRPとAf発症との関連を分析し、さらに、その関連への性別や肥満、高血圧、喫煙習慣の影響を分析した。
〔方 法(Methods)〕
The Circulatory Risk in Communities Study(CIRCS)の3地域(秋田、大阪、茨城)で2000〜2008年の健診受診時にhs-CRPを測定した40〜79歳の受診者の内、Afや循環器疾患の既往者、hs-CRP 10mg/L以上の者、ベースライン以降健診を受診しなかった者を除いた6517名の男女を対象とし、2018年度末(茨城は2017年度末)まで追跡した。Hs-CRPはラテックス凝集免疫比濁法により測定し、研究対象者をhs-CRPの五分位(Q1〜Q5)にて群分けした(Q1:1312名、Q2:1310名、Q3:1284名、Q4:1304名、Q5:1307名)。Afについては、健診受診時の心電図でミネソタコード「8-3-1」の判定、もしくは、問診にてAfの既往を聴取した揚合にAf発症とみなした。地域層別Cox比例ハザードモデルにて第1五分位群(Q1)を基準とした各群のAfの多変量調整ハザード比を求めた。さらに、性別や肥満、高血圧、喫煙の有無別に層別解析を行い、各リスク因子の交互作用を検討した。いずれの分析も年齢、性別、Body mass index、高血圧、総コレステロール、中性脂肪、血糖値区分、喫煙、飲酒、降圧剤内服、脂質異常症治療で調整し、層別解析時は各交互作用項を調整因子に含めた。
〔成 績(Results)〕
中央値11年間の追跡期間中、新規Af発症者は127名だった。Q1を基準としたQ2〜Q5の多変景調整ハザード比はそれぞれ、2.54(1.17-5.50)、2.28(1.06-4.93)、2.92(137-6.23)、2.77(1,30-5.91)だった。性別や肥満、高血圧、喫煙の有無別にみた層別解析では、女性、非肥満者、非高血圧者、非喫煙者において有意な関連がみられたが、いずれも交互作用は認められなかった(P for interaction>0.05)。
〔総 括(Conclusion)〕
日本の地域住民において、hs-CRPの上昇はAf発症リスクの増加と有意に関連していた。この関連は、性別や肥満、高血圧、喫煙習慣の有無別で共通して認められた。