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Evaluation of a peptide motif designed for protein tethering to polymer surfaces

中野 綾菜 広島大学

2021.03.23

概要

論文要約

Evaluation of a peptide motif designed for protein tethering to polymer surfaces
(高分子表面へのタンパク質固定化のために設計されたペプチドモチーフの評価)
Journal of Biomaterials Science, Polymer Edition, 2020, in press.
医歯薬保健学研究科

医歯薬学専攻

中野綾菜

細胞培養基材や組織工学足場材料のように細胞の接着基質として使用される高分子材料表面
へのタンパク質の固定化に焦点を当て、タンパク質の構造を維持しながら、種々の高分子材料表
面へタンパク質を安定に固定化するための方法について検討した。特に本研究では、生理的環境
下において高分子表面に親和性のあるペプチドモチーフを設計し、そのペプチドを遺伝子工学
の手法によってタンパク質に融合することで、温和な条件下でタンパク質が高分子表面へ吸着
することを期待した。 一般に合成高分子材料の表面は疎水性が高く、水中では塩化物イオン等
の表面吸着によって負の表面電位を持つことが知られている。そこで、ペプチドモチーフを構成
するアミノ酸として、疎水性アミノ酸であるロイシン(L)及び塩基性アミノ酸であるリシン(K)
に着目し、ジペプチド KL が 5 回繰り返されたぺプチド KLKLKLKLKL(KL5)を設計した。ま
た KL5 のタンパク質固定用モチーフとしての特性を評価した。
まず、性状の異なる 3 種類のタンパク質(EGF、bFGF、SDF-1α)の C 末端に KL5 を融合
したキメラタンパク質を大腸菌を用いた遺伝子組換え法により作製した。それらの二次構造を
円二色性分光(CD)分析法で調べ、三次構造を ab initio 法によって予測した。また、KL5 融合
タンパク質の高分子表面への吸着について表面プラズモン共鳴(SPR)法によって分析した。こ
のとき、高分子にはポリスチレン(PS)、表面親水化 PS 及びポリカプロラクトン(PCL)のス
ピンコート薄膜を用いた。これらの実験結果をもとに、KL5 の融合がタンパク質の立体構造及
び高分子表面との相互作用に及ぼす影響について検討した。さらに、それらの結果、KL5 は EGF
と融合した場合にペプチドモチーフとしての効果が最も顕著であったことから、EGF-KL5 融合
タンパク質を表面固定したポリスチレン製組織培養プレート(TCP)及び PCL フィルム上でヒ
ト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC)を培養し、経時的に細胞数を測定した。

以上の実験の結果、まず、大腸菌発現系を用いることによって、KL5 を融合した EGF、bFGF、
及び SDF-1α を作製することが可能であった。
CD 分析及び ab initio 法によるコンピュータシミュレーションの結果、KL5 の融合は、パー
トナーである EGF、bFGF、及び SDF-1α の立体構造に大きな影響は与えないことがわかった。
また、融合タンパク質の KL5 領域は、融合パートナーの種類によって、それぞれ異なる二次構
造を取る傾向にあることがわかった。しかし、いずれの場合も KL5 は融合タンパク質の外側に
露出しており、高分子表面へのアクシビリティーの点で有利であることが示唆された。
SPR 法による吸着実験の結果をもとに、各融合タンパク質の高分子表面への吸着速度定数及
び飽和吸着量を求めた。それらのデータを比較した結果、KL5 による吸着促進効果はパートナ
ータンパク質とポリマー表面の特性に影響されることが明らかになった。中でも酸性タンパク
質である EGF では、塩基性タンパク質である bFGF 及び SDF-1α に比べて、融合した KL5 の
ペプチドモチーフとしての効果が発揮されやすことが明らかとなった。また、その効果は比較的
極性の高い親水化 PS 及び PCL 表面で顕著であった。
最後に、KL5 融合 EGF を吸着させた TCP 及び PCL フィルムの表面で hMSC を培養した。
その結果、KL5 融合 EGF を吸着させた表面では、未処理の表面及び KL5 を持たない EGF が物
理吸着した表面に比べ、7 日後の細胞数が有意に多かった。それらの表面における融合タンパク
質の吸着試験及び細胞骨格の免疫染色による分析結果と合わせて考察した結果、KL5 を介して
表面提示された EGF が細胞膜に発現する EGF 受容体を効果的に活性化し、それによって細胞
増殖が促進されたものと考えられた。
以上の結果から、KL5 は融合するタンパク質の物理化学的性質や基材となる高分子の表面性
状を適切に選択することによって、ペプチドモチーフとしての効果を発揮するものと考えら
れ、細胞機能制御を目的とした高分子表面修飾に効果的であると結論する。

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