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大学・研究所にある論文を検索できる 「Investigation for the cosmic ray event around 5480 BCE by measuring 10Be and 36Cl concentrations from the Dome Fuji ice core」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Investigation for the cosmic ray event around 5480 BCE by measuring 10Be and 36Cl concentrations from the Dome Fuji ice core

菅澤, 佳世 名古屋大学

2021.11.09

概要

地球に到来する宇宙線は、太陽活動の変化に伴ってその強度を変化させながら絶え間なく地球に降り注いでいる銀河宇宙線と、太陽で起こる爆発現象である solar proton event (SPE) 由来の粒子に大きく分けられる。これらに加えて、地球近傍で超新星爆発などのガンマ線イベントが発生した場合、イベントの発生後にガンマ線が地球へ到来すると予想される。これらの宇宙線は大気中の原子と相互作用することにより宇宙線生成核種(10Be, 14C, 36Cl など)を生成する。そのため、アイスコアや樹木の年輪に保存されている宇宙線生成核種を分析することによって、過去の太陽活動の復元と、SPE やガンマ線イベントなどの突発的なイベントの検出が可能になると考えられる。

これまでに年輪中 14C の 1 年分解能測定から、過去 1 万年間で最大級の 14C 濃度の増加が 5480BCE 付近に発見されている(5480BCE 宇宙線イベント)。このイベントでは 14C 濃度が約10 年間かけて約20‰増加するという他では見られない変動を示している。14C 濃度が大きく増加する現象としては、数十年かけて 14C 濃度が約 20‰増加する Grand Solar Minimum や、1-2 年という短期間で 14C 濃度が大きく増加する SPE が知られているが、5480BCE 宇宙線イベントにおける 14C 濃度の変動はそれらとは異なるものである。5480BCE 宇宙線イベントの原因としては、通常とは異なる Grand Solar Minimum、SPE の連続発生、ガンマ線イベントの発生などが考えられるものの、特定には至っていない。原因の特定には異なる宇宙線生成核種の生成率比が重要な情報となるが、5480BCE 付近ではこれまでに 14C の分析しか行われていない。

そこで、本研究では 5480BCE 宇宙線イベントの原因究明のため、ドームふじアイスコアの 10Be 濃度及び 36Cl 濃度をそれぞれ約 1 年分解能と 4−5 年分解能で、 5480BCE 付近の約 100 年間について分析した。その結果、5469BCE (+11 年 / -16年) に1-2 年間での急激な10Be 濃度の増加を検出した。5469BCE 付近において10Be濃度は、銀河宇宙線バックグラウンドの変動(全測定期間の 10Be 濃度の平均)から 3σ を超えて有意に増加していた。SPE 起源の場合、10Be の増加に伴う 36Cl のバックグラウンドからの有意な増加が予想されるが、そのような 36Cl 濃度の増加は見られなかったため、5469BCE 付近に検出された 10Be 濃度の急増の原因は SPE ではないと考えられる。また、ガンマ線起源の場合に予想される、10Be の増加を伴わない 36Cl の有意な増加も検出されなかったことから、ガンマ線イベントが発生した可能性も低いと考えられる。本研究で測定した 10Be データの約 9 年の移動平均値の変動に注目すると、この値は約 10 年で大きく増加した後に約 20 年かけて減少しており、その増加量は近年の Grand Solar Minimum におけるドームふじの 10Be 濃度の増加量と同程度であった。一方、10Be 濃度が増加するのにかかった年数は、数十年かかった他の Grand Solar Minimum と比べて短期間であり、14C 濃度と似た変動を示していた。また、10Be 濃度の測定データには数十年間にわたって 8-12 年の周期変化が見られ、5469BCE 付近の 10Be 濃度の急増もこの周期変化の一部として検出されたことから、8-12 年の周期変動は太陽活動の 11 年周期に由来するものだと予想される。以上の結果から、5480BCE イベントの原因は太陽活動が約 10 年で急激に低下した、通常とは異なる Grand Solar Minimum の可能性が高いと考えられる。

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